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I.『来世では、』



2025年7月2日

そう、言葉にして俺は手に持っていたロープを首にかけ、自殺した。

















そもそも、俺が自殺する迄に追い詰められた状況にあったのは何故だろう、

何がそんなに俺を追い詰めたのだろう、

そして、何故、






死を選んだのだろう






俺にはかっこよくて、でも時々ばぶ、そんな所が愛おしい、大好きな恋人が居た


だけど、そんな恋人は俺をこの世に残して先に旅立って行った。”一生一緒に居よう”って約束を破って先立った。

俺の最愛の恋人は飛び出した小さな子供を庇って死んだ。


『あいつらしいな、』

何度思っただろう。

『俺だったらな、』

何度嘆いただろう。

『そもそも、あいつが散歩に出かけていなければ.ᐣ』

何度悔やんだだろう。

『あの時、約束を優先して欲しかったな、』

何度苦しんだだろう。

『アイツじゃない誰かが守ってれば』

何度恨んだだろう。

『置いてくな゙よぉ゙ッ』

何度泣き叫んだだろう。


それでも、帰ってこない、運命は変えられない。

他の人からしたら、ただ1人の人が居なくなっただけ、生活は何も変わらない、ただいつも通りに過ごしている

だけど、俺からしたら、大好きな恋人が死んで苦しくて辛くて、それでも生きないといけなくて、だけど心にぽっかりと穴が空いたようで、毎日毎日枕を濡らして、寝れない儘朝を迎えて、腕は傷まみれ、机には血が付き錆びたカッターが数本、いくつもの空き瓶、ぼろぼろになった恋人との最後のツーショット。


『もっと思い出を作っていれば良かった』

『もっと甘えられていたら良かった』

『もっと沢山の所へデートに行きたかった』


何度も思った。何度も何度も何度も何度も何度も


腕に傷を作りながら、薬数十粒を一気に口に放り込みながら、写真を見ては泣きながら、ベッドに入って枕に顔をうずめながら、…


葬式の待合室で集まった人達は談笑してたが、俺だけずっと泣いていた。楽しくおしゃべり、なんて出来なかった。談笑してる人達が羨ましくも憎くもあった。







 




M1『なつさん、子供を守って亡くなったらしいわよ』



葬式の待合室で聞こえたそんな声。

俺の事じゃない、亡くなった俺の恋人であるなつの事なのに、棘のように刺さる。なつがほんとうにタヒんだのだと知らしめられているようで。


M2『そうらしいわね。死に際がかっこよくて良かったわ~。若いのに交通事故とかでタヒんでたら呆れちゃうからねぇ~』


なんだよ、どこの立場で言ってんだよ、

マイナスな気持ちばかりが参加者に募る。

醜い醜い醜い、こんな自分が嫌になる







俺は喪主として、数日を過ごした。

告別式の後、花や折り紙の鶴を棺桶の中に入れ、なつの顔を触ってみると、『冷えちゃった』なんて言った冬のあの時の手よりも冷たくて、ほんとになつはタヒんでしまったという実感が湧いてくる。涙がぼろぼろと出てきてその雫が止まる気配は無い。

なつの顔はとても綺麗でまるで人形の様。だからなのか、いつも俺が泣いていたら慰めてくれる暖かいなつの体温や声を感じる事は出来なかった。







法事が一通り終わり、なつの遺骨を持って帰った。俺の家で49日間置いておく。



I.『なつ、俺、寂しいよ…』



涙が溢れ出てくる。『これからどうしたらいい、.ᐣ』なんて、返事が返って来るはずもないなつに問いかける。


















49日しじゅうくにちも終わって部屋にあったなつの遺骨か無くなった。なつを感じることが出来るものが減って、『これから、…ほんとにどーしよ、』と呟く。





数日が経ったが、何もする気になれなくて、会社を辞め、家に引きこもっていた。友人であるLANやすちから心配と慰めのメールが来ていたが、何も感じなくて、未読無視をしている。







もう、…タヒんでも、いいよな…

そう決意してからは早かった。部屋を片付けて、遺書を書いて、ロープをクローゼットから出して。気づけば、ロープを首にかけていた。




I.『今までありがとう。なつのお陰で沢山の楽しかった思い出が作れたよ。』

















I.『でも、なつがタヒんで、幸せが崩れちゃった、…幸せってあんな簡単に崩れるんだな、w















I.『来世では、俺となつの2人で今世よりも長く生きて、長く一緒に過ごそうな』











2025年7月2日

1人の男性が部屋の一室で首吊り自殺。




 







2025年7月5日

友人がその男性と連絡が取れないことを不審に感じ、男性の自宅へ足を運ぶと、首吊り自殺をした姿で発見され、その場で死亡が確認された。






机の上に置いてあった遺書には友人へのお礼と謝罪が書き綴られていた。





















H.『ちょっと、早くない.ᐣいるま』

I.『…俺、なつが居ないと生きていけない』

H.『可愛いやつw』









恋人のタヒとその後の苦しみを味わったいるまはあの世で恋人であるなつと再会し、楽しく談笑している事を願うばかりだ。そして、転生と言うものがあるのなら、来世があるのなら、2人で楽しく生きて欲しいと願っている。











                   LAN






L.『お前ら2人の分まで、俺が、俺らが生きてみせる』




S.『2人のタヒを無駄にはしないよ』




M.『うぇッと.ᐟ‪2人の分まで頑張るッ.ᐟ‪』




K.『沢山のお土産話期待しといてや~.ᐟ‪.ᐟ‪』












この話は子供を庇って亡くなった恋人の話。








なのかもしれないし、その恋人を見てきた友人の話なのかもしれない。


          『来世では』  𝑭𝒊𝒏.

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