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かめちょん
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#nmnm
かめちょん
876
#短編集
🙂
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ヘリオトロープ⑩
※センシティブ無しにしてますが、何故かセンシティブになってます。バクです。笑
若井side
元貴が
元貴が目の前で倒れた
若井「元貴!元貴!」
大森「……ヒッ……ヒッ……ヒュー……ヒュ……」
若井「も、元貴っ」
藤澤「ちょっとどいてっ」
そう言って藤澤さんは、元貴の身体を触り始めた。
若井「こんな時になにしてんだよっ!」
藤澤「うるさいっ………………あった」
元貴の身体をあちこち触っていた藤澤さんは、元貴の内ポケットから何かを取り出した
藤澤「若井、元貴をちょっと起こして」
若井「な」
藤澤「早くっ」
若井「……っ」
俺はわけも分からないまま、藤澤さんの言われるままに元貴と床の間に手を入れ身体を少し起こした。
藤澤「ありがとう、代わる」
藤澤さんは元貴の頭を少し下げた状態で、鼻をつまみ、内ポケットから出したものを元貴の口に無理やりねじ込んだ
シュッ
藤澤「元貴、ゆっくり息吸って……そう、上手…………もう1回、吸うからね……ゆっくり……口開け…………そう……」
シュッ
大森「……ヒ…………ヒュー……ゲホッ……ゲホッ……ハァ……ハァ…………りょ、ちゃ……」
藤澤「大丈夫……ゆっくり、ゆっくり……息吸って……」
藤澤さんは元貴に呼吸のリズムを教えるように、ゆっくりと胸の辺りをポンポンとしながら、「大丈夫、ゆっくり」と元貴に声をかけ続けていた。
それからすぐ、元貴の喉から出ていたヒューヒューという音も無くなり、呼吸も藤澤さんのリズムに合わせるようにゆっくりになった。
俺は意を決して藤澤さんに声をかけた……が、帰ってきた言葉は、辛辣ながらも的を得た言葉だった。
若井「あの…………ふじ、さわ……さん……元貴は……」
藤澤「……もう大丈夫……今はそのまま寝ちゃっただけ」
若井「そう……ですか……も、元貴はっ……何か悪い病気……なんですか……?」
藤澤「君、本当に元貴の事何にも知らないんだね……」
若井「……」
藤澤「若井、そんなんでよく元貴が好きって言えるね」
藤澤さんに言われた通り、俺は何も知らない
元貴の病気も
何も
知らない
藤澤「……ハァ…………」
何も言えない俺に藤澤さんは小さくため息をついた。
藤澤「若井、俺と元貴の鞄取ってくれない?」
若井「どこ連れてくんですか」
藤澤「俺ん家、だよ」
若井「俺が」
藤澤「俺が何?この後どうすればいいか君は知ってるの?知らないでしょ?それなのに無責任に連れて帰ろうなんて考えないでよ」
若井「っ」
藤澤「責任も取れないナイト君は要らない」
若井「……」
藤澤「((ボソッ…まあ、責任逃れをした俺が言えることじゃないけど」
若井「え?」
藤澤「じゃあ、また明日」
若井「ちょ、ま……」
元貴を抱えた藤澤さんは、おれに背を向けて去っていった。
若井「………………くそっ」
俺は
元貴の何も知らなくて
何も
出来なかった
───────
大森side
大森「…………ん」
藤澤「あ、元貴、起きた?」
大森「ここは……」
藤澤「俺んちだよ。水、飲める?」
大森「あ……うん……あり、がと」
藤澤「ちょっと待ってて」
俺はソファに寝かされていて起きた時、涼ちゃんは頭の横に座っていた。
なんで目が覚めたら涼ちゃんの家に居るのかを記憶を思い返す……
大森(そうか、俺、発作を起こして気を失ったのか……)
藤澤「はい、水……起き上がれる?」
大森「大丈夫」
ソファから体を起こし、差し出された水をゆっくりと飲んだ。
大森「涼ちゃん家って……広いね」
藤澤「ふふ、そりゃあ俺も稼いでますから…………元貴、まだ……喘息治ってなかったんだね……」
大森「あ、うん……ごめん、心配かけて……」
藤澤「ううん、俺に謝る事じゃないよ」
ここ最近は忙しいのを言い訳にして、食事も睡眠も疎かにしていた。それに季節の変わり目の寒暖差も重なって発作が出た、というところだろう。
涼ちゃんには処置をしてもらった上に、眠ってしまった俺を自宅まで運んで……迷惑をかけすぎた
大森「涼ちゃん、迷惑かけてごめん……本当にありがとう。俺、帰るわ」
藤澤「ばかっ!!倒れたばっかなのに何言ってんのっ!ゆっくりしなきゃ」
大森「いや、これ以上は迷惑かけらんないし……それにまだ目を通したい資料が」
藤澤「元貴は働きすぎっ!今日くらいゆっくりしなきゃ。このまま泊まっていきなよ」
大森「でも……」
藤澤「大丈夫、俺んち寝室とは別に部屋はもうひとつがあるから」
大森「い、いや……そうじゃなく……て」
「部屋はもうひとつある」
それは涼ちゃんなりの気遣いだ。
わかっている。倒れたばかりの俺にとってはとてもありがたい提案だ
でも……
藤澤「若井の事、気にしてるでしょ」
大森「っ」
藤澤「元貴も若井が好きなんだね」
大森「いや、ちがっ……ちが、わ……なくもない……けど……」
藤澤「俺が言うのも何だけど若井ってノンケでしょ?こっちに引きずり込む覚悟とか責任とか……わかってる?」
大森「わかってるだから……」
藤澤「俺は元貴をこっちの世界に引きずり込んで責任も負わずに突き放したことを後悔してる……あの時の俺にはその責任がとても重くて、俺は逃げ出したんだ……。その重さを知ってるからこそ、今元貴がやろうとしていることに俺は賛成できない」
大森「……」
藤澤「好きだからだけで、俺たちの恋愛はうまくいかないんだよ。それは元貴もよく知ってるでしょ」
涼ちゃんの言いたい事は俺もわかっている。
若井の気持ちを知っていながら、受け入れることも拒むこともできない。自分がいる。
でも、俺は若井の事が……
藤澤「ねぇ元貴……今からでも俺とやり直さない?」
大森「え……涼ちゃ……何言っ……」
藤澤「さっきも言った通り、俺はあの時責任を取らなかったことをずっと後悔している。でも今ならその責任を取れる。自分勝手なことを言ってる事はわかってる。けど考えてみて欲しい」
大森「涼ちゃん……俺……」
藤澤「答えは今すぐじゃなくていい……それに今日は疲れてるだろうし、休もう。リビング出てすぐの左の扉がバスルーム、さらにもう一つ向こうの部屋がゲストルームになってるから今日はそこを使って。着替えは僕のになるけど、下着は新しいのを用意してあげるから……ほらほらっお風呂にゆっくり入っておいで、ね?」
俺が涼ちゃんの問いに答える前に、答えようとする事を止められた。
そのまま流されるように風呂と泊まる方へと促され、いくら後でもいいと言われても、答えてない後ろめたさからも俺は従い、風呂へと向かった。
・
・
・
俺が風呂から上がった後、涼ちゃんはいつものようにニコニコだった
さっきの告白がまるで嘘のように。
やらなくていい自分でやるって言ったのに俺の髪を乾かし、風呂上がりには水分補給だ、と言い、また新しく水をくれて、いたせりつくせりで俺の世話をしたと思ったら、「じゃあ俺もお風呂入ってくるね〜」と消えて行った。
大森「………………わっかんね……」
涼ちゃんが一体何を考えてるのかわからない。
久々に出会ってからの行動を見れば、俺のことが好きで若井が邪魔だから色々と行動している、と考えれば普通だ。
でも俺の中で何か引っかかる感じがする
それを上手く言葉に出来ないけど……何かある気がして……でもそれが何かなのかもわからない
大森「…………はぁ……」
まあ、今いくら考えても答えが出そうにない
それに、俺が何か引っかかると思っていても…………さっき、俺に告白してきた涼ちゃんは真剣で、嘘をついてるような感じではなかった……
考えても考えてるも思考がぐるぐるするだけ
大森「……ああ゛っ、ますます訳わかんねーっ」
藤澤「なにひとりで叫んでんの〜?」
大森「うわぁっ!りょ、涼ちゃんっ」
どうやら俺が考えている間に、思いの外時間が過ぎて涼ちゃんが風呂から上がり、ソファでバタバタしていた俺を涼ちゃんが覗き込んでくるまで気がつかなかった
藤澤「そんなにびっくりしなくても……あっ、元貴全然水飲んでないじゃんっ!」
大森「あ、うん……今から飲むよ」
藤澤「寝ている間も汗で身体の水分減るんだから……あっ、それで言うと……」
何で大声出してたのかを涼ちゃんは俺に問うことなく、水から汗、そこから何故か昆虫……と話がそれていった。
「それで言うと……」は昔も涼ちゃんはよく言っていた。
だから自然と元の話からズレるのは毎回で、結局最初の話が何だったかがわからなくなる。
だけどそれを今意図的にしたのかはわからないけど、大声出していた事に深く触れてこなかったのは涼ちゃんの気配りと優しさだ。
俺はそのまま涼ちゃんの昆虫話や、どんどん変に繋がる話を、うんうん、と少し右から左に受け流しつつ聴いた。
藤澤「……うわっ、もうこんな時間っ!元貴と久々におしゃべり出来てつい、楽しくて時間見てなかったよぉ」
うん。俺はほとんど喋ってないけどね
藤澤「元貴疲れてるのにごめんねっ!さっ、寝よう、寝ようっ」
使い捨ての歯ブラシを涼ちゃんからもらって、ふたり並んで歯磨きをした。
何年も前にも……涼ちゃんちのユニットバスの洗面台でぎゅうぎゅうになりながら歯を磨いたのを思い出した
今はふたり並んでも余裕がある
時間の流れと懐かしさを感じつつ、俺は無言で手を動かした
藤澤「じゃあ元貴、おやすみ……何かあったら斜め向かいの扉をノックしてね。俺の寝室だから」
大森「うん、ありがと、……おやすみ、涼ちゃん……」
その日、俺はゆっくりと眠った。
─────
※裏話
涼ちゃんが水→汗→昆虫の話した話の流れで、昆虫になったのは、「昆虫って暑くても汗をかかないんだよ」って話を繋げました。笑
コメント
9件
少し…少〜し 藤澤さんという人が見え始めましたね パロでありながら御本家とリンクして見ることができています 流石です👏 若井さんの子供っぽいところを 藤澤さんが上手く利用していて 真意までは見えませんが 今後の立ち回りに目が離せないです👀
今まで若井さんにマウントを取っていたようなりょうちゃんからは想像できないくらい、優しくて甘い雰囲気✨ そして…..大森さんが若井さんを好きということ….ふふふ、続く展開が気になる素敵なお話し、ありがとうございました!
うわ……第10話、めっちゃ重い展開だったね……。若井くんの「何も知らなかった」っていう無力感が痛いほど伝わってきた。藤澤さんが昔の後悔を語りつつ「今からでもやり直さない?」って言うシーン、心臓がギュッてなった。元貴くんの気持ちも藤澤さんの気持ちも、どっちもわかるから辛いよ……。この三角関係、どうなっていくんだろう?重いのに、読むのやめられないよ🥀