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あおいです🌷 第1話、読ませていただきました。 「七つ目の月」というビジュアルがまず綺麗で、黒い月から落ちてきた結晶の中に本が…という展開に一気に引き込まれました。白紙だったページに文字が浮かんでいく不気味さと、レインが「選ばれてしまった」感がひしひしと伝わってきました。最後の雪山の神殿のシーンで一気に世界が広がる感じ、続きが気になります!
【第一話 星が落ちた夜】
夜空には、本来見えるはずのない七つ目の月が浮かんでいた。
その月を見た者は、翌日には姿を消す――。
そんな言い伝えが残る辺境の村、ルーメン。
十七歳の少年・レインは、その噂を笑い飛ばしていた。
「またその話か。」
薪を背負いながら村へ戻ると、広場では老人たちが真剣な表情で空を見上げている。
「今夜は家から出るな。」
「七番目の月が近い。」
レインは肩をすくめた。
「月なんて六つしかないだろ。」
その言葉に老人たちは誰も返事をしなかった。
空を見る。
確かに六つ。
青、白、金、紫、赤、銀。
それだけだった。
「ほらな。」
笑いながら家へ戻る。
母が温かいスープを用意してくれていた。
「今日は早く寝なさい。」
「はいはい。」
窓の外では風が木々を揺らし、不思議なくらい静かな夜が広がっていた。
深夜。
レインは突然目を覚ました。
胸の奥が熱い。
何かに呼ばれているような感覚。
「……なんだ?」
無意識のまま外へ出る。
誰もいない。
虫の声すら止んでいた。
その時だった。
空が割れた。
音はない。
まるで紙を裂くように夜空そのものがゆっくりと開き、その向こうから黒い光が降り注ぐ。
そこには――七つ目の月があった。
黒い月。
光を放つのではなく、周囲の光を飲み込む月。
「……本当にあったのか。」
その瞬間、月から一粒の流れ星が落ちた。
いや、星ではない。
巨大な黒い結晶だった。
結晶は村の外れへ落下し、大地を揺らす。
ドォォォン!!
遅れて轟音が響く。
「落ちた……。」
恐怖よりも好奇心が勝った。
レインは森へ駆け出す。
息を切らしながらたどり着いた先には、直径十メートルほどの巨大なクレーターができていた。
中心には、黒い結晶。
近づくだけで空気が震える。
「これ……なんだ?」
手を伸ばれた瞬間。
パキッ。
結晶に一本のひびが入る。
「え……?」
次の瞬間だった。
砕け散った結晶の中から、一冊の本が落ちる。
古びているのに傷一つない。
表紙には文字ではなく、見たことのない紋章が刻まれていた。
レインは恐る恐る本を開く。
ページは真っ白。
何も書かれていない。
「空っぽ?」
そう呟いた瞬間、白紙だったページに赤黒い文字が浮かび始める。
――ようやく見つけた。
レインの全身が凍りつく。
文字は勝手に増えていく。
――契約者候補確認。
――適合率九十九・九九九%。
――継承を開始します。
「ちょ、ちょっと待っ……!」
本がまばゆい光を放つ。
逃げようとしても体が動かない。
ページがひとりでにめくれ、最後の一枚で止まった。
そこには一文だけ記されていた。
『世界を喰らう資格を与える。』
その瞬間、本は光の粒となってレインの胸へ吸い込まれた。
激痛。
息ができない。
心臓が脈打つたび、身体の内側で何かが目覚めていく。
やがて静寂が戻る。
荒い息をつきながら胸に手を当てると、そこには星のような黒い紋章が浮かんでいた。
「これは……何なんだ……。」
その答えを知る者は、この世界にはもう誰もいない。
ただ一人を除いて。
遠く離れた雪山の神殿。
白い仮面を被った男が、静かに目を開く。
「始まったか。」
男は誰もいない玉座の間で小さく笑う。
「千年待った。『星喰い』が、ついに目覚めた。」
その言葉と同時に、世界各地で封印されていた古代の遺跡が一斉に震え始める。
誰もまだ知らない。
一人の少年が手にした力が、この世界の歴史そのものを書き換えることになるとは――。