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「再会、そして第二の戦火」● 1. 廃村を出発 ― ロジンの決意
夜が明け。
ロジンは、身体を起こし、壁にもたれながら深い息をついた。
「傷は、大丈夫か?昨夜は…いや…。すまない。」
ロジンは首を横に振り、
震える手で自分の銃を握りしめた。
「みんなが危ない時に、
私だけ隠れていられない。」
その言葉には、
痛みよりも強い“意志”が宿っていた。
カイはしばらく黙り──
やがて静かに頷いた。
「俺が、キミと仲間達を支える。」
二人は朝靄の中、仲間たちの元へと戻る。
● 2. 仲間たちとの再会
村の外れに近づくと、
YPJの仲間たちと民兵の姿が見えた。
ロジンの姿を見つけた瞬間──
「ロジン! 生きてたのね…!」
仲間たちは駆け寄り、
涙を浮かべながら彼女を抱きしめた。
1人の民兵が言う。
「あんたが救い出したんだな。」
カイはただ無言で頷いた。
民兵たちはまだ、
“謎の日本人傭兵” に警戒していたが…
ロジンの言葉が空気を変えた。
「彼がいなければ、私はここにいない。
彼を信じてほしい。」
その一言に、皆の表情が引き締まった。
● 3. 村の決意 ― 村人たちも武器を取る
村は意外にも無事だった。
民兵と村人たちが協力して防衛線を築いていたのだ。
老人がカイに言う。
「外から来た戦士よ。
ここはもう“ただの村”ではない。
我らも家を守るため戦う。」
若者も、女性も、年配の者まで槍や古い銃を持っていた。
カイは静かに感心した。
「強いな…この村は、この村人達は…。」
ロジンは微笑む。
「クルドはね、生きるために戦う民族だから。」
だが、その穏やかな空気を切り裂くように
遠くで爆音が轟いた。
● 4. 黒狼と仲介人の軍勢、再び現る
村の北側。
砂煙を上げながら武装車両が接近。
先頭に立つのは─
かつて裏切り者を導いた
仲介人(ブローカー)。
そして、その背後には、
黒狼(カラ・クルト)の部隊が整列している。
「ロジン・ダシュティを引き渡せ!
でなければ、この村ごと燃やす!」
怒号が響き渡る。
仲間が叫ぶ。
「来たぞ、あいつらだ!」
カイはM16A4を構え、
ロジンは傷を庇いながらも銃を握る。
● 5. 激しい戦闘
戦闘はすぐに始まった。
民兵が石壁の陰から応戦し、
村人たちまでが声を上げて戦列に加わる。
カイはロジンを援護しながら
正確無比の射撃を行った。
パンッ!
屋根の上のスナイパーを一撃で沈める。
ロジンも必死に撃ち返しながら叫ぶ。
「カイ、右へ! そこは狙われる!」
カイは転がりながら位置を移し、
二人は息の合った動きで敵を押し返した。
仲介人が叫ぶ。
「なんだあの日本人は……!?
特殊部隊か!?」
黒狼の兵士たちも焦り始める。
そして─
形勢が悪いと悟るや否や、
敵は煙幕を張り、一気に撤退を始めた。
黒狼は一時撤退。
村には一瞬の静寂が訪れた。
● 6. 戦いの後
ロジンは壁に背を預け、肩で息をしていた。
カイが支えに回る。
「無理をしすぎたな。」
ロジンは微笑み、首を振る。
「あなたと…みんなと戦えた。
それで十分。」
仲間たちも次々と集まり、
互いの無事を確かめ合う。
だが、油断はできない。
黒狼は必ず戻ってくる。
カイは空を見上げ、
静かに呟いた。
「あいつら…ロジンを狙う理由がある。
まだ、終わっていない。」
ロジンもその横で、
決意の眼差しを光らせた。
「包囲殲滅戦 ― 黒狼追跡編」
● 1. アザル、ホシュワン、シラン ─ 再会
戦闘後の村に
砂埃を上げて3人のシルエットが走り込んで来た。
「ロジン!!」
声を上げたのはアザル。
続いて、ホシュワン、シランも到着し、
ロジンの姿を見ると目を潤ませた。
アザルはロジンの肩を抱いて震えながら言う。
「無事でよかった…どれだけ探したと思ってるのよ」
ホシュワンはカイへ視線を移す。
「その顔…、お前が助けたんだな…
まだ信用はしないが、礼は言う。」
シランは口元を上げ、
からかうように言った。
「ロジンを救ったのは、謎の日本人ヒーローかぁ。」
ロジンは照れくさそうにカイを見る。
カイは短く言った。
「俺がやるべきことをやっただけだ。」
仲間たちの間に、
微かに信頼が芽生えていくのが感じられた。
ロジン、カイ、アザル、ホシュワン、シラン。
この5人は、
仲介人(ブローカー)と黒狼を追う追撃班として選ばれた。
村の防衛線を強化した
仲間たちに見送られ、
5人は夜明け前、静かに出発する。
ホシュワンが言う。
「黒狼は重武装の
残党兵をまだ持っている。
だが、ここで一気に叩く。」
アザルは、スナイパーライフルを抱えながら笑う。
「あいつら、自分たちの逃げ道がないの気づいてるのかな?」
カイは地図を広げながら分析する。
「行動パターンからして、
北の廃鉱を拠点にしている可能性が高い。」
ロジンは深く頷き、
自分の銃を握りしめた。
● 廃鉱山での遭遇
廃鉱に近づくと、
黒狼の残党兵士が
警戒態勢で配置されていた。
ロジンが囁く。
「ざっくりだけど、50人以上…でも、指揮官級はいない。」
カイは全員を見渡す。
「ここで残党兵を叩き潰す。
仲介人と黒狼は逃がすな。」
アザルが微笑む。
「合図をお願い。」
ロジンが深呼吸し、
右手を上げて小さく振る。
作戦開始の合図だ。
●突入 ― 連携攻撃
シランとホシュワンが左右から奇襲。
アザルが高所から援護射撃。
カイが正面で突破し、アザルが後衛から正確に援護する。
アザルの落ち着いた声が無線に流れる。
「ロジン、左に二人接近。」
ロジンはすぐに位置を把握し、
敵の動きを封じる。
ホシュワンが叫ぶ。
「カイ、こっち来るぞ!」
カイは大きく息を吐き、
正確な射撃で迫る敵を撃退する。
アザルは、片手にナイフを持ち、
暗がりの影のように動いて敵を制圧していく。
敵は完全に翻弄された。
● 黒狼残党、崩壊
20分後―
廃鉱の外は静まり返った。
カイの指示で仲間たちが周囲を確認する。
「終わったな。」
ホシュワンが息をつく。
「残党は全滅。
残ったのは」
シランが言う。
ロジンが答えを継ぐ。
「仲介人と……黒狼本人。」
カイは地面に落ちていた
仲介人の無線機を拾い上げ、
繰り返される同じ周波数の信号に気づく。
「あいつら、まだ近くにいる。
逃げる気はないようだ。」
アザルはロジンに目を向ける。
「ロジン…まだ行ける?」
ロジンはその問いに
迷いなく頷いた。
「あの二人を倒さない限り、
村も、私たちも終わらない。」
カイが最後にまとめる。
「これで決める。
黒狼との最終決戦だ。」
5人は静かに武器を整え、
無線の発信源
黒狼の本拠地へ進み始めた。