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レローゼが猫化してしまった?! 「」レロ 『』メロ
レロはソファに腰を落とし、テーブルの上の飲み物を手に取った。
「はぁ……今日はさすがに疲れたわ」
メロが用意したそれを、特に疑うこともなく口に運ぶ。
ごくり。
「……ん? なんか、いつもと味違くない?」
そう言った直後だった。
「っ……!? ちょ、なにこれ……!」
頭の奥がじわっと熱を持ち、
次の瞬間、ぞわりとした感覚が頭頂を走る。
「や、待て待て待て……!」
ぴょこん。
柔らかい猫耳が、レロの頭から顔を出した。
同時に、背中側で何かが揺れる感触。
「は……?」
視線を落とすと、そこには長い尻尾。
「……はぁ!? 俺、猫になってる!?!?」
『ふふ』
背後から、楽しそうな声。
『やはり、疑いませんのね』
「……メロ?」
ゆっくり振り返ると、
そこには口元に手を当て、微笑む妹の姿。
『猫化の地獄アイテムですわ。
飲み物に混ぜただけですので、ご安心を』
「安心できる要素どこだよ!!」
そう言いながらも、
猫耳が勝手にぴくりと動く。
それを見て、メロの目が細くなった。
『……あら』
次の瞬間。
ちょん。
指先が、猫耳の先を軽く突く。
「っ……!?」
思わず、喉の奥から変な声が漏れた。
「な、なに今の……!
や、やめろって……!」
耳がびくっと伏せ、
尻尾が感情を隠せず揺れる。
メロは一瞬きょとんとした後――
ゆっくり、にやりと笑った。
『……なるほど』
一歩、距離を詰める。
『これは……とても、良い反応ですわね』
「近づくな……!
それ以上はマジでダメなやつだから!」
後ずさるレロ。
しかし、耳も尻尾も言うことを聞かない。
『逃げるのですか?』
「当たり前だろ!!
その顔で来られたら、無理に決まってる!!」
レロは踵を返し、勢いよく走り出す。
「待てじゃない!
今の俺、触られたら終わるから!!」
『まあ……』
メロはその背中を、愉快そうに眺めながら歩き出す。
『逃げる猫ほど……
からかい甲斐がありますもの』
家の中に響く足音。
猫耳を伏せて必死に逃げる兄と、
余裕たっぷりに追う戯魔の妹。
――その夜、
レロの家ではしばらく
静かで、騒がしい追いかけっこが続くのだった。