テラーノベル
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こんなにも胸が踊る事を経験したことがあっただろうか。
大きく息を吸い込んで、吐く。
まず、2杯取りだから蒸らしで30g。
ゆっくり、ゆっくり。
27g入れた時、湯が途切れてしまう。
きっちりしないと行けないという考えが根ずいてる月陽に夜桜は優しく言う。
「それくらいはいいよ。スケールをゼロにしてちょっと待とっか」
「…30秒」
「ああ、うん。30秒ね。…意外と細かいな」
不思議な事に、お湯を注ぐだけでドーム状に粉が膨らむ。
そのドームは弾けるように空気が抜ける。
30秒たった頃には珈琲の香りが鼻腔をくすぐる。
でも、これで終わりじゃない。
気お引き締めないと。
次、二投目。
230gまで、注ぐ。
真ん中辺りで円を書くように慎重に。
「あわわわ」
泡が崩れた……。でも注ぐのを辞めちゃダメって夜桜が言っていたことを思い出しそのまま続ける。
最初は泡が崩れたが、その後は真ん中だけが膨らんで綺麗なドームが作れた。
お湯を注ぐのを止めると、ドームが沈む。
水平より少し凹んだ所で、最後まで、注ぐ。
330gになるようにさっきと同じように慎重に。
330gまで、注いだら残りが落ちきる前にドリッパーを外す。
そうしないと雑味が出てしまうから。
「…出来た」
「出来たねー」
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