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「然《しか》し楓君は、私の記憶が正しければ、一度しか私の席にはついた事が無かった様に思うのだが、私の好みを覚えていたとはね、恐れ入ったよ」
「大袈裟です。接客業たるもの、お客様の好みを知って置く事は当然の事です。其《そ》れよりもお酒を不味くしてしまった事、大変申し訳御座いませんでした」
身体に電流が走った、堂々とした佇まいと落ち着いた物腰。どれをとってもまさに楓は間違いなく一級品。こんなに凄い人に見初められたのかと思うと胸が熱くなる……
―――お尻の下は未だ高速回転してるけど…… なにこれ。
「琴音君とは前の店からかい? 」
「はい、お恥ずかしながら以前の店での後輩でして、どうしてあんな風に成ってしまったのか申し訳御座いません。私と何人かで、このALTAIR《ダンジョン》に移籍して来たのですが、私には水が合わずに早々と…… 」
「成程ね…… 」
おおぅコラ! 回転を速めるんぢゃあ有りません。いい所で興奮してしまう、貴様いい話を台無しにしたいのか? そうなのか? ていうかコレ手で出来る動きじゃないんだけど? え? 手じゃないの? なにこれ。
「おや? いちか君は少し酔ってしまったのかな? 顔が真っ赤だが、大丈夫かね? 」
「はっ、ハイ、すみません少し酔いが回ってしまったようで」
「君には後で話があるからそれ以上飲まないでくれ給えよ? ははは、私は少し失礼するよ」
そう黒川は席を立つとトイレへと向かい、同じく本指名の子もボーイからオシボリを手渡されると急いで後を追った。対象のお客様がトイレを済ませ出てくるまで入り口でオシボリを持ち、待機する事は常識で有る。
二人が席を立った所を見計らいお尻の下を慌てて確認すると……
ピンク〇ーターが苦しそうに奇声を上げていた。