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みぃ
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『誰も覚えていない夜』
「動き出す疑い」
――中央ホール。
【投票候補を自由に発言してください】
その文字が表示されてから。
誰も、すぐには口を開かなかった。
昨日までは。
「分からない」
それで済んでいた。
けれど――
今日は違う。
もう、一人がいなくなっている。
だからこそ。
適当に名前を出すことはできなかった。
ななもり。「……無理に急がなくていいよ。」
ななもり。「ちゃんと理由を考えてからで大丈夫。」
しばらくして。
一人が手を挙げた。
莉犬「……俺、言っていい?」
ななもり。「うん。」
莉犬「俺は……。」
莉犬は全員を見渡した。
莉犬「昨日、ころちゃんに票が集まった理由が、ほとんど『発言が少ないから』だったよね。」
ころん「……うん。」
莉犬「だから、その理由を最初に言った人がちょっと気になってる。」
まぜ太「……誰?」
莉犬「……そあちゃ。」
そあら「……僕?」
莉犬「うん。」
そあら「……。」
莉犬「もちろん、それだけで疑ってるわけじゃない。」
莉犬「でも、最初に理由を出した人と、あとから同じ理由を使った人。」
莉犬「そこは少し気になる。」
そあら「……僕は、本当にそう思っただけです。」
莉犬「うん。」
莉犬「だから、今すぐ怪しいって決めるつもりはないよ。」
そあら「……分かりました。」
そあらは静かに頷いた。
しかし――
その表情は少し硬かった。
らお「……俺も、一ついいですか?」
ななもり。「もちろん。」
らお「俺は、昨日からずっと三人に疑いが集中してるのが気になります。」
みかさ「……俺たち?」
らお「はい。」
らお「だから、俺は……。」
らおは少し考える。
らお「『誰かを疑ってる人』より、『誰かを庇ってる人』を見たいです。」
まぜ太「……。」
あっきぃ「……それって。」
らお「昨日、ころんくんを庇ってた人。」
まぜ太「俺?」
らお「はい。」
まぜ太「……なるほどな。」
らお「まぜ太くんが怪しいって言いたいわけじゃないです。」
まぜ太「分かってる。」
まぜ太「むしろ、そこまで考えるなら俺も言う。」
まぜ太「俺は、師匠を庇った。」
ころん「……。」
まぜ太「でも、それだけで人狼って言われるなら。」
まぜ太「誰かを信じることなんてできなくなる。」
心音「……。」
まぜ太「俺は師匠が人狼じゃないと思った。」
まぜ太「だから庇った。」
まぜ太「それだけ。」
ころん「……ありがとう。」
まぜ太「礼はいりません。」
まぜ太「まだ、何も分かってないから。」
その言葉に。
あっきぃが小さく頷いた。
あっきぃ「……俺も。」
まぜ太「……あっきぃ?」
あっきぃ「俺も、師匠を疑ってない。」
ころん「……。」
あっきぃ「でも。」
あっきぃ「もし、師匠が人狼だったら。」
あっきぃは一度、言葉を止める。
あっきぃ「そのときは……ちゃんと投票する。」
ころん「……うん。」
ゆた「……。」
ゆたは黙って二人を見ていた。
そのとき。
にしき「俺からもいいですか?」
ななもり。「うん。」
にしき「俺は――。」
にしきは、少しだけ間を置く。
にしき「昨日、投票先を決めるとき。」
にしき「最後まであまり意見を出していなかった人が気になります。」
心音「……誰ですか?」
にしき「……てるとくん。」
てると「僕?」
るぅと「……。」
メルト「……。」
てると「確かに、昨日はあまり話していませんでしたね。」
にしき「はい。」
てると「でも、初日だから。」
にしき「分かっています。」
てると「それでも疑うの?」
にしき「疑うというより――」
にしき「覚えておきたいだけです。」
てると「……なるほど。」
てるとは笑った。
てると「じゃあ、僕も覚えておくね。」
るぅと「……てるとくん。」
てると「大丈夫ですよ、るぅとくん。」
メルト「……。」
メルトは少し不安そうに二人を見ていた。
すると。
おさでい「俺も一つ。」
ななもり。「どうぞ。」
おさでい「俺は……昨日の投票結果そのものが気になっています。」
ロゼ「結果?」
おさでい「はい。」
おさでい「ころんくん、みかさくん、てるとくん。」
おさでい「三人に7票ずつ。」
おさでい「他の人に14票。」
おさでい「綺麗に分かれすぎています。」
みかさ「……。」
おさでい「偶然かもしれません。」
おさでい「ですが――」
おさでい「誰かが票を分散させた可能性もあります。」
心音「……。」
その言葉に。
心音が少しだけ顔を上げた。
心音「票を分散させた……?」
おさでい「はい。」
心音「つまり、人狼が複数人いるなら。」
心音「仲間に票が集中しないようにした可能性もある……。」
ロゼ「逆に、仲間を疑わせるために票を入れた可能性もある。」
まぜ太「……どっちにしても。」
まぜ太「昨日の投票は、かなり重要ってことだな。」
ななもり。「そうだね。」
その瞬間。
モニターが切り替わった。
【昨日の投票結果を再表示します。】
【昨日の投票結果を再表示します。】
全員「……!」
【ころん 7票】
【みかさ 7票】
【てると 7票】
【その他 14票】
そして――
その下に。
昨日は表示されなかったものが追加された。
【投票者一覧】
ころん「……!」
みかさ「これ……。」
てると「投票した人まで見られるんですね。」
心音「……。」
全員の視線がモニターに集まる。
誰が。
誰に。
票を入れたのか。
その全てが――
今、明らかになる。
らお「……これで。」
らお「誰が誰を疑ってたのか、分かります。」
まぜ太「……。」
あっきぃ「でも。」
あっきぃ「同時に――」
あっきぃはモニターを見つめる。
あっきぃ「誰が誰を守ろうとしたのかも、分かる。」
静寂。
そして。
モニターに一人目の投票先が表示された。
【莉犬→ころん】
莉犬「……。」
ころん「莉犬くん……。」
続いて。
【るぅと→みかさ】
みかさ「……るぅとくん?」
るぅと「……。」
さらに。
【まぜ太→ころん】
ころん「……。」
まぜ太「言っただろ。」
まぜ太「俺は師匠を疑ってない。」
そして――
最後の一票が表示される。
【???→???】
全員「……え?」
モニターが一瞬だけ暗くなる。
そして中央に。
【エラー】
という文字が浮かんだ。
心音「……何?」
ロゼ「投票データが……一つだけ?」
にしき「……誰の票ですか?」
誰も答えられない。
モニターにはただ一つ。
【???→???】
その表示だけが残っていた。
――そして。
誰も知らないところで。
一人の人物が。
静かに目を細めた。
???「……まだ、早いか。」
――第12話「動き出す疑い」終わり。
コメント
2件
うわっ…まさか投票者リストまで公開される展開くると思わなかった!!😳💦 しかも最後の一票だけエラーって…これ絶対何かあるやつじゃん…!? まぜ太の「まだ何も分かってない」って台詞、めっちゃ胸に刺さった…。誰を信じていいか分からないこの空気感、人狼ものの醍醐味って感じでゾクゾクするよ〜!!🔥 次回が待ちきれない…!