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「恭ちゃんの走りも凄かったと思うんですけど、橋本さんはどう思いましたか? 僕、全然追いつくことができなくて!」
妙な空気を素早く読んだ和臣が、不機嫌になりかけた橋本に話しかけると、宮本はやんわりと佐々木の手を解き、橋本に向き合った。
「陽さんってばもっと早く走れるくせに、俺らの走りを特等席から堪能するなんて、本当にズルいです」
「あ、まぁな。和臣くんも恭介を追いかける姿、すげぇ感動した。というか、恭介の神経はいったいどうなってるんだ? ペーパードライバーとは思えない走りをしていたぞ」
橋本はふたりに気を遣わせてしまったことが、どうにもいたたまれなくて、思わず榊に近寄り、前髪をあげてからいつものようにオデコを叩いた。
「いたっ! 八つ当たりするなんて橋本さん酷いです」
「八つ当たりじゃねぇよ。褒めてやってるんだ」
ふたりのやり取りを間近で見ていた佐々木は、お腹を抱えて笑いだした。
「四人とも、本当に仲がよろしいんですね」
いきなり褒められたことが信じられなかった橋本は、ぽかんとして佐々木の顔を見つめた。橋本にオデコを叩かれた榊が、痛んだところを撫でながら、宮本に視線を飛ばす。
「宮本さんは橋本さんに、こういうことをされていないんですか? これはこれで仲がいいと言われちゃうと、俺としては疑問なんですけど」
「恭ちゃんと橋本さんのやり取りは、微笑ましいものがあるって。だから佐々木さんは、仲がいいと言ったんだと思うよ」
おっとりした宮本が答える前に、和臣が流暢に答えてしまった。バラバラなやり取りを繰り返しているというのに、皆が笑顔をキープしたままだからこそ、佐々木に仲がいいと言われたんだろうなと、橋本は勝手に納得してしまった。
「陽さん、キョウスケさんに手を出しちゃ駄目ですよ。そういうのは俺だけにしてください」
「おいおい、みずからドМ発言して、わざわざ自分から笑いを取りにいくなよ……」
榊の質問をスルーして、すごいことを強請った発言で、宮本以外大爆笑に陥ったのは言うまでもない!