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「すみません…こんな胸まで借りてしまって…」
「別にええで、落ち着いたか」
「はい…!もう大丈夫です!!」
「ま、無理はせんでええ。やけど離れたらアカンで、ユカリみたいなのがおるさかい」
そういっていつものように笑うシオン
そんなシオンに対し、ポンと頭を撫でた
2人手を組み会場に戻る途中だった
「…ん、カラスバさんあれ……」
「よう気づいたな、アイツらや」
ホールに入る手前、ホールが2人の男が何やら護衛を数人連れて出てくる
「…奥に行きましたね」
「オレらも行くで」
「は〜い」
小声で話し合い、2人の男が奥の道を曲がったのを見たあとそれについて行く2人
「これ実際どんなことしてるんですか?」
「まぁ、身寄りのない子供使って金儲けってとこやな」
「うわ…最悪だ……」
身寄りのない子供か…
やはりそういった子供の命は軽いのか
イッシュだけでなくここカロス地方でも命の軽さと重みを痛感する
「…私も協力する」
「はぁ?お前にできるんか…?言っとくけど、舐めとったら痛い目見るで」
「大丈夫、それにそういう人絶対許せないから」
そう言うとカラスバは少し悩んだ後、渋々頷く
「ほなオレが行くさかい、シオンはそこでアイツらが逃げた時ようにおってや」
「わかりました…!」
そう言うとカラスバは少し不安そうにシオンを見たあと、その男達の元へペンドラーを出し近づく
〖ギュギュ〜!!〗
「あ〜!ペンドラー!!何しとんや!!」
「!うわ!?なんだ!」
「すんません、オレのペンドラーが…」
ペンドラーは護衛のうちの1人に嬉しそうに頭を擦付ける
その様子に少し対応に困っている護衛の人間
「ちょっ、こら…!」
「すんません、この子いつもは言うこと聞くんですけど…なんでやろ、今日は言う事聞かへんなぁ……」
とペンドラーを退けるふりをしてもう1人の護衛に近寄った、次の瞬間
──バチッ!!
激しい電気音と共に護衛の男が床に倒れる
それに気づいたもう1人の護衛が銃を構えた瞬間、視界がグラッと揺らぎその場に倒れ込む
「あー、ペンドラーどく吐くのはあかん言うたやろ??」
そういいながらペンドラーの頭を撫でる
下には苦しそうに血を吐いている男がいる
その状況の中残りのターゲットの2人は後ろに下がりながらカラスバに問う
「な、なんだお前!!こんなことして許されると思ってるのか!!」
「あ?何自分らの事棚に上げて言うとんねん。」
その瞬間一人の男が顔を真っ赤にし、カラスバに殴り掛かるしかしそんな男の拳等簡単に避けて顔面を殴りつける
「チッ、手間かけさせんなや」
「ひ、ひぃ!!」
「!シオン!!」
男1人を殴った直後もう一人の男が怯えながら、カラスバの包囲網を抜けて走り逃げ出す
慌てて傍で待機していたシオンに声をかける
「任してくださいっ!!
──メリープ!でんじは!!」
〖キュルァ!〗
足を少し右に開いたかと思うとガーターベルトにつけていたポケモンボールを手に取りメリープを出し、男めがけでんじはを放つ
「ッ!?ぐぁっ……く、そッ……」
男が苦しそうにその場に倒れる
「シオン!すまん、大丈夫か!?」
「大丈夫です…!!」
シオンに慌てて駆け寄るカラスバ
「チッ、手間取らせやがって。」
「この人達どうしますか?」
「縛り付けてここら辺に置いといたらええよ。あとは警察さんの出番さかい」
そういって1度男の横腹を蹴った後にペンドラーが咥えて持ってきた縄を受け取り、慣れた手つきで男達の4足を縛り付ける
「…警察は頼りにならないんですか?」
「元々、ポリ公も探しとった人間やけど何せポリ公が干渉出来んとこで動くさかいオレらサビ組が動いたって話や」
「なるほど…」
少し話したあと男4人をひとまとめにし、警察へ通報する
「ほな、用も済んだし帰るで」
「えっ!帰るんですか!?」
「なんや心残りでもあるんか」
「だってこのドレス折角買ってもらったのに…それにもっとカラスバさんと居たいです」
「なっ!?」
少し不貞腐れたように言葉を吐くシオンに対し、顔を赤くさせ驚くカラスバ
「せ、せやかてあっちいったらまたユカリに会ったらどうするんや…また変な事されるで」
「なら、二人でちょっとお話しましょ?」
「は!?ちょっ…!」
そういってカラスバの手を取り、歩き出す
「カラスバさん、ダンスは得意ですか?」
「まぁ、それなりにはな」
「じゃあ、お相手お願いしても?」
そういって、近くのベランダに出てカラスバに再度手を差し出す
そんなシオンを見て、「しゃーなしやで」と言いつつ、微笑みシオンの手を取る
ホールからうっすら聞こえる、音楽に合わせてゆっくりとステップを踏む
「…もし、家族と好きな人どっちかしか助けれないって言われたらカラスバさんどうします?」
「は…?なんやいきなり」
「早く答えてください〜!」
行成突拍子もない言葉を発するシオンに驚くが、カラスバは少し悩んだ後
「そら、好きな人やろ」
とケロッとした顔で答える
「家族はいいんですか?」
「オレにその質問すんのが間違いやわ。オレ、家族おらんし。両親の顔ももう覚えとらん」
その言葉にシオンは目を見開く
「あ…すみません、嫌な質問してしまいましたね……」
てっきりこんな立場に居るのだから、裕福で幸せな家庭に育っていたのかと思っていた
「別に気にせんでええ。
まぁ、家族もおらんオレにとっては惚れた女は唯一の家族みたいなもんやろうな。
やから何があっても守りたいし、絶対手に入れたい。」
そういって真っ直ぐな瞳がシオンを射抜く
「…じゃあ、カラスバさんの彼女さんになった方はとても幸せそうですね
沢山愛してくれそうだし、ずっと守ってもくれるし」
そういって笑うシオンの瞳はどこか切なげだった
「…シオン、お前さえよかっ───」
「あらあらあら?お二人ともこんな所で密会ですか?」
聞き覚えのある華が咲くような高い声が聞こえ、慌てて手を離す二人
「チッ、ユカリ…ほんまお前……」
「っ……」
カラスバはシオンを守るようにして前に立ちユカリを睨みつける
シオンも先程の件で苦手になったのか、カラスバの服を少し持ち後ろから不安そうにユカリを見つめている
「そんな怯えないで下さいませ、先程の私の失態を謝りに来ましたの」
「んなもんせんでええわ。」
「いいえ、そういう訳にはいけませんわ。改めて、先程は申し訳ありません、シオン様」
「あっ、いえ…もう、大丈夫です。」
そういって頭を下げるユカリに対し、シオンも少し頭を下げる
「シオン様はとてもお優しいのですね!また、後日お詫びの品々送らせて頂きますわね」
「そんな…気にしなくていいのに…」
「いいえ、そうはいけませんわ。必ず受け取って下さいね!」
そういって笑うと「それではご機嫌遊ばせ。シオン様、またお会いしましょう」と言いその場を去っていった
「相変わらず嵐みたいなやつやな…あ、お前アイツの事は信用したらあかんで」
「わ、わかってますよ…!!」
けれどあのユカリが謝ってくるなんて、驚いた
それと同時にユカリにシオンの存在を知られた事の方が苛立ちを覚える
あいつも気に入ったら、とことん追いかけて是が非でも自分のモンにする女や
「シオン、絶対アイツにあってもポケモン勝負はしたらあかんで」
「えっ?あ、はい…カラスバさんがそういうなら…?」
少し不思議そうにカラスバを見つつも頷いた