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テラーノベル(Teller Novel)
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「あ、ベック戻ってきた!」

気づけば昼頃になり、船に戻ってきたベックに皆は安堵した。

「ベック!どこ行ってたんだよ!」

「少し島を探索していただけだ。」

「まぁいいじゃねぇか、戻ってきたんだし。」

船は少しばかり騒がしくなったが、すぐにベックの指示が下り、皆それぞれ動き出した。

「お頭、出航は明後日だろう?」

「あぁ、そうだけど。どうした?」

「いや、何となく聞いただけだ。」

「……ふーん。ならいいけど。」

ベックはシャンクスにそういうと、ある部屋へ向かった。


「ホンゴウ、居るか?」

「おう!どうした?副船長」

「少しばかり診てもらいたい奴が居るんだ。薬草採取のついでに診てやってくれねぇか?」

「あぁ、いいぞ!」

「すまないな。」

「良いってことよ!準備できたら行くからよ!」

「あぁ、」

ベックはホンゴウの部屋を後にし、自分の仕事に取り掛かった。



「副船長、準備出来たぜ。」

「あぁ、今行く。」

「そろそろ行けるか?」

「あぁ、案内する」


しばらく山道を歩き、カイナの家に着いた。

「なんだここ……氷で出来た家か?」

「まぁ驚くのも無理はないな。」

「街も氷が所々生えてる(?)し…ここに居るやつがやったのか?」

「あぁ、だが、あまりその事について触れてやらないでくれ。」

「あぁ、分かった…」

やはり誰が見てもこの家に対してびっくりする様だ。

2人はノックをし、カイナの家に入った。

「カイナ、居るか?」

「…はい。どうしました?」

「一応、うちの船医を連れてきた。」

「あの、大丈夫だと言ったと思うんですが…」

「事情は聞いてるが…頭を殴られて大丈夫はないと思うぞ。」

「ですが…」

「大丈夫。変な事はしないし、金もいらねぇから。」

「………わかりました。」

カイナは諦めが着いたのか、大人しくホンゴウに診てもらった。

「……あぁ、軽い脳震盪だな。」(のうしんとう)

「………」

「ちょっと頭に包帯巻くから、じっとしててくれよ。」

「はい…。」


「ほい、終わったぞ。」

「すみません。包帯まで巻いて貰って…」

「良いってことよ!」

ホンゴウは少し照れくさそうに笑った。

「じゃあ、俺は薬草採取してくるわ。そのまま船に戻るから副船長も早く戻って来いよ!」

「あぁ、分かった。」

ホンゴウは家を後にし、薬草採取へと向かった。

「…大丈夫か?」

「…すみません。呼んで貰ってしまって。」

「いや、俺の方こそすまない。勝手な真似をしてしまったな。」

「………」

互いに謝罪をしたが、何とも言えない空気が流れてしまった。

しばらくして、その沈黙をベックが破った。

「……少し、聞いていいか?」

「…はい。」

「君は、ここにずっと1人で寂しくないのか?」

「……寂しくないですよ。 …母がいるから。」

「……そうか。」

「私も…聞いていいですか?」

「あぁ、」

「海の上って…楽しいですか?」

「……あぁ、正直飽きないな。」

「………そうですか。」

「…貴方は、どうしてあの人に付いて行こうと思ったんですか?」

「……シャンクスの事か?」

「はい」

「…まぁ、殆ど成り行きだな。」

「……?」

「俺は、お頭に無理やり仲間にされた様なものだな。」

「だが、一緒に旅をして行くうちに自分にはなかった光が差し込んで来た様な気がしたんだ。」

「……光…」

カイナはしばらく考えた。

自分にとっての光とは何なのだろうと。

母を救う為だけにこの5年間を過ごしてきた。

けれどいつまでも母を救うことが出来る兆しが見えない。

なら、自分はなんの為にこの5年を費やしたのだろう。

カイナは深く考え込んでしまった。

「……おい、本当に大丈夫か?」

はっと意識を戻す。

「すみません。考え込んでしまって…」

「…それなら良いんだか… じゃあ、俺はもうそろそろ船に戻る。さっき戻った時に仲間に文句を言われてしまったからな。」

「はい。お気をつけて。今日はありがとうございました。」

カイナはベックを見送り、少し早めの休息をとった。

とある海賊団に救われ、幸せになった人生

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