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朝、目が覚めたとき、最初に感じたのは違和感だった。
いつもより布団が少し重い。いや、重いというより―― “ 温もり ” がある。しかも、自分の体温とは明らかに違う温度のそれが、すぐ隣からじんわり伝わってくる。
まだ半分眠ったまま、ぼんやりと天井を見つめる。昨夜の記憶をたぐろうとするけれど、思い出せるのは、いつも通り一人で帰って、適当にご飯を食べて、そのまま寝落ちしたところまでだ。
じゃあ、この温もりはなんだ?
ゆっくりと首を横に向ける。
――そこに、らっだぁが寝ていた。
pn「は?」
思わず声が漏れた。が、らっだぁはまったく起きる気配がない。規則正しい寝息を立てて、こっちに背中を向けたまま、完全にくつろぎやがっている。
いやいやいや。
なんでいるの?
鍵は?侵入?いや、そんな物騒なことするやつじゃない。…するかもしれないけど!
混乱した頭のまま、スマホを手に取ると、らっだぁから『ありがとう』という通知が来ていた。なんだろうと思い、LINEを開くと、深夜2時頃のやりとりが残っていた。
『ぺいんとの家の近くにいる』
『寒い』
『そっち行くわ』
……ああ。
俺が『勝手に入れ』とだけ返信していた。
合鍵を渡していたことも、今になって思い出した。
納得した瞬間、どっと力が抜けた。
pn「びっくりさせんなよ……」
小さくつぶやく。
すると、その声に反応したのか、らっだぁがもぞりと動いた。ゆっくりとこちらを向いて、半分だけ目を開ける。
rd「……おはよ」
寝ぼけた声で、当たり前みたいにそう言った。
pn「おはよじゃねえよ」
即座に返すと、らっだぁはふっと笑う。
rd「いいじゃん。泊めてくれたんだし」
pn「記憶ないんだけど」
rd「じゃあ今、了承ってことで」
都合のいいことを言って、また目を閉じる。そのまま二度寝する気満々らしい。
なんだか呆れて、でも少しだけ安心している自分がいる。
らっだぁを置いて、ベットから立ち去ろうとした時、らっだぁに腕を掴まれた。
pn「え、なに」
rd「ぺいんとはもう寝ないの?」
pn「うん」
rd「何か予定あったけ」
pn「ないけど」
rd「じゃあ、一緒に寝よ」
――と、その瞬間。
ぐい、と腕を引かれた。
pn「ちょ、待っ――」
言い終わる前に、視界がぐるりと反転する。気づけば俺は、らっだぁの腕の中に半ば引きずり込まれていた。
rd「寒いんだって……」
ぼそっと呟く。
最初は抵抗した。というか、普通するだろこんなの。
pn「離せって……!」
そう言ってみるものの、返ってくるのは規則正しい寝息だけ。どうやら完全に二度寝モードに入ったらしい。
……ダメだ、起きる気配がない。
しばらくもがいてみたが、腕はびくともしない。諦めて力を抜くと、逆にその温もりがじわりと伝わってきた。
「……まあ、たまにはいいか」
小さく呟いて、目を閉じる。
抗うのをやめた途端、意識がすっと落ちていく。
隣の温もりは思っていたより、ずっと悪くなかった。