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帰宅してシャワーを浴びる。
晩ご飯はテイクアウトにしたちらし寿司、それからインスタントだけどお味噌汁と野菜スティック。
病院で、食生活を見直すように言われたけれど、疲れて帰ると作る気になんかなれない。それを思うと、仕事しながら家事もこなしている早絵のような女性を尊敬してしまう。
_____もしかして、私って、一度にできることは、ひとつなのかもなぁ
なんて考える。仕事か家事か、いやその前に恋か。これに子供の世話や親の介護が入ってきたら、きっとパニックを起こす。私だったらあれもこれも、とっ散らかって収拾がつかなくなりそうだ。
「みんな、すごいなぁ…」
ビールをごくごく飲みながら、独り言がこぼれる。
「あ、そうだ、検索してみよう!」
誰に言うでもなく、スマホで検索する。キーワードは『元彼、連絡、馴れ馴れしい』。こんなので検索しても答えなんて…。
あ、あった!
【元彼(あなたを捨てた彼)が馴れ馴れしく連絡を取ってくる場合。ーー昔あれほど俺のことを好きだったんだから、今でも俺のこと好きでしょ?ヤラせてくれるでしょ?ーー単純に今の彼女に飽きてきたから昔の女でも誘ってみようかな?くらいの軽い気持ち。いつでも遊べるオンナとして、自分のリストに入れてあるだけ。決してあなたのことが忘れられずに連絡をしてきたわけではない。】
「はぁぁぁ???あんの、野郎!!」
思わずビールの缶を握りつぶした。
「いつでも遊べるオンナだと?今の彼女に飽きたって、アイツは奥さんがいるっつーの!」
そういう意味だったのか。いや、ネットに書いてあることが全てだとは思わないけど、あの馴れ馴れしい感じがそうだと教えてくれてる。
明日からの仕事が思いやられる。プロジェクトの進捗は、結城から連絡させようか。なんかおかしなことにならないか、少し不安があるけど。
そもそも、私がフリーなことがいけないのか?決まった誰かがいるとアピールすれば、連絡してこないだろうか。と言って、そんないきなり決まった彼を見つけられる自信はない。
「やっぱあれだな、結婚しかないかなぁ?」
法律的に守られた頼れるパートナーというやつは、急病の時だけじゃなくウザイ昔の男からも助けてくれそうだ。
さっきまでは、結婚のマイナスポイントばかり数え上げていたことを、もうすっかり忘れていた。
「どっかにいないかなぁ?結婚してくれる人!」
ふわふわと酔いが回って、ソファで寝てしまった(こりもせず)。