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ひじきさんだよ
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スイカはプリティー
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ぱり
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四神には、前任が逝去した場合は担当の教育係が国の常識や歴史を教えるという決まりがある。
「白虎が…そうか」
「もし、次なる白虎が産まれた暁には、お前が担当となるぞ。玄武」
「このエロオヤジに子供を育てられるとは到底思えん。青龍、ヌシの方が適任であろう」
「だが朱雀。俺もお前も前線に立つのだ。もう戦えぬ玄武にしか頼れないだろう」
「そうだなぁ。碌に歩けもしない老いぼれは、次の世代を育てることに尽力しようか」
「玄武見よ!我の子だ!白虎も産まれたぞ。どちらも先祖返りだそうだ」
「それは本当か朱雀。だが、今しがた青龍の方からは男の子が産まれたと矢文が来たが」
「どうなっておる。異性で生まれてくることはないはずじゃ」
「君が言うと少しややこしいな。女装癖の朱雀くん」
「これは我の勝手だ。それよりどうする。禁忌である四神同士の子を作れる状態になってしまったぞ」
「私はどうなるのか気になるけどね」
「初めまして。新たな白虎くん。君はよく笑う子だね。スマイルと名付けよう」
「まだ言葉も分からない赤子に勝手に名前を付けるな…ほう。中々に尖った歯だ。昔、本で見た鮫のようだな」
「お主の名はあかりじゃ!我のように美しく明るい炎と…む。待て!服の装飾を口に含むな!」
「私にしか注意をしないのか?世話好きの青龍くん」
「…朱雀は言っても聞かないからな」
「白虎よ。君に、名前を与えよう」
「名前?」
「私はスマイルと名付けたい。だが、君の意見が何より大事だ。君は、どんな名前がいい?」
「スマイルでいい」
「そうか。私が名付け親になれて光栄だよ。改めて、よろしく頼む。スマイル」
「あの女遊びばかりしていた玄武からの言葉とは到底思えんな。のうアキラ?」
「そうなのー?」
「子供に何を聞かせてるんだ。シャークん。こんな軽々しく下賎な言葉を使う大人になるなよ」
「?おー」
「君たち、聞こえているよ」
「クソッ…なぜこんなにも大量の妖魔が街中に…」
「我がなんとかしよう」
「?!何を」
「我は、この国を見通す預言者にして、道先を照らし出す炎である」
「朱雀、君は」
「我が炎をすべて、浄化に使おう。鎮火は任せたぞ。青龍」
「…ああ。喜んで、お前の全てを受け止めよう」
「あれ?玄武じいさんに青龍さん!お父さんは?」
「…」
「お父さん、寝てるの?」
「すまないね、アキラ。朱雀は、この国の為に力を使いすぎたんだ」
「…あれ?ねえねえ今ね。お父さんを燃やすのが見えたよ?これも、未来の話なの?」
「アキラ、ちょっと向こうで遊ぼ」
「…ありがとう、シャークん」
「ん」
「お父さんではないが、アキラとスマイル。君たちは私が面倒を見よう」
「よろしくな、アキラ」
「よろしくー」
「あ!玄武じいさん!」
「ああ、そこで止まっておくれ」
「それ、なにしてんの?」
「新たな玄武へのプレゼントを作っているんだ。せっかくだし、君たちにも何か一つ作ってあげよう」
「俺、お父さんが持ってたやつがいい!」
「扇か?だが、私は鍛造が趣味だから、生憎竹や紙を扱うのには疎い。代わりに武器にもなる鉄扇を作ってあげよう」
「俺は、親父みたいにかっこいい武器!」
「はっはっはっ。青龍も随分懐かれたようだ。なら、私の知る限りの知識で、最高にかっこいい武器を作ろう」
「…」
「スマイル、君は?」
「俺はいらない。父さんのこと、何も分かんないし」
「スマイル」
「…」
「なら、スマイルのはお楽しみだ」
それから二人は前任玄武の元で成長して、たまに親父に連れられて二人に会いに行ったりして、気付いたら俺たちは一人前に育って、前任玄武とも対等に職務を全うしてたんだ。
「詳しい思い出話とかはどっちかに聞いた方がいいと思う。俺は基本的には親父のもとで修行だったからな」
「…僕、昨日から疑問に思っていたんです。前任の青龍がまだいるのに、どうして代替わりなんて、と」
「ああ。親父はもう、碌に力が残っていないんだ。だから、俺が成人した頃には青龍を引退して、俺が責務を代わった」
「じゃあ、スマイルさんは初めから前任玄武の元で育って、アキラさんは…」
「自分の父親の死を目の当たりにしてから前任玄武に育てられたんだ」
「…」
「本人のいない所で、あいつの心情なんか考えたって無駄だよ」
「そう、ですよね。もう、過ぎたことですから」
でも、とピヤノは続ける。
「知らなかったし、気づかなかったです。いつも明るい、太陽のような人だなって思っていたんですけど、まさかそんな過去があったなんて」
「ピヤノは前任と実際に会ったことないもんな。実の親でも、実感なんかないだろ?」
ピヤノは図星を突かれたように目を開き、それから俯いて考え込んでしまった。
「ピヤノ?」
俺が覗き込もうとした瞬間
「いたぁぁぁ!!!!」
聞き覚えしかない大声でこっちに突っ込んでくる鳥を見た。
「アキラ?」
「二人とも遅すぎ!もう出来上がっちゃったよ?!麻婆豆腐!!」
「あ、もうそんな時間だったか」
「早く早く!珍しくスマイルが食器並べ手伝ってくれてるんだから!!」
俺とピヤノはそれぞれアキラの手に掴まれ、引きづられるように連行されていった。俺はこっそり
「前任玄武の話、また聞きたくなったらいつでも来ていいからな」
そう囁いた。
「遅かったな」
アキラさんが扉を開けた瞬間、スマイルさんの声が聞こえ、待ち構えていたように入り口で腕を組んで立っていた。
「思ってたより話し込んじゃってさ。お詫びと言っちゃあれだけど」
シャークんさんが、懐から瓢箪を出した。この匂いは
「お酒、ですか?」
「そ。ピヤノ、もう飲める歳だろ」
「えっ、俺も用意しちゃったんだけど」
「…実は俺も」
シャークんさんは広大な畑で採れた穀物から作られた白酒、アキラさんは南の特産品で作られた果実酒、スマイルさんは山で採れたであろう薬草から作られた薬酒を机に置いた。
「ねえ二人ともセンスなさすぎ!まずシャークん!初心者に度数高いお酒はダメでしょ!」
「いや、だって一番飲まれるじゃん。宴会とかでも欠かせないし」
「次にスマイル!苦いじゃん!俺も嫌いだよ薬酒は!」
「健康にいいしいいだろ」
「てか、それを言ったらアキラの果実酒なんか酒じゃねえだろ。ほぼジュースやん」
「初心者にはそれくらいがいいんだって!」
目の前で三人が揉めているが、僕はとりあえず事態を収めるために言葉を発した。
「あの、すみません皆さん。僕、健康のためにお酒は飲まないって決めてるんです」
「「「え?」」」
一斉にこっちを向いて硬直してしまった。僕のために用意してくれたのは有難いけど、今のところは身体に無理言ってまで飲もうとは思っていない。
「まあ確かに、サプライズとは言え何も言わずに勝手に用意したのは俺らだし」
「じゃあ自分で持ってきたのは自分で飲むってことで」
「シャークん。薬酒飲めるよな?」
「なんで自分でも飲めないもん選んでんだよ」
それぞれが持参したお酒が、スマイルさんが並べてくれたお猪口に注がれていく。それが終わるとアキラさんが厨房へ戻り、僕用のジュースを持ってきてくれた。
「実は俺の果実酒と同じ味なんだよ。そのジュース」
「いい匂いですね。爽やかだけど、甘い香りがして」
「ちょ、アキラ。水もらうわ」
「薄めんの?」
「もう青龍さん呼んで飲んでもらう?」
「親父も歳だから自制してんだよ。確か」
「ピヤノが頼めば飲むんじゃね」
「僕ですか?」
確かに、最近は会えていないが、よく家庭菜園で採れた野菜や果物を送ってくれる。でも正直、この歳になってもまだおじいちゃんと呼ぶべきなのか未だに悩んでいる。
「まあ、なんとかなるだろ!もう食おうぜ!!」
スマイルさんが流れを変えるように手を叩き、そう言った。とりあえず僕も貰ったジュースをお酒が入るはずだったお猪口に注いだ。
「じゃー今日はなんの日でもないけど、かんぱーい!!」
「「「かんぱーい」」」
アキラさんの音頭に乗って全員が器をカチンとぶつける。一口飲むと、香りに負けず劣らずな爽やかな甘さと、後味にほんのりと花のような優しい甘さが広がった。
「わ、おいしいですね」
「でしょ?って、スマイルすごい顔してるw」
「お前なんで嫌いな酒持ってきたんだよ」
「いや…だってさぁ。俺もほんとは白酒持ってくつもりだったわけ。でもシャークんと被りそうだなって思って。せっかくなら西にあるものがいいなって考えたけど、俺んとこって山ばっかなわけでさ、米もキビも育てるの難しいから黄酒も東に買いに行かないとないし、西で作れるものと言ったらそこら辺の薬草で作ったこの、修行と健康用の薬酒しかなかったわけよ」
もはや誰もスマイルさんの話を聞いていない。とりあえず僕は相槌を打っておいたが、内容はすべて右から左に流れ、もうなにを話されていたのか分からない。
「ほい。ピヤノの分ね。米もあるから、遠慮せず食べて」
「アキラおかわり」
「シャケはやすぎん?!ちょ、待って待って…足りるか?これ」
アキラさんの麻婆豆腐は絶品と言っていいほど美味しかった。しかし
「うへへー…しゃあくん?のんでなくない?」
「ちっ。うるっせー…お前声響くんだからさぁ」
「ピヤノ〜聞いてくれよ〜」
「はぁ…」
全員、酔っ払ってしまった。アキラさんは上機嫌だけどシャークんさんは不機嫌だし、スマイルさんは僕の肩を抱きながらさっきから呂律も回らず何かを喋り続けている。
「あの、皆さん?僕介抱なんて嫌ですよ?」
「らいじょーぶらいじょーぶ」
「アキラ今日泊まってっていいよな?」
「いーよー♪うへへぇ♡しゃあくんといっしょだぁ♡」
ちょっと向こうは見ないようにした方がよさそうかな。僕はとりあえず帰る準備をする。
「え?ピヤノ帰るの?」
「はい。まあ人は呼んできますよ。皆さんの介抱をしてくれる方を」
「俺も行く」
「スマイルさんフラフラじゃないですか」
僕が動こうとするとスマイルさんが絡んでくるし、身体も密着させてくる。まずい。僕の身体が誤作動を起こしそうなくらい今のスマイルさんには色気がある。
「俺〜、今気分いいからここで一つ舞いまーす!!」
僕が酔っ払ったスマイルさんに手を出す前に、アキラさんのよく通る声が聞こえてきた。
「あー音楽ないのかぁ…ま、いいや。俺が口ずさみながらやるー」
ブツブツ呟きながら空いている場所にフラフラと歩いていった。
「おっいいぞー」
「やれやれー」
「アキラさん?そんな状態で出来るんですか?歩くのだって危ういのに」
「大丈夫だってー。ピヤノは心配性だなぁ」
突然、空気が一変した。さっきまでの賑やかで明るい太陽が落ち、憂いを帯びた美しい月が顔を出すように雰囲気が変わった。たった一人で場の空気を変えてしまうなんて、アキラさんは凄いな。
「…〜〜♪」
アキラさんが口ずさみながら舞い始めた。ゆっくりと、まるで羽を見せつけるように大きく動きながら。
(相変わらずアキラ綺麗だなー)
(シャークんへの求愛ダンスじゃねえか)
(鳥の求愛行動だ)
「Zzz…」
ピタ、と口ずさむ音楽が無くなったと思ったら、アキラさんは寝てしまった。それに気づいたシャークんさんが咄嗟に身体を支え、そのまま担ぎ上げた。
「こいつもう無理そうだからお開きでいいよな?」
「ええ?やだ!」
「スマイルさん、飲みすぎですよ。それで帰れるんですか」
「泊まってけばいいだろ!アキラもいいって言ってたし!」
今度はスマイルさんが上機嫌になってしまった。とりあえず僕はシャークんさんにアキラさんを寝室まで連れて行って欲しいと頼み、シャークんさんのお酒を勝手に飲んでいるスマイルさんを止め
「立てますか?」
「離れない!立てない!」
「はぁ…」
無理やりスマイルさんを立たせたが、僕とスマイルさんでは体格が違いすぎて担ぎ上げることは出来なかった。
(あ、確かあの方法は体格差関係なかったはず。そう書いてあった気がしてきた)
「スマイルさん、失礼しますね」
僕はスマイルさんの背中と膝裏に手を回し、そのまま持ち上げた。
「うぇ?ピヤノ顔近いね。んふ、かわいー」
普段の無表情とは違い、へにゃへにゃと笑うスマイルさん。あなたのが可愛いですよ…!
(とは口に出せないけど!やばい、さっきは凌げたのに、また反応し始めちゃった…)
僕は失礼ながらスマイルさんで上手く下半身を隠しながら外へ出る。すると
「あれ?ピヤノ勃ってる?しょうがないなぁ〜w」
スマイルさんにバレてしまった。
「え、しょうがないなぁってなんですか?!僕流石に酔っ払い相手にヤりませんy」
ちゅっ
「ふははっ!随分まぬけっ面だ」
僕は、スマイルさんにキスされてしまった。それも、頬とかではなく唇に。それを理解した脳が徐々に体温を上げていく。視床下部が過労死してしまうんじゃないかというくらい体温が上がり続け、心臓の拍動も、異常なほどに加速していった。
「ちょ、スマイルさっ、な、何を」
僕は気が動転しすぎてろくな文章も作れず、そう発した。やはり伝わらなかったようで、けらけらと笑うのみで返事はなかった。
「アキラんとこがダメならピヤノん家泊まらせてよ」
「な、なんでですか。このまま西に送っていきますよ」
「今日、一人でいるのやだ。だめ?」
なんで僕の下半身は反応し続けるんだー!流石に酔っ払いに手を出すわけには…
「そういう、こと、で…」
静かな寝息が聞こえてきた。これ、どうすればいいんだ?!え、本当に僕の家?いやでも、明日起きた時どう説明すれば…?
(でも、独り占めできる、チャンス、だよな…?)
って!何考えてるんだピヤノ!そんなのダメでしょ!!
「んん…置いてかないで…玄武…」
「!!」
分かっている。スマイルさんが指す玄武は、僕じゃないこと。それでも
「はい。傍にいますよ」
スマイルさんは少しだけ、微笑んだような気がした。
「好きだなぁ」
僕は産まれた時からあったスマイルさんへの感情、”恋心”に、この時初めて気が付いた。
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ひじきさんだよさんの『第5話 跡』、読み終えました……! もう、最後のピヤノの「好きだなぁ」が心に沁みました。酔ったスマイルさんのへにゃっとした笑顔と、その直後のキス。あのギャップ、ずるいですよね。それに「玄武道」と寝言で呼ばれた時のピヤノの「傍にいますよ」が、切なくて、でも優しさに溢れてて。読んでるこっちの心臓がきゅうっとなりました。 あと、アキラさんの舞の場面!あんなに騒がしかったのに、たった一人で空気を変えてしまう美しさ。本当に、登場人物一人ひとりの表情や間合いが丁寧に描かれていて、ページをめくる手が止まりませんでした。素敵な作品をありがとうございます🌷