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唯月さんは驚いている。
もちろん、僕も驚いている。
この女性のことは僕も知っている。
唯月さんのことを熱を孕んだ目で見ていた華恋という名の女性だ。
そして、今も唯月さんのことを熱を孕んだ目で見ている。
「あれ、唯月さんじゃあないですか?」
「椿さん?」
華恋さんの隣にいた歳の取った男性は椿さんというらしい。
唯月さんはこの男性のことを知っているのだろう。
「なんで、華恋さんは椿さんと一緒にいるんですか?」
唯月さんの声は聞いた事ないような、低く、怖い声をしている。
「え、えっとぉ、」
華恋さんは唯月さんに怯えているのだろうか、さっきの態度とはまるで違う。
「あれ、唯月さんは知らないのかい?」
「どういうことですか?」
唯月さんの声はどんどんと低くなる。
「華恋さん、どういうことだ?」
椿さんという男性は何かを確信したかのように問いかける。
「え、えっとぉ、あのぉ」
このままここで立って話していても拉致があかない、僕はそう思い口を開く。
「どこかで話した方がいいんじゃないですか?」
「陽向?」
「ね?」
僕はできるだけ明るく、笑顔で言う。
「確かにそうですね」
「では、そうしますか」
唯月さんと椿さんは納得した様子だった。
でも、一人だけ納得がいかない表情をしている人物がいた。
「あんた、なんでここにいるのよ!」
華恋さんは嫉妬で狂いそうな目をしながら怒って問い詰める。
「僕は唯月さんの番なんです」
「は?唯月さんはΩが嫌いなのよ!」
華恋さんは周りの目なんて気にせずにヒステリックに叫ぶ。
「華恋さん、一度落ち着きましょう」
椿さんは華恋さんを落ち着かせるように言う。
「ねぇ、唯月さん、こんなΩよりも私よね」
華恋さんは椿さんの声掛けなど全く気にせず唯月さんに問いかける。
「こんなΩという言い方はなんだ?君よりも魅力的だと思うんだが」
「だって、、、」
華恋さんは崩れ落ちた。
床には水滴が落ちた時に広がるシミが付いていた。
「華恋さん、椿さんと一緒に居る理由を説明してもらおうか」
「い、いや、」
唯月さんは華恋さんを見下ろして言う。
そして、僕に近づく。
「あそこのカフェで話して来てもいいか?」
「いいですけど、その後は一緒に居てくださいね」
「可愛いこと言うな、もちろんそのつもりだ、じゃあ行ってくるな」
「行ってらっしゃい」
唯月さんは椿さんと華恋さんを連れてカフェに向かった。