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梅は、氏政を見つめたまま声を震わせた。「父上……」
その瞳には、怒りと焦りが入り混じっている。
「……やってはならぬことを、ついに」
言葉が途切れる。
しかし、その奥には“覚悟”があった。
そこへ、風魔小太郎が静かに膝をつく。
「……此度の失態」
低い声。
「すべて、この小太郎の責にございます」
一拍置き、顔を上げる。
「どうか……救出の御命をお与えくだされ」
「このままでは、汚名は免れませぬ」
そして時が少し流れた
風魔小太郎は一歩前に出た。
「若殿……申し訳ございませぬ」
低く、静かな声。
「お助けに参りましたぞ」
顔を上げる。
その目は、すでに戦場のものだった。
「……者ども」
短く鋭い声が響く。
「氏康様、氏政様の御命令じゃ」
一拍置き、空気が変わる。
「もはや容赦は要らぬ」
刃が抜かれる音。
「歯向かう者は、徹底的に制圧せよ」
そして、はっきりと告げる。
「武田の血族は、全て生け捕りにせよ」
その混乱のさなか、松平元信は静かに動いていた。
(……氏政どのの子を助ける)
一見すれば、義に殉じる行動。
だがその瞳の奥には、別の思惑が光る。
(よし……この隙にこっそりと動くとするか)
薄く笑みを浮かべる。
(火事場というものは、使った者勝ちよな……😏)
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