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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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_一ヶ月後

太宰は、毎日毎日歩く練習を続けた。

ある日には何も掴まずに立てるようになり

ある日には壁を祟って歩けるようになった

しかし状況は悪くなっていく一方だった。










太宰「痛いよ」

中也「大丈夫か」

太宰「凄く痛い」

中也「薬飲むか?」

太宰「…良い」

ズキッ

太宰「う”ッ」

中也「大丈夫か!?」

太宰「痛い”ッ」

太宰「痛いッポロッ」

中也「ッ」










失明してから三週間経った頃だった。

太宰が急に目を押さえて苦しみ出した。

首領によると【幻覚痛】というものらしい

手や足など元々あるものが急に無くなると

脳があるものだと勘違いして痛みを

神経へ送っているらしい。

幻覚痛は一ヶ月以上続くらしい。

俺だったら耐えられただろうか、と

考える時がある。

流石の太宰でも痛がっている姿を見るのは

心が痛んだ。

多分それからだと思う。

太宰がおかしくなっていったのは_






























太宰が歩けるようになったからと言って

自殺をしに行くようになった。


中也「手前ッ何処に行ってやがった!」

太宰「自殺」

中也「暫くは安静にしてろって首領に言われただろうが!」

太宰「中也に関係ないじゃないか、死ぬも死なないも僕の自由でしょ?」

中也「俺は首領からの命令に従ってるだけだ!命令されてなかったら言わねぇよ!」

太宰「五月蝿い」

中也「あ”ぁ?」

太宰「関係ないって言ってるでしょ!」

中也「おい、待てッ」


中也「…チッ」

最近の彼奴は何処か可笑しい

感情的になる事が多くなった

あと、笑わなくなった。

俺を揶揄う事も悪戯をする事も無くなった

彼奴の感情が

少しずつ無くなっていくのを感じる。


ガシャンッ

中也「!?」

ある部屋の中から物凄い音が聞こえた。

急いでその部屋へ向かう。

中也「どうした!?」

太宰「あッ…」

中也「ッ」

其処には腕にナイフを当ててその腕が血だらけになっている太宰が居た。

中也「何やってるッ」

太宰「来ないでッ!」

中也「ビクッ」

太宰「近づかないでッ!」

太宰「早く出て行ってッ!」

中也「こんな状態になってる手前を置いて行ける訳ねぇだろ!」

太宰「大丈夫だからッ」

中也「大丈夫な訳ねぇだろ!」

太宰「ッほっといてよ!」

そう言うと太宰は俺に向かってナイフを投げつけた。俺はそのナイフを異能で止める。

中也「手前、最近可笑しいぞ?」

太宰「…..」

中也「何でこんな事する」

太宰「…..」

中也「何でそんなに荒れてんだよ」

太宰「…..」

中也「答えろよッ」

太宰「わからないんだ」

太宰「自分がこんな事をしている理由が」

太宰「もうわからないんだ」

太宰「僕は唯、死にたいだけだ」

太宰「どんなに痛くてもいい、どんなに苦しくてもいい、どんなにつらくてもいい」

太宰「唯々、早く死にたい」

俺はその言葉を

【太宰の本音】だと確信した。

太宰「ねぇ中也」

太宰「もう僕を止めないで」

__俺は太宰のその言葉に

どう答えたのか覚えていない。




















太宰はどんどん可笑しくなっていった。

自傷行為をするようになった。

自殺をするようになった。

笑わなくなった。

揶揄わなくなった。

悪戯をしなくなった。

…太宰が太宰じゃなくなっていった。






























太宰がある日、ビルから抜け出した。

俺はいつも通り彼奴を探しにいく。

いつもの川を見に行った。

彼奴の姿は無かった。

いつもの喫茶店を見に行った。

彼奴の姿は無かった。

いつもの道を通った。

彼奴の姿は無かった。

最後に海に行き着いた。

彼奴は其処に居た。

砂浜に座って海を見つめていた。

いつもの彼奴とは違って穏やかだった。

俺は何て声を掛けたら良いか

わからなくなった。

太宰が気配に気づいて振り返った。

彼奴は泣いていた。


太宰「やぁ、中也」

中也「…泣いてんのか」

太宰「まぁね」

中也「…..」

太宰「僕を探しに来たんだろう?」

太宰「いつもみたいに僕を連れ帰んなくて良いのかい?」

中也「…今は少し此処に居たい」

太宰「!…そっか」

沈黙が続く。

その沈黙を断ち切ったのは太宰だった。

太宰「ねぇ中也」

中也「何だ」

太宰「中也はさ、【死にたい】って思った事はある?」

中也「ねぇよ」

太宰「そっか」

太宰「僕ね、最近気づいたんだ」

太宰「【死にたい】ってこう言う気持ちなんだ、って」

中也「いつも死にてぇんじゃねぇのか」

太宰「そうなんだけど心の底からそう思うと又違うなって思ったの」

中也「だから最近になって又自殺を繰り返してんのか」

太宰「うん」

中也「…何で死にてぇんだ」

太宰「生きると言う行為に疲れたから」

太宰「両目が無いって思っていたよりも大変で疲れるんだよ」

太宰「頑張る度に頑張る意味がわからなくなっていった」

太宰「そして僕はこう思うようになった」

太宰「【死にたい】と」

太宰「どんなに苦しくてもつらくても痛くても、死にたいって思った」

突然、太宰が立ち上がった。

太宰「僕ね君には感謝してるんだよ?」

太宰「毎日お見舞いに来てくれたし」

太宰「その度に応援してくれるし」

太宰「相棒だって言ってくれたし」

太宰「…本当に君には感謝してる」

太宰「其処で一つプレゼントをあげる」

中也「?」

太宰「君ねもう少しで幹部になるよ」

太宰「おめでとう」

中也「…本当か」

太宰「勿論」

中也「そうか」

太宰「嬉しそうだね」

中也「そりゃな」

太宰「君は部下にも慕われているし心配する事は無いね」

中也「帰るぞ」

太宰「…..」

中也「太宰?」

バンッ

中也に弾が当たる。

中也「い”ッ」

太宰「気づかなかった?」

中也「…手前はグルか」

太宰「そうだよ」

太宰「僕が手配したプロだ」

中也「何でこんな事ッ」

太宰「…..」

太宰「中也」

太宰「君に伝えたい事は伝え終わった」

太宰「だからもう生きる意味が無いんだ」

太宰「僕は今日、此処で死ぬ」

中也「はッ」

太宰「あ、伝え忘れてた事があった」

太宰「相棒になってくれてありがとう」

中也「待てッ」

ジャプンッ

太宰が海の中へ入った。

水面に泡が出てくる。

中也「くそッ」

撃たれた場所は急所の近くだった。

其処を狙ったのだろう。

無理矢理立ち上がって海に入る。

傷口に塩水が染みる。

海を潜ると直ぐに太宰の姿が見てた。

腕を掴んで水面へ上がらせる。

砂浜に横たわらせる。

太宰の息は無かった。

心臓マッサージをした。

太宰が海に潜ってから時間は経っていない

だから直ぐに息をすると思った。

だけど息をする事はなかった。

冷たくなっていく体に触れる。

骨が浮き出る程に痩せ細った体

血色の悪い唇

目の下にあるクマ

とっくに太宰は限界だったのだと悟った。

腹部付近に触れるとカサッと言う音がした

其処には紙が挟まっていた。

彼奴らしい簡潔な文が書いてあった。

[中也へ

僕はね溺死したのでは無いよ。

元々、毒を飲んでいたんだ。

君は悪く無い。

ごめんね、中也

ありがとう、中也

君と相棒になれて良かった。

太宰治]

中也「…馬鹿野郎」

口から零れ落ちた。

目頭が熱くなる。

泣いているのだと自覚した。

俺は其処から動く事が出来なかった。

暫くして首領が来た。

首領は太宰と太宰の書いた手紙を見た後

俺を優しく抱きしめた。

俺は何も言う事が出来なかった。


全ては太宰の予想通りだったのだ。

太宰はこの未来を見通していたのだ。

俺の言動を予測して

この計画を練ったのだ。

太宰の悪戯はこれで最後になった。






























太宰が死んで暫く経った。

俺は無事、幹部は昇格した。

これも太宰の言う通りだった。

俺の心に大きな穴が空いた。

毎日が苦しかった。

毎日がつらかった。

息がしづらかった。

俺は確信してしまった。

この感情が【死にたい】と言うものだと。




















そして今俺はビルの屋上に居る。

唯、空を見つめていた。

何も考えず

何も思わず

唯々、見つめていた。

俺は立ち上がる。

上着を脱ぐ。

帽子を取る。

風が吹く。

風が頬に当たる。

俺はふ、と笑った。

其処には一人の優しい青年が立っていた。

一歩を踏み出す前に口を開いた。

「__ごめん」

辺りには痛々しい音が響いた。











































「__馬鹿」
































































どうでしたか?

but end難しかったです…w

最近、投稿頻度が遅くてすみません💦

体調を崩す事が多くて

中々続きを書けませんでした💦

この後は、リクエストしてくださった

「探偵社に入った太宰」も

少し書いてみようと思います!

見てくれると嬉しいです!

(まぁhappy endの続きみたいなものです)

次回は❤️1000で投稿しようと思います!

では、また次回!

この作品はいかがでしたか?

1,560

コメント

19

ユーザー

また泣いた☆

ユーザー

好きです、、 もう最後涙崩壊でしたよ。

ユーザー

え、マジでいい話すぎる…。 全人類、この話をみてくれぇ…。

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