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コメント
2件
文章の書き方がとてもとても好きです!100♡にするのすら苦に思いませんでした!
皆さんこんにちは作者です。
凄く久しぶりの投稿になりますが、私の話を待ってくれていた人いますでしょうか?居ましたら長らくお待たせ致しました。
楽しんで行って下さい。
注意
・太宰さんは弱ってます。いつもの様な余裕のある太宰さんはいません。
・太宰さん愛されです。
・語彙力皆無です。
それではどうぞ!
太宰が入社して一度だけ人間失格と言ってしまった事があった。俺はその時の事を今でも後悔している。
その日も何時もの様に太宰は数時間遅れて出社し、そして俺も何時もの様に太宰に説教を垂れていた。
「貴様は何時になったら遅刻しないようになるのだ!それになんだその格好は?!」
「これはだね国木田君!道端で良い感じに綺麗な川があって飛び込んで見たらこの通り!水中にあった葉や草が外套を可愛く飾ってくれたのだよ!」
どう?羨ましい?そう言って身長差で必然的に上目遣いで此方を見る太宰。だが外套にこれでもかとへばりつく葉や草によって可愛さは半減している。そもそも俺は男をそんな見で見るつもりは無い。折角善い外套を持っているのだから清潔に保って欲しいものだ。
「何が『羨ましい?』だ!外套に葉と草が着いているだけではないか!」
「えー分かって無いなぁ国木田君は」
そう言うと一呼吸置いて太宰が続けて言う。
「これも最近の流行りなのだよ」
「そう・・・なのか?」
「うん、そうだよ。全く、流石は国木田君流行に疎いねぇ。さ、早くメモメモ!流行りに乗れない男はモテないよぉ?」
「別にモテたい訳では無いが・・・さーいーきーんーの、りゅーこー「嘘だけど」太宰貴様ァ!」
「うへぇ国木田くーん・・・それ以上首、閉められると私、他界他界、しちゃうよぉ」
「く、国木田さん本当に太宰さん死んじゃいますから今日はその辺に・・・」
「どらぁ!人間失格野郎めぇ!」
事務員の声に流石に死なせる事は出来ないと太宰の首から手を離す。大分派手な音が後ろから聞こえた気がするが無視を決め込み仕事に戻る。いけない、太宰の為に何分か時間を無駄にしてしまった。挽回すべく、ペースを上げる。そして数分経って気付く。太宰がまだ床に鎮座している事に。何時もならもうとっくに起き上がっている筈なのだが・・・。眉を寄せて太宰の顔をじっと見る。焦点の合わない目。蒼白い顔。震わせながらも何か言葉を紡ごうと動く唇。全てが異常だった。何故もっと早く気付いてやれなかった?己の未熟さに失望した。だが今はそんな場合では無い。急いで与謝野女医に連絡しなければ・・・。
「与謝野女医!すみません太宰の様子が可笑しいのですが・・・」
「わかった。直ぐに行く。国木田は太宰を医務室に運んでおいておくれ」
「分かりました」
電子端末から聞こえた与謝野女医の声に従い太宰の居る所に向かう。
流石は幾度となく修羅場を乗り越えて来た女医だ。多少の動揺は見えたものの次の行動に無駄が無い。俺は急いで太宰の傍に戻る。そして先程まで小さかった呟きの様な声が俺の居ない間に大きくなっている事が分かった。
「さっきからずっとごめんなさいって謝っているんですがどうしていいか分からなくて」
すみません。敦が俺に謝る。だが仕方の無い事だろう。何故なら彼はつい先日まではこの社とは無関係だったのだから。
「大丈夫だ。気にすることでは無い。此奴の傍に居てくれた事、感謝するぞ敦」
敦を落ち着かせ、太宰に近寄る。太宰の顔色は未だ蒼白い。震える指先だけでも何とかしようと太宰の手に己の手を重ねようとした。
「やめてッ」
太宰に弾かれた己の手。太宰の方を見ると怯えを含んだ瞳を此方に向けていた。そして己のした事に気が付いたのか先程より一層顔を蒼白くした。
「ぁ・・・そんなつもりじゃ」
そんな顔をさせるつもりじゃなかったの
そう呟いた太宰。そんな顔・・・俺は今どんな顔をしている?
「─ださん」
「─国木田さん!」
敦の声に脳が覚醒する。そうだ俺にはしなければならない事があるのだ。
「嗚呼、敦助かった。すまないが太宰を医務室に運ぶのを手伝ってはくれんか?」
「勿論です!」
✣✣✣✣
太宰さんを医務室に運んだ。太宰さんの顔色はまだ悪い。僕はまだ社に入って少ししか経って居ないから太宰さんの事は詳しく知らない。でも今日分かった事がある。それは太宰さんはまるで一度壊れたら直らない鏡の様に生きている事だ。壊れても表面だけは接着剤やガムテープとかで修復して何も無いように繕うけれど、それでも一度壊れてしまった心はもうずっと傷付いた儘なんだ。そんな生き方をする太宰さんに僕は恐怖を覚えた。だって普通の人なら一度心に傷を負ったら言葉には出さずともボロが出るから。今回の国木田さんの様子から太宰さんはその傷を今日の今日まで隠し貫いて来たという事になる。ふと思った。太宰さんは何故人を頼れないのだろうか、と。矢張り信頼されて居ないのかもしれない。だけどそれは凄く悲しい事だと思った。だって今の彼の居場所に彼が息抜き出来る場所なんて何処にも無いと言うことになるから。今まで自分の弱さに負けていた僕を助けてくれたのは太宰さんだ。今度は僕が太宰さんを助けたいと思う。
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