○赤兎の日おめでとうございます!赤兎記念といいつつ兎赤前提です。というか7対3で兎赤です。
兎赤の日に投稿した「不思議な力が使える木兎さんのお話」と繋がってますが未読でも一応読めます。
俺は追い詰められていた。ブツリテキに。
ゴールデンウィークということで他県で行われた合宿。
昼頃到着してからたくさんバレーして、たくさんご飯食べて、赤葦とちょっと…自主練してみんなより後に部屋に戻ってきた。
練習の疲れからかみんなは既に眠っているようだったので起こさないように気をつけながら俺と赤葦も布団に潜った。
うん。ここまで思い返してもどうしたらこんな状況になるのかわからない。
少し前に色々あって付き合うことになった後輩の赤葦が何故俺の布団のなかにいるのか。
布団の中っていうか俺の上なんだけど。
俺の腹の上に馬乗りになってそのまま倒れてきたような体勢の赤葦。
そういえば最近、赤葦の様子がおかしかった。
最近、赤葦の心の声が聞こえるのだ。
赤葦には伝えてないけどホントダダ漏れ。
赤葦の心の声は通常何層にもなっていて解読が難しい。
それが簡単に分かるくらい単純思考になってるってこと。
心の声以外の様子は普段通りだし問題は無いんだけど…これが今の状況に関係あるのかな。
あと最近気になってたのは赤葦がやたらと積極的なこと。
赤葦から手繋ごうと言い出したり、赤葦からキスしてきたり…
はっ!もしかして!
これは赤葦から次のステージへ進みませんかの合図では…!?
手を繋いで、キスをして…その次…
これが噂の襲い受けってやつか!
赤葦ったら大胆〜
でも寝てるとはいえみんながいるところでそんな……ダメです!絶対だめ!!いつの間に赤葦はそんな子になっちゃったの!?
どんな赤葦でも俺は好きだけどな!
とりあえずこのまま放置する訳にもいかないし一旦部屋から連れ出して話を聞いてやろうじゃないか。
「赤葦、トイレ行こっか。」
周りに聞こえないように赤葦の耳元に小さな声で囁いた。
「…!?」(木兎さん、起きてる?…ば、バレてたってこと…)
動揺する赤葦の手を引っ張って部員の足を踏まないように気をつけながら部屋を出た。
消灯時間をとおに過ぎた廊下は真っ暗で気味が悪い。
階段をおりた先にあるトイレ。さらにその個室まで行けば少しくらい話し声がしても気づかれないだろう。
「なぁ、なんで俺の布団の中にいたの?赤葦。」
さっそく心の声で白状させてやろうと俺は赤葦に問いかけた。
「あの、えっと…ね、寝相が!悪いみたいで、俺…」
(だって、木葉さんが押し倒せって言ってたけど力じゃ敵わないし…寝てる時ならできるかなって…なんて言えるかよ…!ていうか木兎さん起きてるなんて思ってなかったし…)
可愛い言い訳だなぁ……じゃなくて、木葉?押し倒す?
予想外すぎて意味がわかんないな。
でも赤葦に心の声聞こえてることバレたらまた色々考えて聞こえなくなっちゃいそうだから
ここはとりあえず慎重に…
「赤葦最近変だよ?なにかあった?俺のせい?」
「いえ、そんな…木兎さんのせいなんかじゃないですよ。」
(木兎さんとのことで木葉さんに相談してたなんて言えない…相談したら木葉さんがあかぼく…?の日だしたまには俺から攻めるのも大事って言ってたのに…)
んん?木葉、やっぱりお前なのか!
俺の赤葦になんてこと吹き込んでるんだよ!
もうだめだ。赤葦から直接聞こう、なにがあったのか…
「赤葦、あのね。怒らないで聞いて欲しいんだけど。」
(…別れ話?流石に嫌だったかな。まあそうだよな、俺なんかが…)
「違うから!別れないから!」
(本当に…?)
「本当に!」
「あれ、木兎さん。もしかして…」
(ウソだろ…)
「何日か前から赤葦の声聞こえてます…。」
(………..。)
赤葦の心の中が静かになった。
多分現実とーひしてる。
「それでさっきのも全部聞いちゃったんだけど、木葉に何言われたの?」
またぐちゃぐちゃと考え始めたのか心が読めなくなった。
「赤葦、黙っててもいいけどさ。俺がキスするとこの力強くなるの知ってるでしょ?無理やり聞くこともできるんだよ。」
「でも俺は赤葦からちゃんと聞きたいな〜」なんて脅しみたいに言って赤葦の顔を片手で掴んでやったら、
「勘弁してくださいよ…」
とようやく赤葦が口を開いた。
そこからぽつりぽつりと赤葦が話した内容をまとめると、
赤葦は俺との関係に進展がないのを というか俺に飽きられることを不安に思っていた。
そこに木葉が「赤葦って木兎と付き合ってんの?」と言ってきて藁にもすがる思いで相談したらしい。
その木葉からのアドバイスとは『引いてダメなら押してみろ!』とのこと。
丁度合宿が赤兎の日なんだし隙を見て押し倒すくらいしてみたらどうだと言われて赤葦なりに頑張った結果らしい。
おいおい、木葉くん。ふざけんなよ。俺は兎赤しか認めねーからな!
幸い純粋な赤葦は赤兎の意味なんてしらないだろうし、上手くまるめこんでやろう。
「あのな赤葦。赤兎っていうのは…」
「あっ知ってますよ。」
「え」
「木葉さんが教えてくれました。」
すっかりいつもの調子にもどった赤葦がそう言った。
知ってる…そうか知ってるのか…
「でも俺らは兎赤じゃん?」
「は?」
いつもの納得いかないけど…の『はぁ…』じゃなくて今のは怒ってた。『は?』って言ったよ?絶対怒ってるよね?
「なんで勝手に決めるんですか…これは俺たち2人の問題ですよね。」
「お、おう…」
「いつもそうだ。木兎さんは自分勝手過ぎます。俺だって、男のプライドがあるんですよ…」
「ご、ごめんね?」
「いつまでも大人しい後輩だと思ってたら、俺が食っちゃいますからね」
ドキッとした。
一生懸命でかわいいけどかっこいい。
俺の赤葦最強かよ…
「大人しい後輩だなんて思ってないよ。積極的な赤葦も好き。」
赤葦の背中に腕を回して抱き寄せる。
そのまま唇を重ねれば、いつもよりもたくさんの心の声が流れ込んできた。
「でも、キスしただけでこんなになっちゃう赤葦はもっと好き。」
真っ赤な顔して
「今日のところは保留ってことにしといてあげます!」
と言い捨てた赤葦は扉を開けて逃げていった。
可愛いな、赤葦。
逃げる獲物ほど捕まえたくなるんだよ。
「でもさ〜やっぱりどう考えても兎赤じゃね?俺ら」
朝練で山道を走りながら隣にいる赤葦に話しかけた。
「はぁ…」
後ろにいる他の部員は息も切れ切れなのにまだ話す余裕があるとは赤葦も成長したな〜これも木兎さんのおかげだな!と感心しつつ
怒ってる方のはぁじゃないので俺は続けた。
「だって赤葦俺のこと好きじゃん。めっちゃ。」
「ぼ、木兎さんは好きじゃないんですか…俺の事。」
しょんぼりと視線を落としながら赤葦が言った。
そういうところ!そういうとこが兎赤なんだよ。あ〜赤葦かわいいな〜
「めちゃくちゃ好きだせ!俺も!」
「嬉しいです。木兎さん。」
可愛い!現世に現れた天使とはこいつに違いない!
「俺のことが好きならお願い聞いて貰えますか?木兎さんにしか頼めないんです。」
「なになに?赤葦のためならなんでもしてやるよ!」
「本当ですか?ありがとうございます、木兎さん。…じゃあ俺 赤兎がいいです。」
「うんうん、もちろんいいよ…ッくない!あっぶねぇ。」
危うく赤葦の罠にハマるところだった。ハメられるところだった。二つの意味で…
「木兎さんが兎赤兎赤って言うんで言わせてもらいますけど、俺たちは絶対赤兎だと思います。」
「どこがだよ!」
「だって俺より木兎さんのが可愛いですし…あと、俺のが頭いいです。」
「かわいいって、俺が?赤葦 目大丈夫?」
「アンタの方こそいっつも俺に可愛い可愛いって言ってきて、目おかしいんじゃないですか?」
「赤葦は可愛いよ!」
「木兎さんのがバカっぽくて可愛いです。」
さっきからちょいちょいコイツ俺のこと貶してない?傷付くんだけど!
「そもそも!俺のが年上じゃん。」
運動部員としてもっと先輩には敬意を払うべきだろう、赤葦くんよ。
これで赤葦も言い返せまいと思っていたら赤葦はやれやれといった様子だった。
「年下ワンコ攻めです。根強い人気があるんですよ。」
木葉さんが言ってましたと赤葦は続けた。ほんと余計なこと教えやがって…
「赤葦は俺のネコちゃんですぅ!赤葦は性格的にも見た目的にも犬ではないじゃん!」
「…わんわん」
……やっべ、一瞬頭ん中フリーズした。わんわんってなんだよ。
首輪つけて飼ってやろうか…
「ちょっと、なんか言ってくださいよ。すべったみたいじゃないですか。」
「飼いたい。」
「え…?」
「俺の犬になってくれるんでしょ?ご奉仕してよ、忠犬赤葦くん。」
「うわ、最低です。噛みちぎりますよ。」
「何を!?」
赤葦が物騒なこと言い出したので犬か猫かは赤葦の好きな方にさせとこう。
「でも…惚れた方が負けっていいますよね。俺、大好きな木兎さんに負担をかけるなんて出来ないです…いいですよ、兎赤でも」
「え…いいの?」
って待てよそれじゃ俺 赤葦のこと大事じゃないみたいじゃん。
「やっぱ、そんな訳には…俺だって赤葦に負担はかけたくないし…」
「そうなんですか、そこまで言うなら仕方ないですね。俺はどっちでも良かったんですけど。じゃあ今日から赤兎ということで。」
「あっ!赤葦、今 誘導したな!」
「なんのことでしょう」
「とぼけやがって!もういい、埒が明かない!一旦保留!」
これ以上この話題をしていれば赤葦に嵌められかねない。
言質取りましたとか言われたら困るので逃げ…じゃなくてセンリャクテキテッタイした。
「残念です」と笑った赤葦はやっぱり可愛かった。
「おい!木葉しっかりしろ!」
後ろで小見やんが叫んだ。
何事かと振り返れば木葉が鼻血を出して倒れていた。
「大丈夫か?木葉?」
「だ、大丈夫…ちょっと供給過多で…」
「は?供給?」
止まってやろうかと思ったけど木葉にはでっかい恨みがあるのでやめた。
「あれ、ほっといていいんですか」
「ほっとけほっとけ!」
end.
コメント
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もう尊すぎる、、、✨ ランニング中の会話が、www 木葉さん、、さては腐男子だな!? 気持ちめちゃくちゃ分かります
赤木の日..忘れてたァアアアア!!自分も小説投稿します!てか投稿しました! 内容も最高ですごく好きでしたぁ!!!!!!!!よかったです!!
噛みちぎりますよでめっちゃ笑ったw 私は兎赤と赤兎どっちがいいか考えてたら頭パンクしたのでどっちも派です!