先生が言った言葉の余韻に浸っていた。どんどん胸が熱くなり、俺の性格がどこかに飛んでしまいそうになっていく。
「ちょっと、1人にさせてください」
気づけば俺は外にいた。なぜか知らないが、公園が目に留まり、俺は足を踏み入れた。
誰もいない、静かな公園には俺の呼吸音と風の音が響いている。なんとなくブランコに座り、ゆっくりこいでいた。古いからか、たまに軋む音が聞こえる。その音が俺の恋心というものを苦しくする。
「何で飛び出しちゃったんだろ。戻ろ」
ブランコから降りて、俺は家に向かった。
ガチャ
「ただいま」
「どこ行ってたの!?先生に迷惑かけちゃったじゃないの!蓮のことまってるから部屋行きな」
お母さんは俺の背中を押した。それは、お母さんのさりげない応援歌のようだった。
部屋の前に来たが、なかなか開ける気になれない。まるで先生が初めて家に来るときのような気持ちに逆戻りしたようだ。でもこのままじゃ、もう一生会えなくなるかもしれない。
謎な不安を抱いていた。それが本当に起こったら、多分生きていけない。
決心して、扉を開けた。
俺が見た光景は信じられないものだった。
「なんで、俺ッッッ……恋なんかッッッ」
先生が泣いていた。いつもの生き生きとした声とは違った。声が震えていて、いまにも消えてしまいそうで、儚くて、でもその中には希望の光がある。その希望の光は何なのだろう。
「大丈夫。大丈夫」
俺は先生の横に言って背中をさする。
「え?蓮、君?」
「はい、蓮君です」
涙でぐしゃぐしゃな顔をしたまま俺の顔を見る先生を見ていると、今すぐにでも抱きしめたくなってしまう。そんな先生に俺は笑顔を見せた。落ち着いてほしいの気持ちだけで。
「あはっ、ごめんね。情けないや」
『情けなくないです』
そう伝えれたらいいのに。口は動かせるのに、なぜか声が出なかった。理由はないはずなのに。自分でも全くわからない。
俺は立ち上がって、先生にバックハグをする。さっきとは真逆の絵が完成している。
「せーんせっ?」
俺の声は先生に確かに届いた。顔でわかる。
「なーに?」
同じように先生は返す。
「なんでもないです」
何でもないわけがない。先生のなにもかもが俺の心をつかみ、離さない。離れれない。
むこうが離しても俺が離さない。
そう、決意した夜だった
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うん!はい!うん!はい!うん!はい!はいはいはい!うんうんうん!ほうほうほう! 早よ付き合え。