「ふぅ〜!お。これで1周した?」
という空楽王(ソラオ)の言葉に、全員が全員顔を見合わせる。
「したっぽい」
という礼王(レオ)。
「んじゃーどーするぅ〜?もう1周するぅ〜?」
と言う空楽王に
「いいタイミングだから一旦フード頼も」
という子那恋(しなこ)の提案で食べ物を頼むことにした。
「見て見て!ハートのポテト。可愛いぃ〜」
「ほんとだ。すご。でも普通のも食べたくね?」
と相談する空楽王と子那恋。
「たしかに。普通のとハートのとぉ〜。あとなにが食べたい?」
と子那恋が真風菜(まふな)に聞く。
「私?」
「私」
「んん〜。カーリーとかおもしろそうだよね」
「たしかに。カーリーね。優佳絵(ゆかえ)ーカーリーでいー?」
「ん?カーリー?なに?」
「ポテトポテト。フライドポテト。めっちゃ種類あんの」
「へぇ〜。私は普通のあればいいからみんなで決めて」
と言う優佳絵。
「礼王ちんはどれがいい?」
空楽王が礼王に聞く。
「ポテト?んん〜…ニ宅寺(にたくじ)さんはどれがいいとかある?」
礼王が華音にも聞く。
「え?あ、えぇ〜っと。…私は普通のがいいかな」
「そっか。あ、でも普通のでもノーマルとプレミアムがあるよ?」
「あ、ほんとだ。プレミアム…。なにが違うんだろう」
「たしかに」
「でも私はノーマルでいいかな」
「じゃオレもノーマルでいいや」
ということだったので
「おっけー?じゃあトッキーは?」
空楽王が時守に
「須木弁(スギべ)くんはなにがいいとかある?」
子那恋が鏡に聞く。
「オレはぁ〜…いや、どれも捨て難いよね」
と悩む時守。
「僕はぁ〜…。お任せします」
と鏡は回答を投げた。
「お任せね?りょーかい」
と全員どれも捨て難く、どれでもいいようだったので
「一州茗楽(イスミラ)」
「はい?」
「一州茗楽(イスミラ)はクリスバーズね」
「お?」
「私カーリー」
「なるほど?じゃあトッキー」
「うん?」
「トッキーは皮付き代表ね?」
とそれぞれ代表を立ててじゃんけんで決めることにした。
「いくよー?最初はグー!じゃーんけーん」
「「「ぽん!」」」
「ポテトMサイズの3種類。…ノーマルとカーリーとハートー。
ソースはぁ〜ケチャップ、チーズ、バジルマヨでよろしくぅ!」
結果的に子那恋(しなこ)が勝ち、最後の1種類はカーリーに決まり、ソースもみんなで話し合って決めた。
その他にも頼みたいものをタブレットで頼み
メニューが届くまでの間、子那恋と空楽王のコンサートが開催された。コンコン。と扉がノックされる。
「お!ありがとうございます!」
マイクを通しての空楽王の感謝の言葉が部屋に響く。
他の7人も店員さんにお礼を言う。空楽王はお礼を言った後、店員さんがいるのを気にせずに歌い続けた。
「あ、こいつ店員さんがいても歌い続けられるタイプだ。さすがは陽キャ」
という子那恋(しなこ)に他の6人も頷く。空楽王が歌い終わったところで休憩&トークタイム。
「んんー!ポテトうまー」
子那恋がハート形のポテトを食べる。
「なんもつけずに食べた?」
空楽王が子那恋に聞く。
「うん。まずは素材の味を楽しむってのが通ってもんでしょ」
「なにが通だ」
と笑う空楽王。
「お。このクルクルも美味いな」
優佳絵(ゆかえ)がカーリーポテトをかじって呟く。
「ほんとだ。美味しいね」
真風菜(はなお)もカーリーポテトを食べて同意する。
「鏡、バジルマヨ食べた?」
「ん?食べてない」
「美味しいから食べてみ?」
「マジ?ちなみにチーズも美味しいよ」
と鏡と時守がソースについて話す。
「プレミアム気になるよね」
礼王が華音に言う。
「あ、うん。そうだね。なにが違うんだろ。皮付きとか?」
「今度食べてみる?」
「え?」
爽やか笑顔で意味深なことを言う礼王にドキッっとする華音。
「お。マジだ。バジルマヨうま」
「たしかにチーズも美味しい。あ、大鍵芸常(タケゲツ)さん、チーズ食べました?」
「ううん。まだ」
「チーズ苦手?」
「ううん。全然全然」
「そっか。チーズ美味しかったよ」
「食べてみよ」
と話す時守と真風菜、2人の横で鏡がタブレットを眺める。
「チーズ…チーズ…。あ、ピザソースか。ピザソースにチーズは間違いないコンビネーションだよな」
とソースの種類を見て呟く。すると
「なるほどね。ピザソースにチーズね。美味しそう。さすが。頭いいね」
と鏡の近くで一緒にタブレット画面を覗き込む優佳絵。
その顔に小ささと綺麗な顔と赤い髪とシャンプーと柔軟剤の香りでドキッっとする鏡。
「コンソメにガーリックバターとかどお?」
「え?あ、うん。いいんじゃないですかね」
「なるほどね。コンビネーションで探すのもおもしろいかもね」
相変わらず距離の近い鏡にドキドキし続ける鏡。
「そういえばチョコレートってのもあったけど、ポテトにチョコレートって美味しいのかな」
と呟く子那恋(しなこ)に
「たしかに。罰ゲーム感あるけど」
と同意する空楽王。その横顔に不覚にもドキッっとしてしまう子那恋。
は?なに今の「ドキッ」って。一州茗楽(イスミラ)に対して?いやいやそんな訳ない。
きっとチョコレートは罰ゲームっていう発言の罰ゲームって言葉に反応しただけ。
と自分に言い聞かせて改めて空楽王の横顔を見てみる。
すっと通った鼻。大きく吊り目気味な目。ワックスでセットされた金髪の髪に耳に光るピアス。
あ、同じとこにピアスしてる
とまたも少しドキッっとした子那恋だが
1、2、3…。右耳私より多い
と自分の右耳のピアスの数よりも多く、少し羨ましく、少しジェラシーを感じ、少しだけムッっとする子那恋。
「ピアス1、2個千切っていい?」
「え。なんで?怖っ」
「そういえばさ、優佳絵(ゆかえ)ってピアスしてそうなビジュなのにしてないよね?
金属アレルギーかなんか?」
「ん?いや別に金属アレルギーではないけど。でもバスケのときに邪魔じゃん?ただそれだけ」
「あぁ。なるほど?」
「わかります!オレも1年のときサッカー部だったんで
そのときにもピアス結構してて、軟骨とか外すのダルくてダルくて」
「あ、そっか。一州茗楽(イスミラ)ってサッカー部だったんか」
子那恋がハート型ポテトを食べながら思い出す。
「そうだよー。エース級だったんだから」
「ま、その嘘は置いといて」
「嘘認定された」
「なんだっけ?猫(猫井戸高校の略称)に上手い人がいて、敵わないなと思って辞めたんだっけ?」
と言う礼王。
「そうそう!よく覚えてたな!」
「猫か。たしかに強い年はめっちゃ強いって聞く。バスケ部も顧問の先生が変わって強くなったとか」
と優佳絵が言う。
「へぇ〜。女子でもなんか目立つ強い子とかいんの?」
興味があるのかないのかわからない聞き方の子那恋。
「いや、女子では聞かないけど、猫のバスケ部に、男子でめっちゃカッコよくて
上手いって人がいるとは聞いたことある。…なんか変わった名前…風…善?だっけな」
「え!風善!ですか!?苗字って木扉島(ことじま)でした!?」
「あぁ、うん。そんな苗字だった気がする」
「兄弟だ。兄弟揃ってスポーツ万能なのか。
顔もカッコよかったし、試合後話しかけてくれたあの爽やかさ。
天は二物を与えずとは言うけど三物も四物も与えてるわ、あれは」
「お。一州茗楽よく知ってたじゃん」
と感心しているのかバカにしているのか、腕を組んで頷く子那恋(しなこ)。
「ん?なにが?」
「天は二物を与えずって言葉、よく知ってたじゃん」
「え。それはあまりにもオレのことをバカにしすぎじゃね?」
と言う空楽王にみんなで笑った。
「なんかこの後お昼食べに行こうかと思ったけど、めっちゃ頼んだから無理よね?」
「無理無理」
「無理だな」
「ちょっと厳しいかな」
「ま、音多木野(オトキノ)はいけそうだけどな」
「なに?さっきのお返しのつもり?」
「さぁ〜?」
「うわぁ〜シレぇ〜」
「シレぇ?」
「しらばっくれてる臭ぇってこと」
「え、オレが知らないだけ?ナウでヤングなティーンの間では普通に使われてる言葉なの?」
と言いながら全員の顔を見る空楽王。全員が全員首を横に振る。
「めちゃくちゃ造語じゃねーか」
「へ?これから私が流行らせるから」
「何言ってんだこいつ」
というやり取りをしている子那恋と空楽王の一方
「ティーンはヤングだろ」
と呟く鏡に
「たしかに」
と笑う優佳絵(ゆかえ)。
「ナウでヤングなティーンって。時代よ」
と言う礼王に
「たしかにね」
と笑う華音。
「シラいってなんか方言なかったっけ?」
「あぁ。たしかになんか聞いたことあるかも。北海道の方言ではないの?」
「んん〜…似た感じでしばれるってのはあるけど」
「しばれる?…縛れる…。んん〜…。わかんない。どーゆー意味?」
「うわぁ〜。今日はしばれるなぁ〜。みたいな」
と時守が自分の両肩を摩る。
「あ!寒いだ!」
「正解!でもなんかもっとこう…しばれる…なんていうのかな?もっと寒い感じのときに使う」
「へぇ〜」
と方言について話す時守と真風菜。
「あ、シライってあれだ。体操の技だ」
「あ、なんかあったね」
そんな感じでみんなでトークをし、歌い、トークを挟み、また歌ってカラオケの終了の時間が近づき
なぜか終了の時間が近づいてきたらみんな慌てて歌い出して、時間少し前にカラオケの部屋を出た。