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×××緊急搬送!
サイレンの音が遠くから聞こえてくる。キルアは×××を抱えたまま、まだ地面に跪いていた。
血が滴る髪をかき上げ、顔に手を添える。呼吸はかすかにあるが、意識は戻らない。
「×××……しっかり……お願い……」
声が震える。胸のあたりに手を置き、微かな脈を確認する。
通行人がトラックの周囲から少し離れ、警察や救急隊に道を譲る。小さな男の子は安全な場所に座らされ、母親がそっと抱きしめる。
「大丈夫、怪我はないから……ありがとう」
男の子の母親が言うが、キルアの耳には届かない。目の前の×××しか見えていない。
救急隊が現場に到着し、二人に近づく。
「負傷者ですか!?」
「はい、頭を打って……出血が止まりません!」
キルアは慌てて説明する。
救急隊員は素早く器具を取り出し、担架を広げる。
「頭部を動かさないで! 私たちに任せて!」
言われるまま、キルアは×××を慎重に抱えたまま横たえる。
しかし、×××はまだ目を閉じたまま、まるで眠っているかのように微動だにしない。
「意識は……?」
「戻っていません!」
救急隊員の声に、キルアは喉が締め付けられるような感覚になる。
血を止めるため、即席の止血が施される。冷たい手袋越しに触れる×××の温もりに、キルアは目を潤ませる。
「搬送します! 手を離さないでください!」
キルアは頷き、担架に乗せる×××の手をしっかり握る。
救急車の中。サイレンが鳴り響く。
横たわる×××は依然として意識がない。
「×××……頼む、目を開けて……」
声を詰まらせ、キルアはずっと名前を呼び続ける。手を握る力が徐々に強くなる。
運転席の救急隊員が振り返り、
「心拍はある。落ち着いています。病院まで急ぎます」
と言う。しかしその言葉は、キルアの胸の重さを少しも和らげない。
窓の外、朝の光が街を照らしている。
いつも通りの登校路、いつも通りの朝。なのに、目の前の光景は一瞬で変わってしまった。
キルアは×××の額に触れ、そっと頬に手を添える。
「×××……俺が守るって約束したのに……なんで……」
言葉は震え、涙が頬を伝う。
無意識に×××の髪を撫で、いつも通りの声で励まそうとする。
救急車は加速し、病院までの道を駆け抜ける。
キルアは×××の顔を覗き込み、まるで時間を止めたかのように、ただ手を握り続けた。
「しっかりして、×××……目を覚まして……」
何度も何度も名前を呼ぶ。心臓が痛いほどに張り裂けそうだ。
救急車のサイレンが遠ざかり、やがて病院の前に到着した。
キルアは担架に横たわる×××をしっかり抱きかかえたまま、救急隊の指示に従う。
「こちらです、緊急搬送室へ!」
救急隊員が声を張り、廊下を駆け抜ける。キルアは×××の額に冷たい手を添えながら、名前を呼び続けた。
「×××……しっかりして……お願い……!」
意識は戻らない。呼吸はかすかにあるが、瞳は閉じたまま。
手のひらに伝わる温もりがあることが、せめてもの救いだった。
緊急室に到着すると、医師と看護師が待っていた。
「こちらの方ですか!?」
キルアはうなずき、涙混じりの声で説明する。
「頭を打って……血が止まりません! 意識もないです!」
医師が手早く確認を始める。
「血圧、脈拍、意識の状態……はい、重度の外傷です。手当をします!」
キルアはその間も×××の手を握り、顔を覗き込む。
「×××……目を覚まして……頼む……!」
何度も名前を呼ぶが、返事はない。
医師と看護師が次々と処置を施す。
点滴が準備され、頭部CTの準備も整えられる。
キルアはただ傍らで、×××の髪をそっと撫でる。
「大丈夫だから……俺がついてる……」
口の中で繰り返し言う言葉。
意識のない×××に、声が届くわけではないとわかっていても、声をかけずにはいられない。
窓の外では春の光が病院を照らしていた。
いつも通りの朝、いつも通りの登校路……なのに、今は救急室の白い光と機械音が支配している。
小さな音が聞こえるたびに、キルアは息をのむ。
「×××……生きて……」
誰にも届かないかもしれない、でもキルアは声を出し続ける。
医師が一点に集中して処置を施す。
「脳震盪の可能性があります。頭蓋内出血の恐れも……」
キルアの心臓がぎゅっと締め付けられる。
「……意識が戻るまで、俺がここにいる……」
手を握りしめながら、キルアは誓う。
血の跡も、痛々しい傷も、すべてを受け止める覚悟で、ただ×××のそばに居続けた。
to be continued…