…一緒に住むか
こいつと
一緒に…
こいつの衣食住揃えるだけの金はあった
問題はこいつ自身の精神的な部分だ
他人の家に住むなんて
普通に考えりゃ
怖い
なのになんでこいつが
それを受け入れたのか
俺にはさっぱりだ
出)今日から…また、、よろしく
俺が望む生活とは一体なんなのか
改めて考えちまう
あぁ、独身?
元々俺は「異性」に対して
元々関心がなかった
中学の時
更衣室を覗こうとする男子どものトークに
うまくついていけないどころか、
俺ァ孤立してたんだっけな…
中学の時の話か…
今のとこ、必要最低限しか
こいつと話してなかったな
たまには中学の話の記憶でも振ってみっか
勝)…なぁ
出)はい、、
勝)…だから敬語やめろ
出)あ、えっとごめんなさ…ごめん
こいつの性格上、
無理もない
勝)出久は、、中学の頃の記憶はあるんか?
出)…あるよ
出)でもね、なんか
出)忘れちゃいけないことを
出)自分自身で閉じ込めている気がするんだ
出久が今思い、考えていること
それは、中学の自分が歩いた道?
それとも友達…?
それが“俺”だったらいいなって
自然とこいつに求めてしまう
自分が
どうしようもなく
かっこわりぃなって。
勝)ンだよそれ…
出)ご、ごめん、意味わかんないよね…
出)あの…さ、、
出)聞きたいこと、僕もあるんだけど…
出)話変えちゃってもいいかな…
出)…なんならその中学の話にも
出)僕が閉じ込めてしまっているものにも、
出)なんとなく…接点があるんじゃないかって
勝)…ん、(コクッ頷
俺が頷くとあいつはそそくさ
自分の荷物あるとこに行って
何かを手に取り、戻ってくる
出)……これ、、。
『出久、ごめん』
渡された物、それは…
俺が見舞いに持って行った
オールマイト限定缶詰の
裏面だった
銀色のところが深い傷になって
『出久ごめん』
って
刻んであった
間違いなく俺だ
それは月の光が窓に届かないほど
闇が深い夜だった
勝)三年経っても起きねえって…
勝)どういうことだよ…
高3の冬
例の缶詰が入ったビニール袋を片手に
雪に足跡をぽつぽつ残しながら
自分の家に真っ直ぐ歩く
家に着いても
今日は親が仕事で家に居なくて
「ただいま」ともかけてもらえない
…寒い
とにかく寒い
その寒さと、
冬のくせに…と思うほどの
闇の深さで
もうどうにかなっちまいそうで。
キッチンにあった包丁で
文字を刻んだ
なんでそんな行動に出たかは
よくわかんねぇけど…
出)…これ見つけた時さ
出)なんか心臓がぎゅううって
出)…痛くなってさ
出)とくにこれといった
出)思い当たりとかないのにね…、
勝)……
勝)出久は…
勝)…俺のこと知らねぇから
勝)意味わかんねぇと思うけど…
勝)…お前のこと…昔からいじめてて。
勝)見下して…
勝)酷いこといっぱいしてきた…、、
勝)出久の顔見るたびに
勝)…いや、声を聞くだけでも
勝)…なんか俺がしてやんねぇとって、、泣
勝)…グスッ、、つ、ぁ…、っ、ッッ、泣
もうわかんねぇ
なんもわかんねぇ
頭ん中ぐちゃぐちゃだ
こんな調子がずーっと続くせいで
また、いずくに…っ、、、
迷惑かけてねぇか…って、、っ、、…
出)…、、
出)………ギュ
勝)、、んぇ…ッ、、グスッ、、泣
出)、、かっちゃん、…
こいつが今発した
『かっちゃん』
これは
わざとらしさも一切感じず、
昔の出久の声色に聞こえて
抱きついてきた出久を
いつもみたいに
嫌がることはできなかった
コメント
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物語書くの上手すぎて無理