コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
裏梅が倒れた場面を見届けた宿儺は、まるで何事もなかったかのように静かに立ち上がった。彼の目は冷徹で、無情そのものだった。だが、その目の奥には、無駄に時間を消費していることへの苛立ちが隠しきれなかった。
「ふん、面白くもない。」宿儺は冷たく言い捨てると、すぐに前方に視線を移した。戦いの場にまだ存在しているのは、あの奇妙な笑顔を浮かべたまま、立っている童磨の姿だけ。
「お前もいい加減にしろ。」宿儺の低い声が、戦場を支配するように響いた。その言葉は、まるで誰かを警告するようであり、同時にその場の空気を引き締めた。
童磨はその声を聞き、にやりと笑う。「おお、君か。どうやら、もうお前も私の遊び相手になりたいらしいな?」
その挑発的な言葉に、宿儺は一瞬、目を細める。冷徹な瞳の奥で、すぐに決定的な意志が固まった。その瞬間、空気が一変した。宿儺の周囲の空間が歪み、力が激しく渦を巻き始める。彼の背後に、黒いオーラが溢れ、まるでその場を支配するような気配が放たれた。
「遊ぶなんて言葉が似合うのは、未熟な者だけだ。」宿儺の声が響いた、その瞬間、彼の体から放たれる圧倒的な呪力が、まるで荒れ狂う嵐のように全てを飲み込んだ。
童磨はその変化を感じ取り、顔を歪める。「おや、これは――」
次の瞬間、宿儺は一気に前進した。彼の動きはまるで時が止まったかのように速く、予測すらできない。宿儺の指先が童磨の胸元に触れた瞬間、空気が震え、その振動が周囲に広がった。
「無駄なことを。」宿儺の冷徹な言葉とともに、彼の力が爆発的に発動した。
その力は、童磨の体を引き裂くように襲い、童磨が動く間もなくその存在を消し去った。宿儺の圧倒的な力の前で、童磨は一瞬で崩れ、何の抵抗もできずに消滅した。
「これで、終わりだ。」宿儺は冷徹に言い放ち、消えゆく童磨の姿を見下ろした。
その後、周囲は静まり返り、宿儺は再び冷静な表情に戻る。彼は戦いが無駄だと感じていた。自分が目指すものに、無駄な存在はもういない。ただひたすらに強さを求めるのみ。
宿儺が童磨を瞬殺したその直後、戦場は再び静けさを取り戻した。だが、宿儺の勝利を目の当たりにした者は、次の脅威を感じ取っていた。それは、遥か遠くから感じる気配。黒死牟、その名が戦場を覆い尽くす。
突如、空気が重く、冷徹な黒いオーラが辺りを包み込んだ。宿儺が感じたその力に、ほんの少しの興味が湧いた。黒死牟――鬼殺隊の中でも伝説的な存在であり、またその力は計り知れない。
「――ふむ。」宿儺は眉をひそめ、無意識に自らの力を一層高めた。
その瞬間、空気がひずみ、闇の中から黒死牟が姿を現した。彼の身に纏うは、何層にも重なる漆黒の鎧と、無数の刀が垂れ下がる。その目は、無感情のようでありながらも、その中には千年を生きた者だけが持つ冷徹な知識と、底知れぬ殺意が含まれている。
「――お前が宿儺か。」黒死牟は静かに言った。その声は低く、まるで地獄の底から響くように冷たかった。「確かに大したものだ。」
宿儺はその言葉に何も反応せず、ただ黒死牟を見つめた。その視線に込められたのは、ただ一つの感情――興味。
「だが、自信過剰だ。」黒死牟の口元がわずかに歪んだ。「君が私を倒せると思うのか?」
宿儺はほんの少しだけ、口元に冷笑を浮かべた。「そうだな。お前を倒せるかどうかは分からないが、確実にお前が俺を倒すことはないだろう。」
その言葉と同時に、宿儺は動いた。速度が速すぎて、周囲の空気が一瞬で変わり、まるで時が止まったかのように感じられる。その目にも留まらぬ速さで、宿儺は黒死牟に迫る。
だが黒死牟は、その動きに反応し、すぐに一歩後退した。彼の体に巻きつくように浮かび上がった無数の刀が、まるで自ら意思を持つかのように動き出す。黒死牟の手からは、凄絶な刃が飛び出し、宿儺に向かって突き進んだ。
宿儺はその刃をいとも簡単にかわし、目にも留まらぬ速さで黒死牟の肩を狙った。しかし、黒死牟の動きもそれ以上に速く、彼の刀は一瞬で宿儺の視界を覆い尽くす。
「――ほう、なかなかのものだ。」宿儺は冷ややかに言いながら、空間に無数の呪力を放った。その呪力の波が、黒死牟の刀をかき消し、空気を切り裂く。
だが、黒死牟は一撃を受け流すことなく、すぐに間合いを取り、反撃に転じた。「無駄だ。君の力は、私のものには届かない。」
その言葉とともに、黒死牟はまるで幻のように消え去り、宿儺の背後に現れる。彼の刀は空気を引き裂き、宿儺の体に向かって猛然と振り下ろされる。
だが、その刃が宿儺に届く前に、彼の体が闇の中で消え、すでに黒死牟の視界には存在しなくなった。宿儺は一瞬で黒死牟の位置を把握し、再び現れる。
「そんなに急ぐな。戦いには遊びも必要だろう。」宿儺は冷笑を浮かべながら、呪力をさらに強化した。
その瞬間、宿儺の周囲に無数の影が集まり、全ての空間が歪み始めた。宿儺は黒死牟を中心にした領域展開を開始したのだ。異常な圧力が周囲を覆い、黒死牟の刀がすべてその力に呑まれていく。
「――これで決める。」宿儺の一言とともに、領域内の空間が崩壊を始めた。