こんにちは。
ところで、スプランキーの世界は雨は降るのでしょうか…
今回は、珍しく雨が降った日のサイブラの甘いお話です。
⚪︎2人は恋人で同居をしている
↓始まります
じめりと肌に張り付いてくる空気。
今日は、ここらでは珍しくすごい大雨だ。
「やまないね」
「うん…」
ブラッドも隣で何やら作業しながら返事をした。
「ブラッド何やってんの?」
「ん!てるてるぼうずつくってるの!」
「へえ、見せて〜」
「いいよぉ、じゃん!さいもん!」
ふんす、と得意げに僕の名前がついたてるてるボウズ見せてきた。紙に書かれている顔はお世辞でも上手いとは言えないが、とても愛らしさを感じる。(いや…君の作ったものは全て愛らしいまであるな…ずいぶんと狂わされてしまった…)
「わあ!これ僕?いいね」
「えへへっいいでしょ〜」
「うん。とっても!僕も作ろうかな」
そう言って僕も白い紙とペンを手に取る。
くしゃっと丸め、その上に別の紙を被せて輪ゴムで膨らんだ部分の首を縛る。その後にペンで顔を描いた。
もちろん、君の顔だ。
チラッと横目で君の顔を眺める。
普段は焦点の合っていない黒い目を、作業のために焦点をしっかり合わせている。
(好きだなあ…)
そんなことを呑気に考えながら、キュッとペンで描き止めた。
「見て!ブラッド、できたよ!」
「わあ!ぶらっどだ!さいもん、じょうず!」
キャイキャイとはしゃぐ君。僕のてるてるボウズを見て喜んでくれたみたいだ。
僕も絵を描くのが下手くそだけど…
そう言えば、ブラッドは人のことを馬鹿にしたり否定しない、素直で優しくて、頑張り屋さんで…そんな君と一緒にいる時が心地良い。
(雨の日も悪くないな。)
他の空気が遮断されて、今だけ君と2人きりの世界にいるみたい。
「ブラッドは、外に出れなくて嫌なの?」
「んーん。おそとすき、でも、さいもんといっしょ、たのしい!」
「…!そうなの?僕もブラッドと居れてとっても楽しくて嬉しいなあ」
愛しい君へおでこに軽くキスしてやる。
「えへへっ、さいもん、どうしたのぉ?」
「ブラッドのことが大好きだから、チューしたくなったんだよ。」
「ぶらっども、さいもんだいすき!」
すると、彼も可愛らしいリップ音を鳴らして僕に同じことを返してくる。
君は平気そうな顔なのに、僕だけがじめりとした空気に溶け込みそうなくらい、頬が熱くなった。
「ね、さいもん!てるてるぼうず、かざる!」
そんな僕を気にせずに、君はさっさと次の行動に目を輝かせている。
まあ君らしいけどさ…
「うん、そうだね…。じゃあ、あの窓際に飾ろう」
「うんっ!」
作ったてるてるボウズに紐を結んで並べてかけた。上出来だな。
僕と彼の顔が時折くるりと回って止まる。
「あ…」
回ったてるてるボウズたちの顔が、ピトリとくっついて止まった。
それは、まるで…
「あれぇ!さいもんと、ちゅ、しちゃった」
「ブラッドもそう思ったの?僕もそう見える」
「てるてるボウズのぶらっども、さいもん好きなんだねぇ」
「ふふ、じゃあてるてるボウズの僕もブラッドのことは大好きなんだね」
僕はちょっとだけ照れくさくて笑ってごまかした。
てるてるボウズのお互いの口部分触れ合っているのだが、実際に自分が同じ状況下になっても、反応はこんなものなのだろうか…
ちょっと試してみることにした。
「ブラッド、こっち向いて」
「ん?なぁに…ん!」
ふに、と柔らかな唇が合わさる。
それから彼の頬や額に啄むようなバードキスをした。
君はくすぐったいのか、もぞりと身じろぐ。
「んぅ…さいもん…?」
「かわいいブラッド…愛してるよ」
すると、彼は俯き、みるみる紅潮していっていることが分かった。
ああ…なんだかとても優越感を感じる。
もう少し攻めてみようか
「ブラッド…下向かないで、ね?」
「あ、あう…さいもん…」
視線をきょろきょろと動かしつつも
素直にじっと視線を合わせてくれる。
まるで小動物のような可愛らしさに、僕の心がきゅんとなる。
「いい子だね。」
「ぶ、ぶらっど…こどもじゃ、ない…」
「おっと、そうだった」
「…もぉー!さいもんっ!!」
真っ赤な顔をぷくっと膨らませて、怒っているようだが全然怖く無い上に、さらに幼稚感が増している気がするが…黙っておこう。
「ふはは!ごめんごめん」
「むぅ…」
「…ブラッドは僕とキスするの、嫌だった?」
ほぼ答えが分かっているのだが、わざと彼を困らせる質問をした。
彼はやはり少し驚いた様子で、眉を下げて考え始めていた。
ちょっと待ってくれ、何を考えているんだ?
もしかして、本当に嫌だった…?
若干不安な気持ちにそわそわして、彼が口を開いたのだが
__やはり君には敵わなかったようだ
「ううん、さいもんと、ちゅーするのすき…はずかしい、でも、いっぱいうれしいの。ぶらっども…あいしてる」
そう言って彼は僕がやったところと同じところにキスを落とし、微笑んだんだ。
「…ブラッド、今日だけは僕の隣にずっといてほしい」
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今だけ、雨の音にかき消されて、誰にも邪魔されない
2人の世界は愛で満たされた
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