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「……俺の上着を着て、そんなに熱心に何を調べている? ……もうすぐ建国祭だ。皇族の儀式でも予習しているのか?」
背後から響いた低い声に、心臓が跳ねた。私は瞬時に古文書を本棚に戻すと、わざとらしく襟元を寄せ、潤んだ瞳でゆっくりと振り返る。
「あら、殿下……。私、少しでも殿下の妻にふさわしくなりたくて、お勉強を……。でも、殿下の香りに包まれていないと、なんだか不安で。……もう少し、私を安心させてくださる?」
《……っ! なんなんだ、この健気で愛らしい生き物は!!》
「……っ、……なんて女だ、お前は……!」
カイル殿下が堪えきれないというように私を抱き寄せ、本棚に押し付ける。
蕩けるような熱い口づけを交わしながら、思った。
――王宮の予算は毎年閣僚会議で決定される。
贅沢三昧の悪女の評判で権限を剥奪されている今の私には、一円たりとも動かせない。
……普通なら諦めるでしょうね。
でも、101回目の命運が懸かっている私に、不可能なんてないの。
再びの賢者タイム。
私は彼の上着に縫い付けられた大粒の宝石と純金のボタンに指をかけ――
ブチッ、ブチブチッ!
「……んぅ、ソフィア……愛してる……」
殿下が幸せそうな寝言を漏らす。
私は心の中で呟いた。
(ええ、私もよ殿下。……このサファイアの輝きを、ね♡これを元手に、いずれは「予算」を丸ごといただいてやるんだから……!)
戦利品を、ブラジャーの中に滑り込ませる。ソフィア(私)の運命への逆襲は、まだ始まったばかりなのだ。