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その国では、平和な時代が長く続いた。人々は安定した暮らしがずっと続くと思っていた。しかし突然、戦争が始まり、この青薔薇王国でも幾つもの騎士が戦場へと駆り出された。青薔薇王国の第三王子の護衛だったアキトも当然のように選ばれた。彼が戦地へ赴く日、第三王子は必死に涙を堪えていた。
「行かないでくれ……独りにしないで…くれ、…」
別れ際アキトは王子にこう言った。
「オレはトウヤ様の為に戦います。必ず戻ってくるので、待っていてください。」
そう言って彼は王子の額へとキスをし、戦地へと旅立った。
だが、その約束が果たされる前に、戦況は激しさを増し、彼は激戦の中です命を落とした。愛し合う2人には何か不思議な絆があるのだろう。戦場で彼が息絶えた瞬間、トウヤは「今……アキトが…アキトが死んでしまった……」と言うことが分かった。読んでいた本が床に落ち、珈琲の入っていたカップは真っ二つに割れた。その時、頭の中にアキトの声が聞こえた。
「すみません。トウヤ様、オレはたった今死んでしまいました。約束を守れず本当にすみません。オレも辛いです。ですが、神様がお慈悲をくださいました。今後、トウヤ様が辛くなったとき、一度だけトウヤ様にお会い出来るそうです。オレが必要になったときは、心の中でオレを呼んでください。必ずトウヤ様に会いに行きます。」
トウヤは国の王子として一人で頑張った。
父さんが大病になったとき、「俺は父さんの病気を治す作法が分からない…アキト…会いに来てくれ」と念じようとしたが、すぐに思い出した。
「今は俺が強くなればいい。俺が頑張って看病すれば父さんは良くなるかもしれない。これから先もっと辛いことがあるだろう。アキトに会うのはその時に取っておこう。」
父さんが回復し、やがて戦争は終わった。しかし、その後を生き抜くのが大変だった。城に敵が入り込んだり、兄に酷く責め立てられたり、自分が病気にかかったり………。その度に俺は呟いた。
「これから先、もっと辛いことがあるだろう。アキトに会うのはその時に…取っておこう。」
その後は、王子は色んな功績を残した。そして、第三王子は30と言う若い年ながら、難病にかかった。
ある星が綺麗な夜、ベッドの窓から外を眺めた。
「そろそろ俺も死ぬんだろう…。今まで色々なことがあったが、過ぎてしまえば、楽しい思い出だったのかも知れないな。」
夜空にアキトの顔が浮かぶ。トウヤは呟いた。
「今、とても、アキトに会いたくて仕方がないだ。どうか、俺の我が儘を聞いてくれ…一度だけ会いに来て欲しいんだ…」
すると雲間から月が輝き、部屋に光が満ちた。そして、トウヤの側にはあの時の姿のアキトが立っていた。
「もっと早く呼んでくれると思ってました。」
月の光に包まれたアキトはそう微笑み、トウヤの手をとった。そして、トウヤも微笑んだ。
「何度も何度も呼びたいと思ったんだ。だが、もう一度アキトと会うと言うことは、もう一度アキトと別れなければならない。そして、アキトを呼んでしまったら、今度こそアキトに会えなくなってしまう。一度、死によってアキトを失った俺は、生きてるうちにもう一度アキトを失うことなど耐えられない。来てくれてありがとう。アキトが心配してくれてると思うだけで、俺は…前に進めた。俺は、どんなときでも勇気が持てた。」
やがて月は雲に隠れ、アキトの姿その国では、平和な時代が長く続いた。人々は安定した暮らしがずっと続くと思っていた。しかし突然、戦争が始まり、この青薔薇王国でも幾つもの騎士が戦場へと駆り出された。青薔薇王国の第三王子の護衛だったアキトも当然のように選ばれた。彼が戦地へ赴く日、第三王子は必死に涙を堪えていた。
「行かないでくれ……独りにしないで…くれ、…」
別れ際アキトは王子にこう言った。
「オレはトウヤ様の為に戦います。必ず戻ってくるので、待っていてください。」
そう言って彼は王子の額へとキスをし、戦地へと旅立った。
だが、その約束が果たされる前に、戦況は激しさを増し、彼は激戦の中です命を落とした。愛し合う2人には何か不思議な絆があるのだろう。戦場で彼が息絶えた瞬間、トウヤは「今……アキトが…アキトが死んでしまった……」と言うことが分かった。読んでいた本が床に落ち、珈琲の入っていたカップは真っ二つに割れた。その時、頭の中にアキトの声が聞こえた。
「すみません。トウヤ様、オレはたった今死んでしまいました。約束を守れず本当にすみません。オレも辛いです。ですが、神様がお慈悲をくださいました。今後、トウヤ様が辛くなったとき、一度だけトウヤ様にお会い出来るそうです。オレが必要になったときは、心の中でオレを呼んでください。必ずトウヤ様に会いに行きます。」
トウヤは国の王子として一人で頑張った。
父さんが大病になったとき、「俺は父さんの病気を治す作法が分からない…アキト…会いに来てくれ」と念じようとしたが、すぐに思い出した。
「今は俺が強くなればいい。俺が頑張って看病すれば父さんは良くなるかもしれない。これから先もっと辛いことがあるだろう。アキトに会うのはその時に取っておこう。」
父さんが回復し、やがて戦争は終わった。しかし、その後を生き抜くのが大変だった。城に敵が入り込んだり、兄に酷く責め立てられたり、自分が病気にかかったり………。その度に俺は呟いた。
「これから先、もっと辛いことがあるだろう。アキトに会うのはその時に…取っておこう。」
その後は、王子は色んな功績を残した。そして、第三王子は30と言う若い年ながら、難病にかかった。
ある星が綺麗な夜、ベッドの窓から外を眺めた。
「そろそろ俺も死ぬんだろう…。今まで色々なことがあったが、過ぎてしまえば、楽しい思い出だったのかも知れないな。」
夜空にアキトの顔が浮かぶ。トウヤは呟いた。
「今、とても、アキトに会いたくて仕方がないだ。どうか、俺の我が儘を聞いてくれ…一度だけ会いに来て欲しいんだ…」
すると雲間から月が輝き、部屋に光が満ちた。そして、トウヤの側にはあの時の姿のアキトが立っていた。
「もっと早く呼んでくれると思ってました。」
月の光に包まれたアキトはそう微笑み、トウヤの手をとった。そして、トウヤも微笑んだ。
「何度も何度も呼びたいと思ったんだ。だが、もう一度アキトと会うと言うことは、もう一度アキトと別れなければならない。そして、アキトを呼んでしまったら、今度こそアキトに会えなくなってしまう。一度、死によってアキトを失った俺は、生きてるうちにもう一度アキトを失うことなど耐えられない。来てくれてありがとう。アキトが心配してくれてると思うだけで、俺は…前に進めた。俺は、どんなときでも勇気が持てた。」
やがて月は雲に隠れ、アキトの姿がぼやけ始める。トウヤはアキトの手を握り返した。
「これで、アキトとはお別れか、。いや、今度は俺がアキトに会いに行く番だ。このあと、この空の上で、また一緒になれるのだろうか…」
アキトは優しく微笑んで消えた。
静まり返った部屋で、第三王子は深い眠りについた。始める。トウヤはアキトの手を握り返した。
「これで、アキトとはお別れか、。いや、今度は俺がアキトに会いに行く番だ。このあと、この空の上で、また一緒になれるのだろうか…」
アキトは優しく微笑んで消えた。
静まり返った部屋で、第三王子は深い眠りについた。