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兄弟初めてのハグ? 『』メロ 「」レロ
廊下の突き当たり。
逃げ場は、もうなかった。
「……あ」
レロが足を止めた瞬間、背中が壁に当たる。
ひやりとした感触に、猫耳がぴくりと伏せた。
『――捕まえましたわ』
低く、楽しげな声。
メロは一歩で距離を詰め、そのまま腕を伸ばす。
ぎゅっ。
逃げ道を塞ぐように、やさしく、でも確実に。
レロの身体が、すっぽりと抱き込まれた。
「ちょ、待っ……!
だからそれは反則……!」
もがこうとした拍子に、
猫耳が彼女の頬に触れて、びくっと震える。
『あら……動くと、余計にくすぐったいでしょう?』
「……っ」
力が抜ける。
抵抗する気力が、すとんと落ちた。
「……もう、分かったよ」
小さく息を吐いて、レロは観念したように肩の力を抜く。
「捕まった。
だから……離せよ」
『……いいえ』
即答。
『今は、離しませんわ』
ぎゅっと、抱く腕に少しだけ力がこもる。
『逃げ回る猫は、
こうして落ち着くまで抱いておくものですから』
「そんなルール聞いたことない……」
そう言いながらも、
レロはそっと腕を回した。
抱き返す、という選択。
猫耳が、ゆっくりと起き上がり、
尻尾の揺れも静まっていく。
『……ふふ』
満足そうに、メロが微笑む。
『素直になりましたわね、お兄様』
「……うるさい」
でも、振りほどこうとはしなかった。
壁際で重なる影。
からかう妹と、調子を狂わされながらも受け入れる兄。
――その夜、
追いかけっこは終わり、
静かなぬくもりだけが残っていた。