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あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!てぇてぇ バタ
お母さんがご飯を作り終わるまで俺はスマホと睨めっこ状態だった。
「恋とはっと……」
本当に恋というものがどのようなものかが全く分からない。
「これが恋?」のような感じはあったのだが、まだ的確ではない。そして検索結果は「異性に愛情を寄せること」と書いてあった。
だがその下に「ある特定の人に強い思いを抱くこと」と書いてあった。どっちかわからなかったが、今の自分は下にあったほう。それとも自分がおかしいのか。ますますわからなくなってしまった。
そんな時に「ご飯できたわよー」とお母さんの声がした。いつも通りの怒鳴ってない言い方。多分お母さんの声が大きすぎるだけであって、俺の耳がおかしいというわけではない、はず。
「わかったー。今行くー」
ドアを開けて俺は1階へ向かった。
ピピピピピッピピピピピッ
俺の部屋が目覚ましアラームの音で包まれる。相変わらずのことだが、お母さんの声級に目覚ましアラームはうるさい。スマホのカレンダーを見ると今日は土曜日。先生が来る日だ。
正直、うれしかった。なのだが、先生と連絡先を交換してないことに気づく。普通そんなことはしないだろう。でも、交換したかった。
「お母さーん。阿部先生って何時に来るー?」
「3時半」
いつものお母さんはTHE・陽キャという感じなのだが、今日に限っては塩対応だ。
まさかの3時半。もう少し早いと思っていたが予想は大外れだった。1時くらいでも全然いい。いや、もう少し早くてもいいくらいだ。
3時15分くらいになったときだろうか。
ぴーんぽーん
とチャイムが鳴った。猛ダッシュで廊下を走りドアを開けた。
「こんにちはっ!」
「こんにちは。早速だけど、お部屋行ってもいいかな?」
「あ、はい」
部屋について勉強を始めてから1時間くらい経った。数学をやっていたのだが、因数分解がどうしてもわからない。そういえば一番苦手な単元だった。
「ここってどうやるんですか」
そう先生に言うと俺の後ろに回り込み、俺の肩の上から手を出した。
「ねえ蓮君。蓮君って、好きな人いるの?」
急に全く関係ない話をし始めた。このセリフで分かった。俺の初恋相手は
「阿部先生……」
思わず声に出てしまった。自分で口をふさぐ。でも阿部先生は聞こえていないふりをしている。
「へー、いないのかー」
まるでとってもつまらない会話を聞いている時の相槌みたいだ。
「阿部先生ですっ!」
どうして大声で言ってしまったのだろうか。自分で言ったくせに恥ずかしくなる。
「先生も好き」
先生はスタンドライトを見ながら言った。