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短編集①

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短編集①

5 - 第5話

2024年03月07日

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まだ誰も知らない、この場所で(恋愛)

学校が終わった。何をしようか。


「遥(はる)ちゃん、今、暇してるね?」


…誰?


「僕はねぇ__っと、呼ばれちゃった!!とりあえず来て!」


困惑。だけど向こうも困っていそうだし行くしかない…。


謎の乗り物に乗らされた。今がチャンスか…


「ところで君は何者なの?」

「ふふん、知りたい?」

「うん。自己紹介もしてないのに名前知られているし…」

「怖がらせっちゃったのかも!?ごめんね!」

「いや、それはいいんだけどさ」

「ならよかったよ。僕は…カトだよ」


カト…。加藤みたいだな…


「遥ちゃん、ついたよ。」


ついた先は、想像以上に現実的な世界だった。


「ふんふん、意外と普通でしょ?」

「うん。で、何をすればいいの?」

「とりあえずこれを着て。裸になってからね」

「え…?」

「大丈夫!僕はみんなに遥ちゃんのことを話してくるから、この中で5分くらいで着替えて」

「わ、わかった…」

_________________


「遥ちゃーーん!着替え終わった?」

「うん、サイズもばっちり」

「よかった。じゃあついてきて」


向かった先には、見慣れた顔が一人。


「え、っと…」

「あ…」


「遥ちゃん、知り合い?」

「一応…。」

「?どうしたの?喧嘩でもしてるの?」

「えと、いや、ちがくて…」


どうしよう…。言っていいのかな…?


「元カレです」


っぐ…余裕で言うじゃない…。


「元カレ!!もてるのね~遥ちゃん^^」


うわあん…逃げたい。


「持てるわけじゃなくて、ただ…って、どうでもいいじゃない!で、何すればいいのよ。」

「こわ~い、遥ちゃん!」

「仕方ないでしょう…」

「ははは。まあ、遥ちゃんと唯人くんには、これを作ってもらうよ。じゃ、その紙に書いてある通りに作ってくれたらいいから、僕たちはこれで。」


…ひどすぎる。けど、帰り方もわからないし、やるしかないね。


「遥、とりあえず、これ。」

「どーも。」

「…やっぱり、怒ってる?」

「知らないわ」

「ふーん…」

_________________


「なあ、遥。」

「ん?」

「俺、やっぱ遥が好きだわ…というか、」


バチーーーーン!と、音が響き渡る。が、カトたちには聞こえていない様子。


「いってぇ…」

「ふざけるんじゃないわよ!浮気したのはそっちじゃないの!!」

「…ごめん、逃げられなくって。あの女から…。」

「だから、逃げる逃げるって何よ…。」


私が逃げたいくらい…だけど、カトたちがいるから逃げられない…


「じゃあ、俺の話、最後まで聞いてくれる?」

「…わかった」

「俺、家にいとこが居候しててさ。そいつ、2つ上なんだけど、昔っから俺が恋愛的に好きみたいで。で、その日はたまたま二人で家にいたから、買い物を提案…というか、拉致されたわけよ。それで、腕組まれて出発ってわけ。で、しかも恐ろしいのが結束バンドを見えない位置でやや緩め、しかし抜けないようにつけられて。トイレに行くときは外せたけど位置情報アプリで監視…。逃げたら即ばれだったから、あきらめてた。ってところかな。」

「ふーん…そのいとこは?根拠は?」

「全部、家族は知ってるよ」

「そっか。ちょっと、考えさせて。」

_________________


「やあやあ、遥ちゃんに唯人くん。」


びっくりした。


「話は終わったかい?」


は…はなし?もしかして…?


「僕、ぜーんぶ知ってるんだよね。」


「じゃあ、また10年後に会おうね!」


そうして、私はたちは現実に戻った。

_________________


…うまれた。


全部知っていたということは、カトは、私の子供だったのかな。


「遥!お疲れ様!」

「唯人…ありがとう。双子だって。きっとカトと…」

「俺を連れてきた、サトちゃんだね。」


向かい合って、笑った。



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