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第二章 二幕 手にした光
宿屋を飛び出すと青空は暗い雲に覆い隠され風は今にも木を倒しそうな勢いでした。「どうして、さっき窓を見たときは晴れていたのに…」ジネヴラは驚いて言いました。「天候を変えるほどの力、これはただの魔物じゃありませんよ」ゲラルドはあまりの強い風に辺りを見渡して言いました。ユミトたちが困惑していると、一人の村人があれを見ろと言って指をさしました。見上げた瞬間、何か大きなものが目の前を通り過ぎました。「龍だ!」アウレリオは目を見開いて言いました。空を飛んでいるのは紛れもない龍でした。龍はアウレリオたちと目が合った瞬間、強風を発生しました。「ひとまず宿の中へ!飛ばされるぞ!」アウレリオが指示を出すとみんなは急いで扉に向かって走りました。しかし逃げ遅れたユミトは強風に足をすくわれ飛ばされてしまいました。「ユミトちゃん‼」ジネヴラがユミトに向かって声を上げました。ユミトも突然のことで焦っていましたが、焦っている暇はないと思い体制を整えました。ユミトは突然強風に飛ばされたにもかかわらず冷静いにいられる自分を褒めました。自画自賛していると、龍は余裕そうなユミトに腹が立ったのか、ユミトに攻撃しにかかりました。それに気づいたユミトは剣を構え攻撃に備えました。しかしユミトの握っている剣は震えていました。それもそのはずユミトは昔読んだ本で龍を倒すには神の力の欠片すなわち共神石が欠かせないと聞きました。共神石を持たないユミトは本当に自分一人で倒せるのか不安でした。「それでも、やるしかない!」ユミトは決心し剣をしっかり握りました。すると突然ユミトの頭に激痛が走りました。それに思わず剣を落としてしまい。そのとたん辺りは時が止まったように感じましたユミトは困惑しながらも、その激痛に耐えていると、どこかから知らないけど、何故か懐かしい声が聞こえてきました。『…く、……せ』なんだろう、何を言ってるんだろう、そう思いよく耳を澄ましました。すると、しだいにその声は鮮明になりました。『朝日の如く、深淵に在りし闇夜を照らせ』どういうこと?さらに困惑していると謎の声は続けます。『志を持ちし者に、今こそ天からの恵みを』その声を聞くうちに心の奥底から何か力がこみあげてきました。『天に光し九つの星の御力を今此処に発現せん』謎の声が言い終わる先程までの頭痛が無くなったと同時に時が動き出し、さらに龍も動き出しました。しかしユミトの頭は冷静でした。ユミトは龍に向かって手を伸ばしました。「…フラッシュ」その瞬間、強烈な光が放たれました。その光にアウレリオたちは目をそらしました。そしてその光に耐えられなかった龍は思わず逃げていってしまいました。ユミトはそれに安心して意識を失ってしまいました。
目を覚ますと宿の部屋のベッドにいました。「気が付いたかい?」ゲラルドが目を覚ましたユミトに気づいて言いました。そうだ、私は龍と一騎打ちになったんだ!ユミトはガバッと勢いよく体を起こすとゲラルドが慌てました。「あ!まだ寝ておきなさい!起きて間もないからね」その言葉に従いユミトはゆっくり横になりました。「それにしてもさっきはすごい光だったね、あんな力、いったいいつ発言したんだい?」ユミトは戸惑いましたがちゃんと言おうと思い、口を開きました。「強風に飛ばされた後に発現しました」さらにユミトは先ほど起こったことを丁寧に説明しました。「ふむ、急な頭痛と共にどこか懐かしみを感じた声、もしかしたら…」ゲラルドがユミトに向き直りました。「ユミト、先ほどまで持っていなかった石はありますか?」「い…石?」ユミトはカバンやポケットをまさぐるとポケットから見覚えの無い石が出てきました。「これは…?」ポケットから出てきたのは手のひらサイズの四芒星形の石でした。中には不思議な模様がありました。「ゲラルド、これは?」ユミトは聞くとゲラルドは答えました「これは共神石です、しかも複合光属性の」ユミトは驚きました。選ばれた者しか手に入れることが出来ない共神石のさらに所持率の少ない光属性の共神石でした。「まさか、私が手に入れるなんて…」共神石を持っているユミトの手は震えていました。「それに複合って?」ユミトはそれについて聞きました。ゲラルドが丁寧に説明しました。「光属性と闇属性には単一と複合っていうのがありまして単一は純粋な一つの属性のみ、一方で複合は複数の属性からなっています。複合は単一よりも稀で属性が多ければ多いほど保有数は格段に下がります」ユミトは真剣に聞いていました。それを見たゲラルドが少し笑いました。「ちなみに私は、氷と水と草と風の複合光属性です」「え⁉」ユミトは驚きました。なにせ身近に凄い人がいたからです。驚いているユミトを見てさらに続けました。「あなたも例外ではありませんよ、あなたの共神石にはニつ以上の属性が感じ取れます」ユミトは有り得ないという顔をしました。その顔を見たゲラルドが笑いました。「そんなに信じられないなら、冒険者ギルドに鑑定者がいます、確認してみたらどうですか?」ユミトはたしかにと思いました。「わかりました。確認してみます」ユミトは言いました。ゲラルドが急に手をたたきました。「その前にアウレリオたちに無事を報告しなくては、皆、心配していましたよ」