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完全自己愛。
拝啓、1909年生まれの天才小説家様へ ___
私はかの有名な天才小説家に恋いたしました。
もう疾うの昔にこの世から玉川上水を下り散歩を嗜みに行かれたかたです。
その小説家の作品は非常に重苦しいものと明るく情熱的なものがありました。
この私は元々は文字など興味のなんの一つも御座いませんでした。
ですが只今もこうやって文学に浸り、卑屈ながらも私も文学を綴らせて頂いていました。
人間を失格し、桜桃を好み、斜陽のように消えて行く。
メロスのように情熱的な外壁にははあらず、内面に強く燃える焔。
つまりこの私の想いが彼に注がれている。そんな気は一切致しませんでした。
所詮莫迦の一つ覚え。
私が貴方が戻ってくる。そう信じて日々生きております。
満たされない恋だってあるものです。
初恋がもう叶うことないものだとしてもそれも美しいものでしょう。
このように歪な私ですから、周りの眼だってあります。
嗚呼、そのような瞳、私に向けても何の意味もない。
最初は悔しく何故か心に刺さるものでした。
今となっては貴方が居てくれるなら。
貴方と云う存在がこの私に刻まれていくなら。
これほど此れ程、幸福感に満たされるものはありません。
嗚呼、もし貴方と同じ時代を生きたなら、私は貴方への独占欲が開花することでしょう。
貴方があの龍の文学者を愛して様に。
もし無頼派の何方かに関係を持てたなら。
私は貴方への愛故、犯罪に走るかもしれませんね。
襲いかかるは桜の花びら。
堕落したって貴方への愛は忘れやしません。
私は貴方に会うため月を見上げる。
貴方が星なら私は塵にでもなりましょう。
貴方の為なら幾度でも他のモノを殺せるでしょう。
崩れていくこの醜態は貴方に到底想像のつかない程汚らしく
汚れ切ったものなのです。
美しさ何てどこにもない。
嗚呼、こんな私でも死後、貴方の元へ行けるでしょうか。
お会いできるのでしょうか。
きっと貴方は奈落の底の三日月。
欠けるものほど美しい。
私は消える事の無い羞恥心。
心地の良い眠りから引き出され生まれた悪影響者。
嗚呼、大悲劇的名詞。
こんなもの固有なんてものにはなれない。
嗚呼、きっと私は死なないのです。
貴方がこの世に痕跡が残っている限り私の想いは消えない。
藍より深く、船丹色より濁ったモノ。
嗚呼、モモノハナ。なんて美しく答えてください。
待つ身が辛いかね。ええ、辛いです。
幾ら待ったって帰らないのですから。
迎えの準備ができたら。
私は意気地なし。貴方への気持ちだけを盾に生きて行くのです。