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#さのじん
さき
688
はる☻
4,727
勇斗と付き合い始めて約3ヶ月。ハグや手繋ぎ、ほっぺにキス程度は付き合う前からメンバー内でしょっちゅうしてたし、変わったことと言えばお互いの家に行く頻度が高くなったこと。勇斗から浴びせられる愛の言葉の数々。勇斗が俺を見る目がたまに蕩けそうなほど甘くなる事。抱きしめてくる時の腕の力強さ、温度。俺に触れてくる大きな手の繊細な優しさ。相思相愛ラブラブ順風満帆なお付き合いライフだ。
大切にされている自覚はある。好かれている自信も。
それでも足りないと思ってしまう。俺はわがままで欲しがりだから。欲しいと思ったものは全部手に入れたい。
勇斗の心も、身体も。全部。
「小学生のおままごとかよ!あのクソ童貞め!覚悟しろ…。
今日こそは絶対に手を出させてやるからな…ッ!」
………………………………………………………………………
「おつかれさまでしたー!」
ツアー最終日、無事大盛り上がりのままライブを終え楽屋に戻ってくる。
今回のセットも衣装も最高にかっこよくて可愛くてアガる仕上がりだったな。特にあの演出はアツかったなぁ。塩さん、今回いつも以上に張り切ってたもんな。あの曲からの衣装も激しめのダンス曲に合わせて深いワインレッドのベロア生地が、動く度に妖艶に輝いて。着心地も良くて動きやすかったし黒いエナメルのゴツめのブーツとの併せも良かったな。柔太朗もまた腕上げたなぁ。舜太はあの振りずっと苦戦してたけど本番ばっちりキメてきて、スタイルや顔に胡座をかかずに努力する姿勢は素直に尊敬できる。練習頑張ってたもんな。MCも爆発的にウケてたし、トークの方も最近はよくバラエティにも出てるからか元々の頭の良さもあって伸びてきてる感じあるな。
ちびちびと水分をとりながら天井を見上げ、ボーッと今日のライブを思い返す。
「なんや、吉田さん燃え尽きてんなぁ」
「あぁ〜…。今日はまじ最高だった…。演出激アツだったわ。ありがとう太智。」
「素直やな。でもまあありがとう。今回はこう、ピーンっと来てんねんな!火ぃ吹くやつも今回はド派手にやりたかってん!」
「あれなぁ…。まじクソ熱かったけど音とバチッとハマった時めちゃくちゃ気持ちよかったぁ…。」
「せやろ!あれコンマ数秒計算してな、後ろの方の客席にも時差ないように音響工夫してな……」
ライブ終わりでも無尽蔵の体力を持つ太智は素直に褒められたのがよほど嬉しかったのか、嬉々として今回のステージのポイントを解説してくれる。
こういうところ可愛いんだよな、こいつ。
しっぽがあればブンブンと振っていそうなほど興奮して段々と声が大きくなる太智に、満身創痍大臣となった俺は力無く「声でけぇって」「一旦落ち着け」「え?聞いてる?」「ガチ無視するじゃん」などと喉の上の方から絞り出すカスカスの声で静止を試みるも無様にも肺活量と体力の差にひれ伏す。
「太智〜…落ち着け〜…わか、わかったから…。一回、マジで一回止まって…。」
「なぁなぁなぁ!!!!せやろぉ!!!!吉田さぁ〜ん!!!!!!!!」
お前今後一切俺に声デケェとか文句垂れんなよ?
両耳を抑え縮こまる俺と、なおも俺の両肩を捥がんばかりに掴み揺さぶる太智のやり取りを遠くから見ていた年少コンビが見かねて声をかけてくれる。
「だいちゃん。それ以上揺さぶったらよっしーの腰砕けちゃうから。その辺で許してあげて。」
「だいちゃーん!!今日俺このあとスタッフさんとご飯行くんやけど来るー?じゅうとさのじんはまだ仕事あるって来られへんのやってー!」
俺にちょっかいをかけ続けていた太智は別の興味を引かれる話題に気を取られ
「行く行くー!!!なに食べるん!?俺肉がええー!!」
としっぽを振り回して舜太に飛びかかるのを見届ける。
「まぁじ助かったぁ〜。ありがとう柔太朗〜…」
「今日はね、さすがに上手く行きすぎてだいちゃんもあがっちゃうよ。」
「な。俺も今やばいもん。」
「ムラムラ?」
「ムラムラ。」
親友と呼べる唯一の存在との下ネタ満載のやり取りに笑いが込み上げてくる。
しばらく二人でくふくふ、たまに鼻が鳴ったりして爆発しながら肩を揺らしていると、なぜそうなったのかはよく分からないが舜太を肩車した太智がゆらゆらと近付いてくる。
「2人してなにわろてんねぇん!!俺らも混ぜろやぃ!!」
「やーい!!」
そういう生命体のようにゆらゆらくねくねと揺れる、3m近くある物体に収まってきた笑いがまた込み上げてくる。
4人でわちゃわちゃとしつつ柔太朗の次の仕事のため解散の雰囲気になったところでふと、勇斗がいないとこに気が付いた。
「あれ?そういえば勇斗は?」
「お?ほんまや。そういえばずっとおらんなぁ。」
「知らんでー!ほんで俺もう行くでぇ!舜太!!もうみんな行くって!置いてくで!!!」
「あー!待ってだいちゃん!!ほな、はやちゃんの事は任せたで!じんちゃん!またな!」
吉田さんバイバーイ!と手のひらだけ覗かせて嵐のように去っていくそのざきコンビにふ、と微笑ましさから笑みがこぼれる。
さて、最年少に任されちゃったしお兄やんを探しに行ってやるか。
帰る支度を終え残されたままの勇斗の荷物をまとめてやる。そのままふたつの荷物を抱えて楽屋を出ると思うがままに足を動かしてみる。
「お、いた。」
思いのほかすぐに見つかった最年長は撤去が完了した無人のステージの真ん中に立っていた。
「…じんと」
「はい、仁人くんですよー。ん、荷物持ってきてやったから帰るぞ。」
「……うん。」
投げ渡した荷物を危なげなくキャッチすると返事を下にも関わらず全く動く様子のない勇斗に、少し心配になってくる。
数歩近づき顔を覗き込むように目を合わせると、瞳孔が開ききった瞳と目が合う。
あぁ、こいつもか。
「…ねぇ、勇斗。今日、うち来ない?」
熱と共に吐き出した誘いは、繋がれた手のひらに溶けていった。
コメント
2件
続き気になります…!! 更新待ってます😭
読了しました☕️🖤 「欲しいと思ったものは全部手に入れたい」って台詞、めちゃくちゃ好きです…わかるなあ、その執着心。勇斗くんが大事にしてくれてるのもわかってるけど足りない、もっと欲しいって気持ち、痛いほど伝わってきました。ライブ後の仲間とのやり取りもあたたかくて、バンドの空気感がしっかり見える。次、勇斗くんにどう迫るのか気になりすぎる…!続き、読みたいです🌙