テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
うるさいほどの蝉の声。
こんなに声がするのに、姿が見つけられないのが不思議だ。
俺は、友達と遊ぶ為走っていた、訳ではない。
いつもよりも高揚感がある。
それは、“ゆうれいさん(仮)”のせいだろう。
今日こそは、名前を聞く。
そしてあわよくば会話をする。
そして仲良くなる。
俺の頭の中には、ゆうれいさん(仮)_____
あの人の声がずっと響いている。
寝たら昨日の出来事なんてほとんどは忘れてしまう。
でも、昨日見たあの人の、姿、声、仕草…
どれも鮮明に覚えている。
あの人と会った神社に着いた。
あの人は、もうここには来ないかもしれない。
でも…
淡い期待と少しの不安を乗せて足を進めた。
奥へ進むごとに、日差しが木々で遮られ別世界に入ったように感じた。
深呼吸をし、歩きながら脳内で拙いシュミレーションをする。
出会ったら、スマートに挨拶をする。
そして、名前を聞く。
会話を弾ませて、仲良くなる。
あの人がいるであろう神社は、もうそこだ。
結果から言うと、あの人はいなかった。
少ない確率だったから、ちょっとした期待だったから…まぁ、驚くほどの結果でも無い。
でも、もう一度会いたかった。
あの人がこの前座っていたベンチを見る。
ここに人は滅多に来ない。
…ちょっとだけなら良いよね。
ベンチに座ってみた。
あの人が見てた方向を見てみた。
…あ、カブトムシがいる
見つけられるなんて、珍しい。
まぁ確かに、カブトムシも涼しい環境にいたいよね。
爽やかな風が吹く。
なんだか暑い。
おかしいな、日陰なのに。
もうこの頃には俺はあの人に心を奪われていた気がする。
「あ!昨日の子だ。こんにちは!」
「っえ…?」
暗転_____
俺は気絶してしまった。
「だ、大丈夫?
…熱い、熱中症じゃない、コレ!?」
爽やかなソーダのような声が遠のいてゆく。
……失態を見せてばかりだなぁ、俺。
起きた時に、あの人の顔面が近くにあってまた気絶しそうになった事はまた次のお話。