「え…しっ…?」
「死んだ。分かるカナ?」
赤色の彼が分かりやすく動揺する。
その前に立つ青色の瞳が緩く下ろされる。
「…じゃあ言い方を変える」
冷静な声が廊下に響く。
「みどりの「体」を返せ」
どれだけ走っても、どれだけ歩いても、緑色の背中が見えることは無かった。
横に走っていた紫色の彼と離れることは避けたかったので、走り過ぎないよう気を付けてはいた。
だが、とうとう限界が来たらしい。
「…はぁ、はぁ、…っはぁ」
「コンちゃん、一旦休むか…?」
「いや、休んだらみっどぉが…」
「…せやけど」
「いいから、行こう…っ」
また走り出す背中を前に、それを追いかける。
大丈夫やろか…
数分間走った後、自分の視界に目的の体が倒れている状態で発見された。
が、2人は最悪な光景を目の当たりにしてしまったらしい。
「……らっ、だぁ……?」
倒れていた緑色の先には「青色」が笑っていた。
いや、正確には泣きながら笑っていた。
「…ぁ、ははっ、はっ」
心の底から何かに抗うような、そんな悲しい表情を俺ら2人は初めて見た。
「らっだぁ…?嘘、だよな……?」
赤毛の、緑色の彼の、2人の、いや、どこから来たのか分からない赤い液体で染まった彼の長い指を見る。
「…ご、め………なさ、」
その言葉と共に、2つの意識は途絶えた。
「と、こんな感じです…が」
長い指が開いていた本を閉じる。
燭台の上、ホウホウと揺れている蝋燭の表面に音もなく溶けた蝋が伝う。
「彼は一体、どんな方法で「殺めた」んでしょうかね?真実は私にも分かりません」
赤いテーブルクロスの掛かった、豪華な机。
律儀に並べられた白い食器類には、赤い何かが少し付着していた。
「ただ、これらのモノガタリを音読した結果、一つだけ言えることがあるのでは無いでしょうか」
彼が赤い装飾の席から立ち上がると共に椅子の生地が戻る音が響く。
コツ、コツと床を軽快に鳴らす革靴。
「ズバリ、彼は「犯罪を犯した」。これに限りますよねぇ〜…」
Uターンをし、またコツコツと皮底を鳴らしながら帰ってくる。
「ですが、今になって「彼ら」は何故、「彼」を迎えに来たのでしょうか……、」
「おおっと」と、慌てて自分の口に手を乗せる。
「…少々口が滑ってしまいましたかね…?w」
赤い瞳が隠れるレンズには、燭台の上でまだ生き残る蝋燭が揺れていた。
密閉された部屋の中だろうに。
「さて、そろそろですかね…」
ワイングラスのそばに置いてあったベル。
人差し指と親指で掴み、そして、ゆっくりと鳴らした。
「「メインディッシュ」のお時間です」
チリンッ
コメント
8件
やばい、もうなんてゆうか凄すぎて話を見てる時の時間が止まっているみたいでした。素晴らしかったです!
やばい…混乱が…もっかい最初から見てこよ…
なんだ……何が起こっているんだ?でもこの話が今までで1番好きかもしれないのは確かだなぁ……もちろん全部好きだけど、中毒性がやばいです