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「ちょっと待って。俺、予定あるでパス」
「え、いっちゃんダメなの? りゅうせいは?」
「……俺も忙しいので、パスで。二人で楽しくデートしてきてください」
うわぁ。……わかってはいたけれど、純粋に突き刺さる。だいきが俺のこと意識するのを嫌がったのは、お前じゃなかったのかよ。それなのにわざわざ「二人で」とか「楽しく」とか、そんな言葉を強調することないだろ。
……ほんと、お前に恋してから、俺はずっとガラスメンタルなんだよ。
「だって! いつきくん、もう俺から逃げられないよ?」
「いつきくん、なんか知らない間に追い込み漁にあってますよ」
「うわぁ……もう逃げらんない。仕方ないから、幸せなクリスマスにしてよ。だいき」
「よっしゃ! お買い上げありがとうございます!」
「買ったのお前だからな」
なのにな。なんでりゅうせいがそんな、心臓を抉るような傷ついた顔をするんだよ。……そんな顔されたら、俺だって本当に諦められなくなるじゃん。
「……りゅうせい、本当にいいの? 秋祭りの時みたいに後悔しない?」
いっちゃん、そういう話は普通、俺がいない時に言うもんだろ。聞こえるように言うもんじゃないよ。
「……いつきくんがコスプレしてくれるなら、考えます」
「ふふっ……なんだよそれ」
なんとか心臓を繋ぎ止める。でも、りゅうせいのクリスマスの予定に勝る俺のコスプレって一体なんなんだ。
「あ~、サンタコスもいいけど、あえてトナカイの着ぐるみとか最高じゃない? 可愛いいつきくんが見たい!」
「それいいっすね。ギャップ萌えしそう」
「なんでコスプレするのが決定事項で話が進んでんだよ!」
「じゃあ俺ら三人がサンタで、いつきくんがトナカイで決定ね」
「それ、ただのイジメじゃない?」
「いつきくんはその立ち位置がベストなの~!」
マジで意味がわからない。でも、りゅうせいが笑っているから、それでいいか。……結局、だいきは俺と二人じゃなくていいのか? りゅうせいはどうなんだ? 彼女と俺、どっちをとるつもりなんだよ。
冷え切った冬のオフィス。帰り際、いっちゃんからは「俺、予定あるって言いましたよね?」と釘を刺され、りゅうせいも「やっぱり行かない」の一点張りだったらしい。
二人ともかなりの塩対応だったようで、だいきは「いつきくんと二人なのは嬉しいけど、なんか寂しかった……」と、珍しく肩を落としていた。
あの冗談で救われたのは、結局俺だけだったんだな。
俺ってもしかしてモテてるんじゃなくて、ただの「腫れ物」扱いされてるだけなのか? 三人が優しくしてくれるのは、そういうことなのか?
……ダメだ。思考がどんどん淀んでいく。冬の空気のせいか、窓の外に映る街灯の光さえ、どこか遠くで冷たく光っているように見える。