テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
(……ふぅ、流石に若さゆえの体力には驚かされたけれど。これだけ絞り出しておけば、一時間は目を覚まさないはずだわ)
ぶかぶかの服の袖を捲り上げる。火照りが残る肌を、書庫のひんやりとした空気が撫でていく。
「……あったわ。多分これね」
埃を被り、長い眠りについていた古ぼけた魔導書。タイトルは、『秘匿された魔力の源泉』。埃を払い、ページをめくると、そこには残酷なまでの事実が記されていた。
『魔力は王族の血にのみ宿り、その本質は魂の色に依存する。青は破壊、赤は鉄壁――』
(要は、ゲームの設定通りってわけね)
だが、次のページをめくったとたん、私の指が止まった。
『「緑」は万物を浄化し治癒す。それは「聖女」のみに許された他者への慈愛なり。破壊を禁じ、奪取を許さず。己が傷を癒やすことも叶わぬ理なり――』
「……はぁ?!」
思わず叫んでいた。他人は治せても自分は無理? しかも「浄化・治癒」専門!? お宝の呪いは解けても、追跡魔法(GPS)をブッ壊すことにも使えないじゃない!
というか、緑のオーラがあるってことは、私も「聖女設定」なの? 聖女はヒロインのシェリーだけじゃないの!? シナリオ崩壊もいいところよ!
「ちょっと、ふざけないでよ!!」
必死に頁をめくる。だが、追い打ちをかけるような「役所仕事」がそこに記されていた。
『追跡の秘術は、世界を放浪する大魔導士の権能にのみ属す。なお、彼が本国へ立ち寄るは三年に一度の巡回時に限られる』
「三、年……!? その間に私はシナリオ通り処刑台へ一直線じゃない!」
眩暈がした。お宝を盗んで即脱出という計画が、音を立てて崩れ去る。 ……いいわ。現物資産(お宝)が動かせないなら、作戦変更よ。歯噛みしながら、上着の裾を握りしめて次の戦略を練っていた、その時。