※初心者
ビジュはあなたの好みで
街全体を薄ピンクに染める桜を眺めながら俺は胸を躍らせていた。なぜなら今日は待ちに待った高校の入学式だからだ。
真新しい制服を着て見慣れない通学路を歩き目的地へ向かう中で同じ制服を着ている人を何人も見かけ、その度に高校生という実感が湧いてきて嬉しくなった。
学校にはピカピカの制服をきっちりと着た俺含めいかにも新入生な人たちや少し着崩している上級生であろう人たちが昇降口の新しいクラスの名簿を見て一喜一憂していた。
俺もクラス表を見ようと足早に昇降口へ向かっていると突然後ろから肩を叩かれた。振り返るととんでもないイケメンがこちらを見ていたものだから俺は目を見開いて固まってしまった。
「これ落としたよ」
「…え?! あ、 ありがとう…ございます」
何ともぎこちない笑みだったと思う。イケメンは「どういたしまして」と微笑んで昇降口へ向かっていった。
『何今のイケメン?!』
『1年生?』
『連絡先貰っちゃおうかなー』
俺の後ろで女子達がきゃーきゃーと黄色い声で騒いでいたのが気まずくてそそくさと昇降口へ向かった。
見慣れない校舎を見渡しながら自分のクラスを探す。教室内に目をやると既に沢山のクラスメイトがいたが誰1人喋らないものだからドアを開けるのが気まずくて躊躇っていると後ろから足音が聞こえてきたので慌てて振り返り言い訳をする。
「ごめん!ちょっと緊張してて…」
「いいよ、気にしないで。俺も緊張してるし。」
見上げればさっき落し物を拾ってくれたイケメンがこちらを見下ろしていた。
2人いるなら気まずくないと思い躊躇いなく扉を開けるとクラス中の視線が一気にこちらへ向けられると同時に俺の背後にいるイケメンを見て女子たちはざわざわしだした。
『えまってあのイケメンと同じクラスなの運良すぎない?』
『一生分の運使ったかも』
俺は女子達に刺されないようそそくさと席へ向かう途中で何人かの男子に「よろしく」とか「仲良くしようぜ」などと挨拶を述べられ少し嬉しくなった。
初めてのホームルームが終わり鞄へ大量の荷物を詰め込んでいると隣の席のイケメンが話しかけてきた。
「ねえ、名前何?」
「あ…えと、白石」
「下の名前は?」
「湊だよ。そっちは?」
「相原一颯」
「よろしく…?」
「うん、よろしく」
気まずい。会話が続かない。
先に沈黙に耐えきれなかったのは相原の方だった
「この後さ、時間ある?」
「うん」
「俺さ、白石と仲良くなりたいから一緒に昼食べに行かない?」
イケメンて高確率で陽キャだよなと昔から思ってたけどまさかここまでとは。
相原は俺の反応を伺うように首を傾げて返事を待っていた。
「いいよ」
俺の一言が聞こえた時、相原はほんの僅かに目を輝かせ誕生日プレゼントを貰った子供のような顔になった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!