今日、転校生がくる。
そんな風の噂を聞き、窓の外に目を向ける。
現在、人々の大半が”五月病”という新たなる病に悩まされる時期。
そんな桜の花弁が見えなくなったような時期に転校とはどんなことがあったのだろうか。
この学園で誰しもが知っているであろう人物、
太宰治は思考を回転させ、考えていた。
彼は、昨年のミスコン優勝者であり、勉学の方も学年1位をとるほど。
すらっとした高い身長に、相手を見るだけで恋に落とすようなその顔。生徒会にも属しており、まぁまぁ運動もできる。
容姿端麗のお言葉が似合う胡散臭い程の人物であった。
転校生…、、可愛い美女であったりしないだろうか。と思いつつ、またもや風の噂で男ということを知り、感涙に伏せる。
そんな中なったチャイムの音。
そろそろ、お姿のお披露目会が始まる。
朝のホームルームの終わり頃、噂の通りに転校生の紹介がされた。
ドアを開け、入ってきたのは、何処か見覚えのあるものだった。
少し長めの赤茶色。質のある帽子。そして何より…その身長。
「それじゃあ中原は太宰の隣な」
その合図で私の学園生活は何とも言えない物になってしまった。
「よろしくな、太宰」
そう言われ、
「あー、よろしく。中原さん」
と答える。
初対面である以上、苗字の方が当たり障りがないだろう。との善意があったのだが、彼は黙り込んでしまった。
その日彼はクラスメイトに囲まれた為、私が話をする隙はなかった。






