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×××男の子を庇って事故に!?
朝の風がまだ少し冷たい、春先の高校の登校路。
「おはよ、×××」
キルアはリュックの肩紐を直しながら、少し眠そうな表情で×××に声をかける。
×××は髪を少しだけ耳にかけながら、無表情のまま「おはよ」と返す。だが、目の端に少しだけ笑みが浮かんでいる。
二人は高校一年生にして、学校のバスケ部でエース同士。部活でも恋愛でも、互いに信頼し合う関係を築いていた。恋人同士になってからは、登校も自然に一緒になることが多い。
今日は少し遅れ気味に登校していた二人。人通りの多い道を、互いに並んで歩いていた。
「……×××、今日は早めに学校行くって言ってたけど、なんで急いでるの?」
キルアが声をかけると、×××は一瞬立ち止まり、鞄を地面に置いたかと思うと、突然前を向いて走り出した。
「えっ……!」
キルアは驚き、リュックを拾い上げる。何が起こったのか理解できないまま、後を追う。
×××はただ黙々と、全力で走っている。足取りは軽く、まるで試合中のドリブルをしているかのようだ。
「×××! 待てよ!」
キルアは声を張りながら、全速力で追いかける。心臓がバクバクする。どうして急にこんなことに……?
次の瞬間、交差点に飛び出す×××。キルアはブレーキをかけようとする車もなく、ただ目の前の光景に頭が真っ白になる。
——小さな男の子。
手には犬のリードを持っていたが、どうやら手を滑らせてしまったらしい。犬は道路に走り出そうとしている。信号は既に赤になっていて、向こうから大きなトラックが迫ってくる。
「やばい……!」
キルアは思わず足を止め、でも次の瞬間、×××が子供に飛びかかるようにして抱きかかえ、トラックの前に立ちはだかった。
衝撃の瞬間、金属の鈍い音とブレーキ音が混ざる。トラックは急ブレーキを踏んだようだが、完全には止まらず、車体がわずかに揺れた。
キルアは全力で駆け寄る。地面に倒れた×××の身体を見る。胸のあたりには血がにじんでいる。
「×××……! ×××!!」
何度も名前を呼ぶ。呼びながらも、頭の中は整理できない。
男の子は無事で、×××の手の中で震えている。トラックの運転手も慌てて降りてきて、状況を確認している。
「大丈夫か!」
「救急車を! 誰か救急車を!」
運転手が慌てて携帯を取り出す。
周囲に集まった通行人の声が、ざわざわと交差点に響く。
小さな男の子のお母さんが駆け寄り、キルアに声をかける。
「その子の親を呼んで!」
しかしキルアは、×××が倒れているのを見て、一歩も動けない。
「……×××は……俺が……」
×××が小さい時に両親が事故で亡くなっていて、それから幼馴染で家族ぐるみで仲の良かったキルアの家で一緒に暮らしている。だから、この状況で動揺しても、誰も助けを呼べないことはわかっている。
運転手は救急車に連絡をし、キルアは血まみれの×××の頭を抱えながら、声をかけ続ける。
「×××……しっかりして、頼む……!」
×××の顔には少しの意識はあるものの、頭を打った影響で反応は鈍く、血が止まらない。
男の子のお母さんが近づいて、落ち着いた声で言う。
「学校に連絡して、親御さんを呼んで……」
キルアは首を振る。
「×××は両親がいないんです。×××が小さい時に事故で……俺の家で一緒に住んでいます……だから、学校に連絡してください!」
その言葉にお母さんは頷き、携帯を取り出して学校に連絡を入れる。
キルアはその間、ただ×××の名前を呼び続ける。手に伝わる温もり、微かな呼吸を確かめながら、心臓が破れそうなほどに張り裂けそうになっていた。
to be continued…
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