テラーノベル
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その名は埼玉の鹿。
普通の鹿ではない。二本足で歩き、スマホを持ち、動画を撮りながら街を歩く鹿だった。
ある日、埼玉の鹿は大宮駅前を歩いていた。
「今日も動画撮るぞー!」
そう言ってスマホを構えた瞬間、遠くから声が聞こえた。
「おーい!まな板ー!」
埼玉の鹿は振り返った。
「え?誰なんだあんたは?」
すると女子高校生くらいの集団が笑いながら言った。
「埼玉の鹿じゃなくて、まな板じゃん!」
周りの人までクスクス笑い始めた。
埼玉の鹿は少しショックを受けた。
家に帰るとベッドに寝転がりながら考えた。
「なんで私はまな板っていわれてるんだろう……」
コメント欄を見ても、
「まな板やん!」
「その辺の中学1年生よりまな板」
「埼玉のまな板」
そんなコメントばかりだった。
しかし数日後、埼玉の鹿はあることに気付く。
動画を投稿すると、
「まな板かわいい!」
「まないたでスタイルがいい!」
「まな板最高!」
コメント欄は笑顔であふれていた。
誰も本気で悪口を言っているわけではなかった。
むしろ親しみを込めて呼んでいる人が多かったのだ。
埼玉の鹿は立ち上がった。
「そうか……!」
「なら私がが埼玉一のまな板になればいい!」
翌日。
大宮駅前。
埼玉の鹿は堂々とカメラを回した。
「どうもー!!」
「埼玉の鹿です!!」
少し間を空けてから、
「そして!」
「埼玉県公式まな板です!!」
通行人は大爆笑。
動画は大バズりした。
コメント欄には、
「開き直ったの強すぎる」
「まな板界の王」
「埼玉代表まな板」
という言葉が並んだ。
そして数か月後。
埼玉の鹿はイベント会場に立っていた。
ステージの下には大勢のファン。
その中の一人が叫んだ。
「埼玉の鹿ー!」
別の人が叫ぶ。
「まな板ー!」
すると会場中から、
「まな板ー!」
「まな板ー!」
「まな板ー!」
という大合唱が起こった。
埼玉の鹿は少し笑った。
昔なら落ち込んでいたかもしれない。
でも今は違う。
「ありがとう!」
「これからも埼玉の鹿として!」
「そして伝説のまな板として頑張ります!」
会場は大歓声に包まれた。
こうして埼玉の鹿は、誰よりも愛される「まな板」として、今日も埼玉のどこかで動画を撮り続けているのであった。
これは実話です笑笑
コメント
3件
あら、ちょっと待ってくださいね……これ、めっちゃ愛されてるじゃないですか(笑)。二本足で歩く鹿が「まな板」呼ばわりされて凹むところから、開き直って「埼玉県公式まな板」を名乗るまでの流れが痛快でした。最初は心配になったんですけど、周りの「まな板かわいい!」で一気に温かい空気になるのが良いですね。弱みを個性に変える……このひたむきさ、すごく尊いです。短いのにキャラの輪郭がしっかり立ってて、思わず笑顔になりました。