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一目惚れだった

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一目惚れだった

1 - 一目惚れだった

♥

202

2025年02月02日

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こんにちは

初めての方ははじめまして、へびまるです


のろーに×アイスバース

です


一応死ネタかもしれません


苦手な方はご注意ください

へびまるは責任を取りません


それでは!

ルールやマナーを守って、ご閲覧ください









最初は、一目惚れだった。


出会いは小学生の頃。濡れた瞳と視線が合ったその瞬間から、彼の目、声、癖毛、仕草、涙、全てに恋した。

相手は男で、……しかも、アイスなのに。


アイス。この世に存在する第二性の一つ。人類の1割にも満たない、本当にごく一部の人が持つ性だ。体温が低く、「ジュース」と呼ばれるもう一つの第二性と結ばれると、溶けて死んでしまう。

アイスにとって愛は、求めれば求めるほど、体を蝕まれ、やがて自分を殺してしまうもの……なのかもしれない。論文によると、アイス以外のヒトのジュースの割合は、二分の一らしい。ジュースかどうかを判別する方法はまだないけれど、アイスとのカップルの死亡率から計算されたそう。


もしも俺がその二分の一を引き当ててしまったら。

自分がジュースかどうかなんて知りたくないと思った。それはきっと、ジュースであることを知るのが怖かったからだ。


ねぇらだぁ、


違う中学校へと進学して以来一度も会っていないのに、俺はいまだに忘れられない。友人もできて、告白もされたし、なんなら一時期恋人もいたが、それでも頭をよぎるのは君の笑顔なんだ。



なぜ15年以上前から会ってもいない彼の話をしたのか。


俺たちは、最初に出会ったこの校舎で最悪の再会を果たした。それが理由。


「らだぁ…!」


君は、鬼だった。


「鬼ごっこなんて、やめようよ…」


もしくは、呪われの身。


俺らの母校の七不思議に、『願いを叶える神社』があった。誰かに呪いをかけて自分は幸せになれる、なんて、昔は本当のことだなんて思ってもみなくて、みんなで面白そうに喋ってた。無邪気なあの頃に戻りたい、などと夢物語を考える。


あぁ、君も俺も、子供達も、可哀想な被害者で、加害者はいない。

こんな犯罪、どうやって解決したらいい…?


「ハヤク…帰レ、よ!」

「だから!出られないんだって!閉じ込められたの!!」


ドス黒い血を纏ったらだおが鎌を振り翳して襲いかかる。その口は歪んだように笑ったままだ。鈍く光る銀が空を切る音を躱し、階段を転がるように逃げ、廊下を躓きながら走る。逃げた先にも血痕が残っていた。


『おれさ、刑事さんになる!』


無邪気な、あの頃。

夢も恋も叶うと思ってた。


訂正、努力の結晶で俺の夢は叶った。でも、恋は。


『っふは、ぺんちゃんらしぃじゃん』

『でしょ?ねぇ、らだぁは?らだぁの夢は何?』

『……俺は…学校の、せん


轟音。


床に置かれた教科書で足を取られ、沢山の机の中に倒れ込んだ。身体中がズキズキと痛む。


目の前にらだおが、いや、鬼が迫る。こんな時でさえ想うのは君のこと。

らだお。

鬼の顔は、手は、体は、仕草は、走り方は、声は、あの頃のらだおの鱗片を残している。


ビュ、と音が鳴り鎌が高く掲げられる。立てない。逃げられない。…撃つしかない。


唯一の武器、拳銃でらだおの手を狙う。


ダァン!


持ち主を離れた鎌は俺の真上を飛び去っていく。凶器を失ったらだおは少し考えるように自分の手を見つめている。


今のうちに、逃げないと。


逃げる。また、俺はらだおから逃げる。12歳になったあの春と一緒で、逃げる。また。俺は。


光のない虚な双眸がこちらを向いた。

不気味に口の端を曲げながら。


「らだぁ」


もう逃げたくない。


「らだぁ、正気に戻って」


らだおの指があっという間に俺の首を掴んだ。力が加わっていく。締め殺すつもりなのだろう。でも、冷たい掌は俺がずっと欲しかったものだ。


「らだぁ、お願い、ら、だぁ」


息が、できない。

喉が閉まって言葉が出なくなった。

反射的にらだおの腕を握る。


「す…」


らだおの口から空気が漏れた。


「…好きだった」


これは…俺の幻覚だろうか。天国だろうか。それとも、地獄なのか。


俺がどれだけ待ち望んだ言葉なのだろう。らだおが俺のことを好きでいてくれたらと、どれほど夢見たことだろう。夢に見て、その恋に答えられない自分も想像して、こんな世界に嫌気がさしていた。


らだおが俺のことを好きだと言ってくれたら。好きだ、俺も好きだ、そうやって返したかった。

でも俺はジュースかもしれない。もしそうなら、俺のこの気持ちは悲劇への引き金にしかならないから。



…今はもう、失うものはない。既に悲劇の真っ最中。


だから。

あの日、君に惚れた日からずっと心の底に溜め込んでいた言葉を、今、ようやく、必死に紡ぐ。


「俺も、好きだ…!」


そう言ってから、喋れることに気づいた。手の力が弱まっていて、らだおはもう笑っていなかった。代わりに涙が瞳から流れ落ちた。その涙にあの日のらだおが重なる。初めて出会ったあの日、らだおは泣いていた。らだおが抱える闇が深いことは最初から痛い程わかってて、そうだ、漠然と、守ろうと思った。


「うぁ゛…ぺん、ちゃ」

「らだぁ!…戻っ、た…の?」

「そう、かも。……でも」


首元がべとりと濡れる感覚で、らだおの言葉の続きがわかった。俺は掠れた声を洩らす。


「あぁ、やっぱり」

「…ぺんちゃん、ジュースだったんだね」


アイスが完全に溶けてなくなるまでは約3分かかるらしい。俺が本当にらだおを守れるのは3分間しかない。

らだおに付いた返り血で服が汚れるのも、溶け出したらだおで全身びしょびしょになるのも構わず夢中で抱きしめた。いや、むしろらだおは全て俺が浴びたい。


「…刑事になれたんだ」

「うん。らだぁこそ、先生になったんだね」

「ははっ、まぁね。いろいろと教師失格だけど」

「らだぁはいい先生だったんでしょ」

「さぁ…そうは思えないなぁ」

「俺は絶対いい先生だと思うよ?」

「見たことないくせに」


あと2分30秒。


「らだぁ、俺さぁ…」

「なに?」

「初めて会ったときから、らだぁのこと好きだった」


らだおの指が驚いたようにピクリと震えるのが背中で分かった。


「…じゃあ一目惚れってやつ?」

「うん、そぉだよ」

「はぇー」

「らだぁは?いつから俺のこと好きでいてくれたの?」

「……ぺんちゃんが刑事になりたいって言った日のこと、覚えてる?」


覚えてる。初めて刑事になりたいだなんて口に出したから。あれはきっとらだおを守りたいと願ったからなんだと今になって思う。強くて絶対に悪をやっつける刑事なら、どこか儚いらだおも守ってくれそうだった。


「あのとき、俺が、先生になりたいって言ったとき、そんときに」


もう半分ほど溶けてしまったらだおの手に、弱々しく力が籠る。


「ぺんちゃん、『らだおならなれる、絶対いい先生になれる』って熱弁してくれて」

「うん」

「俺、こんな夢、叶えらんないと思ってたからさ」

「…うん」

「だから、その言葉があったから先生になれたようなもんなんだよね」


俺はもう何も言えなかった。


「だからさぁ、ぺんちゃん、ずっと言いたかったんだけど」


あと1分。

完全に消えるまで3分なら、喉が消えてしまうまでは何分だろう。


「ありがとね…」


耳が消えてしまうまで何分だろう。


「らだぁ、俺こそ」

「………」

「ありがとう!」


声が震えて、脳も余り回らなくなってしまって。

何を言いたかったんだっけ。


「そうだ。ごめん、逃げちゃって、ごめん」


どんどん細くなっていく。溶けていく。無くなってしまう。


「ありがとう、ごめんね、好きだよ、ありがとう…






どれほどぼんやりしていただろうか。らだおはいなかった。幻だったのかもしれない。でも目の前の濡れたらだおのジャージが存在を主張している。


「いつまでもこうしちゃいられないな」


ようやく俺は立ち上がって、それかららだおの服をひろう。教室の外に出る。少し歩いたところで子供たちに出会う。咄嗟にらだおをコートの中に隠した。こんなになってしまったらだおを、見られたくない、なんて、俺は何様のつもりなのか。


「刑事さん!」

「あ、君たち」

「無事でしたか?」

「俺は無事だよ」

「なんでそんなにべしょべしょなん?」

「えぇっと…間違えて消火器を自分に向けて発射しちゃって」

「なにやってんねん」

「先生は?どうなった?」

「……消えたよ」

「じゃあ出られるんか!この学校から」

「そう、呪いは終わった」


子供たちは嬉しそうに俺の手を引いて校門へと向かう。


「あ、ごめん。俺することあるからさ、君たちは先に帰りな?」

「なにするん?」

「ばか、空気読めや」

「……危ないことはしないでね」

「うん、大丈夫だよ」


みんなと別れて、向かうところは、校内の神社。そう、七不思議の。


名前すらない小さな神社は記憶の中と変わらず寂れて、苔むしていて。当たり前だけど、あの頃よりさらに古くなったように見える。


「えっと…二礼、二拍手、一礼だっけ」


二礼…二拍手…、あたりに手を叩く音が響いた。

願うことはもう決まっている。


__どうか、新しい世界で、もう一度らだおに合わせてください











少し汚い自分の部屋で、学生の俺は動画を見ている。

特にゲーム実況が好きだ。さらに言えば、マイクラというゲームが好きだ。


「この人、初めて見るな…」


企画名、『マイクラ青鬼ごっこ』。

再生ボタンを押した。声が流れ始めた。


あ、これは。




間違いなく、一目惚れだった。






fin









はい、お疲れ様でした〜

お読みいただきありがとうございます


いかがでしたでしょうか。




最後に一つだけ、

へびまるがびっくりしたことをお話ししても良いでしょうか


しますね


rdとpnの活動開始日、それぞれ調べてみてください



調べましたね?

時系列完璧じゃないですか!

完っ全に後付けなんですけどね

終わってからついでに調べたらわかりました


rdの動画見て、即配信者になる決意をした、とも取れますね


実際の馴れ初めは知りません

あくまで矛盾が生まれないのは、活動開始日のみを知った時です

あとは知りません



話したいことはそれだけです


それでは!

またお会いいたしましょう

この作品はいかがでしたか?

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