テラーノベル
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jpは自宅で作業をしていた。
気づけば日の入りで落陽は西に遠く、南向きの大きな窓は再び濃い青色をうつしている。
生ぬるくなったコーラを飲み干し背筋を伸ばしきると、大きく息を吐いた。
(やっぱり脚本に物足りなさがあるし動作もバグが出るな…)
電気を着けようと立ち上がったその時、インターホンがなる。
久しぶりの来客。セールスかな?
jpは玄関の戸をゆっくりと開けた。
「はー……い、、、」
扉の向こうに立っていた人物にjpは動けなくなった。
何度も何度も夢に見たきみ。
1年前と変わらない、俺だけの光。
「久しぶりやな、、jp」
「…元気しとるか?」
幼さの残る懐かしい声、柔らかな関西弁。
黄金色の目にjpがうつる。
「うん…ttは?」
「元気…やで」
「…そっか」
突然のことで動揺する。
目の前に待ち望んだ人、その手を払った1年前。
うまい言葉が見つからず目を逸らす。
「…いきなりどうしたの?」
ttが手を握りしめているのが見える。
行き場のない手は緊張しているようだった。
「俺…は…、忘れ物を取りに来た」
「この部屋に、jpに、俺を」
「…」
「…お前は俺を大切にしてくれてたのにな」
「俺も、過去ごとお前を愛したいってほんまに思ってたのに、記憶が邪魔をして、、 お前をまた不安にさせてた」
「ほんまにごめんな」
ttは言葉を詰まらせながら、苦しそうに吐き出した。
自分の手も無意識のうちに手に力が入るのがわかって、行き場を探して腕を握る。
「ううん…俺が深い傷をつけたんだ。怖がらせた俺が悪いんだよ。傷なんてそんなすぐ癒えるものじゃない」
「それでもまるごと俺を愛してくれてたんだよね。なのに俺から離れないとトラウマは癒えないって決めつけて、またひどいことを言った。…本当にごめんなさい」
「…それがな、トラウマも平気になってきたみたいや」
「え?」
jpはttを見る。
弱々しく微笑んだttは細首に手をやった。
首をぐるりと囲むように残っていた瘢痕はほとんど目立たなくなっている。
「ここも消えたんやで」
「…良かった…、本当に…」
「…jp、約束、やぶってごめんな。ほんまごめん。」
「…ずっと一緒やって、もう一回…俺は約束したい」
ttの首に残った傷痕は自分の弱さをまざまざと突きつけてきていた。
ttを愛してるから、ttを自由にしたいからって別れたのに、結局俺が突き放したのは俺の弱さだった。
鏡の前で傷痕をなぞっていたttの横顔を思い出す。
傷痕を気にしているわけじゃない。
過去を嘆き憂いているわけじゃない。
俺の弱さをひとりで隠していたんだ。
傷もトラウマも早く消えろって、元通りの二人に戻ろうって、祈るように。
本当はわかってた。
だってそんな顔をしていたよ。
優しすぎるよ、tt。
俺って本当に身勝手で、情けない。
それでも、もう一度約束してくれるの?
戸惑うまま、 滲む視界に瞬きを繰り返すttの頬に触れた。
骨張って冷えた手で触れたttは相変わらず暖かく柔らかかった。
懐かしい感覚に、体温が戻る思いがした。
何よりも大切な存在、俺の、生きる理由。
「…ごめん、tt。…これから言うのは俺の最後の身勝手」
「…」
「俺もttに約束したい。…俺は苦しい事があれば逃げ出して、そのくせいつだってttが迎えに来るのを待ってた。あのどしゃぶりの日も、ttを傷つけた時も、そして今日も。…でももう逃げない。隙間があったって、弱くたって、絶望で終わらせない。」
「そのためにはttが必要なんだ。本当にわがままな願いだと思う。でもずっと一緒だって、俺も約束したい…もう一度俺と歩いてほしい」
「…jp」
「会いたかった…tt」
「…うん」
「俺の半分がなくなったみたいで寂しかった」
「…うん」
「もう離れたくないよ…」
「…もう離さんでな?俺はここにおるから…」ポロポロ
「…あ、あかん、なみだ、勝手に…」
jpがttの手を引き寄せると、 ttは羽根のように軽く、ふわりと腕の中に飛び込んだ。
1年分の寂しさと悲しみ、そしてjpの過去とttの思いの隙間を埋めるようきつく抱きしめ、その肩にjpは顔を埋める。
「うん…うん…」
「離さないよ、ニ度と、、」ポロポロ
コメント
7件
寝て起きたらいつの間にか更新されてて飛んできました😭💗やっと再開でまじ涙どばどばです🥲
ゆびーきりーれいんーー😭😭😭😭 うわぁん😭😭よかった