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翌日、
街はざわめいていた。
「行くぞ〜!!」
街の人達が団結し、次々と山の中へ入っていく。
街の人達が目指す場所、それはカイナの家だ。
街の人々はカイナを悪魔と捉えている。
自分達の島を荒らすものと認識し、追い出す為に計画を立て実行しようとしている。
そんな事が起こっているという事をカイナはまだ知らない。
カイナはいつもより遅く母の氷を溶く事にした。
昨日のこともあってか少し安静にしてから行こうと思っていた。
「もうそろそろ行こうかな。」
カイナが家を出ようとしていたその時、
ドンドン
「………?」
「開けろ!」
「この悪魔め!!」
「早くこの島から出ていけ!!」
「!」
カイナはしばらく出られずにいた。
過去、母に怪我を負わせ家を燃やされそうになった時の記憶が蘇る。
それでも、抗わなければ何もかも失ってしまう。
カイナは勇気を出してドアを開けた。
「いきなり出ていけって…何なんですか!?」
「うるさい!!害しか及ぼさない悪魔め!!」
「まぁ、いいじゃないか。どうせこの島から居られなくなるからな。」
街の1人の男が不敵な笑みを浮かべる。
「どういう……」
「!」
カイナは街の人達を押しのけ、崖へと向かった。
(まさか……!)
崖に着いた頃、
その光景がカイナを絶望の底へ叩きつけた。
街の人達が母の氷を崖から突き落とし
海へと沈めた。
「あ、あぁ……」
カイナは膝から崩れ落ち、驚愕した。
その様子を街の人々は笑いながら見ている。
「これでこの島にはいられないだろう?笑」
「ざまぁないな笑」
「分かったら早く出ていくんだな。」
街の人々はそれぞれ台詞を吐き捨てると各々帰って行った。
カイナはその場から動けなかった。
自分が一体何をしたのだろう。
過去、この島全体に氷を発生させてしまった事?
でもそれは、街の人達が発端だった。
考えれば考えるほど、頭が混乱していく。
気づけば、泣いていた。
でも何故か声が出ない。
喉の奥で声が詰まり、上手く出せない。
もう何も無い、何も残ってない。
これからどうすれば良いのだろう。
カイナは途方に暮れてしまった。
ベックは自分の部屋から出て、朝日を浴びながら一服した。
大きく空気を吸い、煙を吐き出す。
ベックはふと、街の方に目をやった。
今頃はちらちらと外に出てくるはずの街の人達が一斉に山から降りてきた。
心做しか嬉しそうに見える。
「…こんな朝早くに山から…」
「!」
ベックは察した。
おそらく、街の人々がカイナに何かしたのだと。
ベックは急いで船を降り、カイナの元へと向かった。
草木を掻き分け、カイナの家を目指す。
道が開け、カイナの家に辿り着いた。
「カイナ!!」
名前を呼ぶが全く返事が無い。
「崖の方か…!」
ベックは崖の方へ向かった。
「これは…」
そこにあったはずの氷が無くなっている。
「カイナ!」
その前に、座り込んでいるカイナに話しかける。
「大丈夫か?何があった?」
「………」
ポロポロと涙を流し、俯いている。
とても受け答え出来る状況では無い。
「あまりここに居ない方がいいな…」
ベックはカイナを抱えた。
今カイナの家に行っても、母と過ごした思い出が蘇ってしまうと思った。
ベックはそのまま船に向かい、自分の部屋にカイナを入れた。