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テラーノベル(Teller Novel)
unreachable love

unreachable love

「unreachable love」のメインビジュアル

9

第9話

♥

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2022年09月25日

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jmside


次の日、僕とグクは、心配そうな母さんに見送られて、グクの家に向かった


バスに乗っている間も、きゅっと僕の手を握りしめているグクが、かすかに震えている


🐣「グガ、家族に会うのと、親友くんに会うの、どっちが怖い?」


🐰「、、、家の方が怖い、、だってあいつは許してくれそうだから、、」


🐣「そっか、、、


今日中には終わってるんだからね、帰りはアイスでも買って帰ろうね、」


🐰「うん、、」


心配そうなグクの横顔を、僕はやるせない思いで見つめた




バスを降りて、あの時の公園に向かうと、


グクの姿を見留めた彼が、駆け寄って来て、グクをぎゅーっと抱きしめた


🐰「う、、、くる、、し、、」


🙍‍♂️「グク、、、泣 心配してた、、会えてよかった、、」


心底、という彼の言い方に、グクも安心したのか、彼にじっと体を預けている


🐰「僕、、ごめん、、電話無視しちゃって、、」


🙍‍♂️「そんなの気にするなよ、生きててくれればいいからさ、」


🙍‍♂️「あ、あと、ジミンさんと付き合っててくれれば?ㅋㅋ」


からかう口調で言ったその子を、グクは肩で小突いて、顔を赤くした


🐰「変なこと言うなって、、」


なにが変なことなのさ、と言いたくなったが辞めて、恥ずかしそうに笑っているグクに安心する


今日は僕が3人の中で1番上だ。


しっかりしなきゃ。


🐣「じゃあ、行こっか」


緊張した顔になったグクが、親友くんの腕をきゅっと掴んだ


あ、また、、もうっ、、


僕じゃなくて、彼を選んだグクに心の中でムッとする


確かに彼はグクより背が高くて、頼もしいけどさ、、


他の男と居るのを見ると、いちいちいじけそうになるが、


今はそんなこと構ってはいられない、と我慢して、年下2人に、案内してもらいながら、グクの家に向かった




ピンポーン


チャイムを押すと、ここまでちゃんと着いてきたグクが後ずさった


親友くんが、腕を掴んで、引き止める


👩「はい、、」


向こうからは僕の姿が見えているのだろう、少し怒った声が聞こえた


🐣「はじめまして。勝手ながら、グクくんを預かっておりました、3年のジミンと申します。


少しお話したいことがあってお邪魔しました」


👩「ジミンって、、あんたが、、グクのことたぶらかして!付き合わせて、、最後に捨てて殴りつけたやつなんでしょ!


うちの息子はどこかに消えてしまったのに、、よくここに来れたわね!誰があんたみたいな子と会話するものですかっ、、先生と来なさい、先生とっ!!」


一気に捲したてるグクの親に、僕は不思議と落ち着いていた


“グクのことを殴りつけた”のは僕ではないし、

付き合う上でグクを”たぶらかした”覚えもない。


そこに怒っているのなら、嘘を鵜呑みにして、グクを心配して怒っているだけだ


🐰「母さん、、待って、、聞いてよ、、」


👩「はっ、、グガ、、今更、なんで、あんた、、」


グガの姿は隠れて見えていなかったようで、

グクが口を開くと彼女は明らかに動揺した


声が聞こえなくなったと思ったら、ガチャっと玄関が開いて、グクにそっくりの顔をした母親が飛び出てきた


👩「グガ、、なんで帰ってきたの、、?その人たち、、なんで一緒にいるの?」


怯えた様子のグガが、親友くんの腕にしがみつきながら必死で話す


🐰「ずっと、、助けてくれてた、、から、」


👩「なんで、、嫌がってたんじゃないの、、?あんたの体の傷は、その2人にやられたんでしょう?

まさか、、まだ目を覚ましてないのっ?!」


泣き出したグガが、ふるふると首を振った


🐰「ちがう、、ちがう、、そんなの全部嘘だからっ、、僕、、このふたりが大好きなのっ、ずっと守ってくれてたのっ、、母さん、、、信じてっ、、」


足が震えて、崩れそうなグクを、親友くんがしっかりと抱いて支える


🐣「お母さん、グクが泣いてしまっていますし、少し中に入れてもらうことはできませんか?お願いします、玄関まで十分なので。」


礼儀正しくお辞儀をしてお願いすると、グクの母親は混乱した表情で僕を見つめた


きっと先生の話を聞いて、どうしようもない

乱暴者を想像していたのだろう


👩「ううん、玄関じゃなくていい、私はなにか間違えている気がする。中でしっかり話聞かせてちょうだい。」


ほっとして顔を見合せた僕らは、


ありがとうございます、と言って、家に上がらせてもらった


促されて、グクのお母さんに全てを話す


僕らが付き合ってるのは本当だったから、恐る恐るそこを話すと、やはり顔をしかめた彼女だったが、


なにも心配は要らなかった。


なぜなら、グクが、聞いてるこっちが恥ずかしくなるくらいに、僕のことを褒め散らかして、僕のどこが好きなのかを熱論してくれたから。


それを聞きながら、僕は顔が火照って俯くことしかできないし、親友くんは耐えきれずに吹き出すし、、


ついにはお母さんも笑い出して、


👩「いいのよㅋㅋ そんな必死なら分かった、

グクが本当に好きな人なら性別なんか関係ない。ムキにならないでㅋㅋ

ジミンさん、初めて話したけど賢くて素敵な子だって、それくらい分かるわ。


変な男にたぶらかされて、無理やり付き合わされてるんだって先生からグクを貶すように言われたから、、


そんなのも見抜けなくて傷ついて帰ってきたんだとしたら、自分の子が情けなくて恥ずかしくて、、話も聞かずにあんな酷いことばかり、、


謝ってすまないことかもしれないけれど、

グク、、ごめんね。」


笑ってる自分の母親を、ぽけっとした顔で見つめて、つーっと頬に涙を流すグクが、いじらしく、指でそっとその雫を拭った


“邪魔者狩り”の話をすると、お母さんは顔を真っ青にした


今は僕らは休んでいること。グクがまた学校に行けるように、僕ら2人で、色んなことを取り戻そうとしていること。


その全部を、頷きながら聞いてくれたあと、


👩「それを聞いてやっと気づいたけれど、グクが倒れたって連絡が来た時から違和感があったわ。


だってあの先生、グクがどうして気絶したのかを話す前に、グクは男と付き合ってるんだ、って言い出したのよ。あなたたちの話の方が辻褄があってるし。

私は自分の子供たちの言うことを信じる。」


👩「グク、最初から聞かなかったお母さんが間違ってた。

お兄ちゃんとお父さんにはちゃんと私から説明する。まだ家に戻るのは怖い?」


母親がグクの横に立って、そっと彼を抱きしめながら、本当に申し訳なさそうに言うから、

今日はここに残していってもいいかな、と思っていた


🐣「グク、、どうする?ここに帰った方がいいんじゃない?

うちにはいつでも来ていいし。呼んでくれたらここまで迎え来るよ。」


グクはちょっと考えたあと、自分の傍らに立つ母親をちらっと伺いながら小さく言った


🐰「もう少しだけ、、ヒョンの家にいちゃだめ、、?」


僕が答えに困って戸惑っていると、先にお母さんが答えた


👩「ジミンさん、この子、もう少しだけ預かってもらえる?

今までこんなに家族以外を信用する子じゃなかったのよ、よっぽどあなたの所がいいみたい」


僕はにっこりして答えた


🐣「もちろんです。任せてください」


👩「グク、、こんな親だけど、いつでも戻ってきてね、待ってるから。」


されるがままに頭を撫でられ、こくりと頷いたグクは、


家族に対して、少し安心感を取り戻しているようだった


グクのお母さんは、できることがないか、と何度も言ってきてくれたが、

ここからはまず、僕らだけでやらなきゃいけないことだった


丁寧に断って、3人でグクの家を後にした


親友くんと別れる時、グクは彼を自分から抱きしめに行った


🐰「ごめん、今まで。

僕、お前のこと1番に信用してる。」


彼は照れたように、でもグクをよしよしと撫でながら言った


🙍‍♂️「いや、、1番はそこの彼氏さんにしとけよ、、ㅎ

ん、次は学校だな、またすぐ会えるから。じゃあね、」


明日から親友くんは学校に戻る計画になっている。


そこから学校の様子を流してくれる約束だ。


ちらっと僕を見て、大丈夫、と微笑んだ親友くんは、とっても頼もしかった


彼を見送って見えなくなった後、グクと手を繋いで家に戻る


約束通り、帰り道のコンビニでアイスを買って、ぶらぶらとその袋を揺らしながら。


まだまだ沢山やることはあったけど、

横を歩きながら、鼻歌を歌えるほどに、元気になったグガを見て、僕はとっても安心した




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