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いよいよ、亮の選挙活動が始まった。
舞は、初めてのことばかりで、お義母様に教えていただき、お義父様の後援会の方にお任せしている。
お義母様は、基本的に「何もしなくてイイわよ」と、おっしゃるので、鵜呑みにしていたが、
やはり、何もしないわけにはいかないので、
スタッフさんがチラシを配る!と言われれば、
舞も手分けして、手配りしたり、ポスティングして
まわったり…手伝うことにした。
お義母様は、慣れたもので、どっしり構えておられる。
「当選したら、挨拶周りやら忙しくなるから、今は、何もしなくていいのに…」
なんて、大らかな方なのでしょう。
でも、舞は、ずっと働いてきたから、ジッとしてるのは、あまり性に合わない。
事務所の整理整頓だったり、掃除だったり…
インターネットでのお願いなど…
出来ることだけしよう。
そして、毎日疲れて帰って来るから美味しい食事を…と思うが実際は、泊まり込みになったりするので、
常に一緒に行動するよう心がけた。
家で食べるなら家で用意。
事務所で食べるならスタッフさんと一緒に用意。
なるべく心のこもった手料理を…と思うが、
おにぎり1つにしても、コロナ対策もあり、スタッフさんには買った物が用意される。やはり亮にだけは、舞の手伝りを…と思う。
「美味しい!」
そう言われるだけで嬉しい。
とにかく体調だけが心配。
約2週間、大丈夫だろうか?
街頭演説、まさか亮が話しているのを、妻として
聞く日が来るなんて思いもしなかった。
どちらかというと…今まで、
候補者さんが大きな声で話されているのを
立ち止まることなく、スルーしていた立場だったから…きちんと聞いたことがなかった。
申し訳ない。
毎回きちんと聞いては、拍手を送る。
初めて高校生の時に会った亮は、テニス部の部長で、
しっかりした人だなぁ〜と思った。
やはり、その経験が生かされていると思う。
一本筋が通っていて、間違ったことが嫌い。
知的な亮を尊敬している。
今思えば、セフレ関係なんて、やっぱりあり得なかったのだ。真面目に一対一で、お付き合いしていたのだから、素直にそう言ってくれれば良かったのに…
そんなことばかり、頭に思い浮かべながら、
今更ながら、『良かった、私以外に女の人が居なくて…』と、笑みが溢れる。
『亮、頑張って!
神様どうか、頑張ってる亮を応援してあげてください!』毎回、思うことだ。
事務所に帰って来るたびに…
「お疲れ様〜」と言いながら、ハグをする。
人前だから、最初は驚いたが、スタッフさん皆さんも
特に何を言うわけでなく、黙ってくれている。
夫婦だから?新婚だから?
さすがに人前でキスなんて出来ないから…
それは、家に帰れた時のお楽しみ。
シャワーは、浴びることができるが、着替えが足りなくなってきたので、途中1人家に帰り、着替えを持って来る。
夜は8時までしか拡声器の使用は出来ない。
たまには、家に帰らないと…
週末、一旦家に帰った。
「また、明日も朝からだから…」
「頑張ろうね」
と、言いながら…禁欲!
するわけがない…
やはり、そちらは別物のようだ。
久しぶりに愛し合う♡
「ヨシ!これで明日からも頑張れる!」と…
どういう理由だ?
まあ、頑張れるなら良し!
2週目も休みなく、選挙運動を熟す亮。
スタミナだけはある!
お父様のを見ていたせいか、慣れたことのようだ。
舞は、ただただ、そばに居て『頑張って!』と、
応援するしかなかった。
休憩時間に「亮、大丈夫?」
声がかすれて、つらそうだけど、本人は、
「うん、大丈夫だよ!」と、気にしていない様子。
うがい薬や喉に優しい、蜂蜜入りの喉飴を用意した。
「ありがとう」と、言って飴を口に入れる。
あと少し、あと少しと最後まで走り切った。
選挙運動って大変なんだなぁ〜と実感。
舞には、ほとんど何も出来なかったが…
「お疲れ様〜」と、声をかけハグ。
あとは、結果を待つのみ。
きっと大丈夫!
亮なら大丈夫‼︎
そう信じることしか出来なかった。
今まで経験してきた、どんな試験発表よりも
緊張した。祈る思いだ。
開票が進み、当確が出始める。
ドキドキして、倒れそうだ。
しばらくして…
新人ながら、2番目に当選確実がでた!
「おめでとう!」お母様と喜びあった。
「良かった…」涙が溢れた。
周りも、拍手喝采で喜びあっている。
お父様と握手をする亮。
舞を探してる。
スタッフさんに、背中を押され亮の隣へ押し上げられた。
「おめでとう。良かった…」
すでに、涙でぐちゃぐちゃな舞。
まさか、人生で、こんな経験をするなんて、
思いもしなかった。
皆様に「ありがとうございました」と頭を下げる。
TVでしか見たことがない光景。
今、自分が頭を下げている。
本当に皆様に感謝だ。
そして、亮は、これからが大変だ。
そう実感した。
怒涛の2週間。
正直、苦しかった。
もう二度とイヤだと思った。
お父様、お母様は、よく何度も耐え抜かれたなと、
思った。
案外、亮も慣れっこになっているのかなぁ?
初めての私には、何がなんだか…
とりあえず、片付けて帰りたい。
ゆっくり寝かせてあげたい。
そう思った。
事務所は、また明日片付けるとして、
とりあえず、帰ろう。
帰ってから…
「亮〜お疲れ様、おめでとう〜」
そう言って抱きしめた。
「ありがとう」
「よく頑張ったね。すごいよ!」
「じゃあ、チューして!」
「ふふ」
ゆっくり、キスをした。
「舞のおかげだよ」
「ううん、私…何も出来なかった。」
「そんなことないよ、ずっとそばに居てくれた。」
「それは、そうだけど…」
「いつも、俺は舞を探してた。
舞の姿が見えないと不安で、見つけたら安心できた。舞の笑顔に、リラックス出来たんだよ。ありがとう」
「そうなんだ、役に立てたなら、良かった」
「舞〜」ぎゅーっと抱きしめられた。
「これから、また色々と大変なことも出てくるかもしれないけど、よろしくな!」
「うん、一緒に頑張ろう!」
「おーありがとう!さあ、お風呂入ろうか…」
「うん。」ゆっくり、疲れを癒やし、
たっぷりと、眠ろう!
舞は、寝る体勢だが…
んな、わけがない亮…
「嘘でしょう?」
「なんで?」
「あり得ない…元気過ぎるでしょう!」
「うん、元気♡」
「信じられない…」
と、言いながら…されるがまま…
「亮、おやすみ〜♡」背を向けるが…
「え?舞〜!……
イイもん、好きにするからね〜♡」
「う〜ん…もう〜…」
「ふふ」
「ふふ♡」
いつも、舞が負けてしまう。
「チュッ舞、
おめでとう〜のお祝いしてね♡」
ホントに疲れ知らずだ…