渡辺は、ソファで膝を抱えている。なぜ、自分の家が盗聴器を仕掛けられなければならない?目黒の家に帰ったのも分かっているのだろう。また、電話がかかってくる。
芽衣ーちゃんと話し合って別れて。
目黒ーなぜ、盗聴器を?
芽衣ー矢島、私のボディガードの趣味よ。
好きな人の、日常を覗き、それが楽しみなのよ。
目黒ー何を?
芽衣ーあなたたち、ベッドより、ソファが好きなようね。愛し合ってるの、全部筒抜けだったわ。
スピーカーで聞いていた渡辺は、ポロポロ泣きながらソファに突っ伏す。恥ずかしさが一気に渡辺の身体を駆け巡る。持ってきていた、目黒のパーカーを抱きしめて、声を出さず泣いている。
芽衣ー週刊誌に、売りましょうか?この、盗聴テープ。
目黒ー何を望んでる?
芽衣ー愛して欲しいだけよ。
目黒ー君は、家族から、愛されてないの?
芽衣ー皆んな、真衣ばかりよ!もうすぐ結婚して会社を継ぐ準備するの、真衣も手伝って事業を今以上大きくするつもり。父様も母様も、真衣がいればいいのよ!
誰も私を愛してくれないわ!
目黒ーだから、俺なの?俺には、大事な人がいる。君を愛せない。
芽衣ー真衣がファンのあなたを取れば真衣は悔しがる。その顔を見たいのよ!
目黒ー姉妹喧嘩に俺たちを巻き込むのやめてくれる?
芽衣ーとにかく、テープを売られたくなかったら、明日うちへ来なさい。
携帯を置いて、コーヒーを淹れる。渡辺は泣いて目黒に縋る。「盗聴テープ」がある限り、逆らえない。
渡辺は、パーカーを離さない。
目黒が優しくキスをする。嫌がる渡辺。
目黒ーこの家は大丈夫。
渡辺ーんっんっ〜会いに行くの?
目黒ーテープ、もらわなきゃ。
渡辺ー彼女と、あの・・。
目黒ー何もしない。今の電話、録音した。両親に聞かせる。お姉さんにも聞かせる。娘が、妹が、どんなに愛して欲しいか分かってもらう。
渡辺ー言うの?俺のこと。
目黒ー言わなきゃテープが手に入らない。
渡辺ー仕方ないの?
目黒ーそうだね。
渡辺ーんっんっ〜んっんっ。
目黒ー悔しいね、ごめんね。
次の日の夜遅く。
渡辺は、目黒の家に帰った。
目黒が笑って出迎えてくれる。
渡辺ーどうなった?
目黒ーはい、テープ。
渡辺ー嫌、触りたくない、処分して。
目黒ー分かった。
芽衣の両親と姉と姉の彼氏に録音を聞いてもらう。
盗聴テープは、全部で3本。
父親は、金で解決しようとした。目黒は、今後一切関わらない。もちろん週刊誌にも言わない。という内容の誓約書を書いてもらった。
約束を守らない場合、渡辺の家に不法侵入、盗聴、脅迫で警察に行くと目黒は言った。そして、芽衣をもっと愛してやってくださいと。
渡辺ー俺、引っ越す。
目黒ー翔太くん・・。
渡辺ーまた、目黒の家みたいにして?
目黒ーん、楽しみ。
渡辺ー帰る。
目黒ー翔太くん。
渡辺ー愛してもらうの、怖い。
目黒ーうちは、大丈夫だよ?
渡辺ーいや、引っ越し終わるまで会わない。
目黒ー家探し、手伝っていい?
渡辺ーんっ。
渡辺は、自宅に帰って来た。
ソファじゃなくて、ベッドで、目黒のパーカーを抱きしめて眠る。
完
コメント
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なんとか解決してよかった…でも怖いなぁ🥺🥺
パッピーエンド😊 だけど、、、ショウタ君が、ちと心配🥺