TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
シェアするシェアする
報告する

「俺は泣けなくなっちゃったけどね。」


なんて、自嘲気味に笑った彼。



「ここだ!ここのラーメンがうまいんだよ!」



嬉しそうに目を輝かせて、暖簾をくぐる。



「もう仁ちゃん遅いって、 」

「ごめんごめん。ちょっと気になる子がいて」

「その子?」

「そーそー。そう言えば名前聞いてねぇや。」

「もぉ~、しっかりしてよ。」

「名前は?」



「…犬飼陽菜です、。」

「陽菜ちゃんね。」



他人に名前を呼ばれるなんて久しぶりで懐かしくて、心がぽっとあたたかくなった。



「で?親御さんは?連絡した?」

「まだですね、。」

「じゃあ今しちゃったら?」



「あ、。充電切れてたの忘れてました、。」

「まぁ??」

「あ、俺モバ充持ってるよ。使いな?」

「、すみません、ほんと、。」



注文して、届くのを待っている途中、仁ちゃんと呼ばれた彼は私と出会った経緯について、簡潔にまとめて説明した。



「…お名前、…伺ってもいいですか、。」

「ん!名乗ってないか!」


お水を飲んでいた彼が、私の方に顔を向けた。



「俺山中柔太朗。」

「俺は吉田仁人。」

「…柔太朗さんと吉田さん、…。了解です。」



「お、来た来た。」



「どお?うまいっしょ?」


得意気な表情で私の顔を見る。


「っ、…おいしいです、。」

「ん、ゆっくり食べな?全然待つから。」





「ごちそうさまでした、。」

「おし、食べたね?じゃー今日は俺が奢る。」

「ん、ありがと。」

「ありがとうございます、。」



お会計を済ませる頃には充電も少しは入っててモバイルバッテリーを柔太朗さんに返却する。



《友だちの家に泊まるから》



母にLINEを送っても既読はつかない。

どうせ

今日も父と兄に手を焼いているのだろう。





「ほんとに友だちいるの?」

「ぇ…?」



別れ際、柔太朗さんに痛いところをつかれた。



「まぁそうね?それは思うよね。」

「こんな時間に公園なんて行かないでしょ。」

「友だちいるならね?」



「…いない、…ですね、…。」

「あはは!やっぱいないんだ?」

「っ、…笑わないでもらっても、?」

「しゃーない!うちに泊まれ。」



半強制的に吉田さんの家に連れ込まれた。




「私、そーゆーこと、…出来ないですよ、?」

「はぁ?何言ってんの?俺手ぇ出さねぇよ?」

「!!」

「え、期待してた?」

「は、自惚れんな。吐き気する。」

「ふっ、口悪いね~君。」



私をからかうように笑って、洗面所そっちね、とだけ伝えて中に消えていった。

手を洗って吉田さんが入っていった部屋に向かえば、いかにもな作業部屋。



「あのさぁ?服、テキトーなのでいい?」

「大丈夫です、。」

「下着は流石にないけど、。」



「風呂沸かしてくるからテレビでも見とく?」

「あ、リモコンそれね。」



電源と書かれた赤いボタンを押せば、テレビがついてニュースが流れ始める。

自室にテレビがないから、久しぶりにテレビを見た。




「なんか面白いニュースあった?」

「いや、…虐待ってなんだろうって、。 」


ぼーっと見ていたら、いつの間にか児童虐待についての特集が始まって、考えていることそのままの疑問を吉田さんにこぼした。

loading

この作品はいかがでしたか?

5

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚