第3話「朝の光と、太陽みたいな笑顔」
朝の光が障子の向こうから差しこんできた。
晴明は、そのまぶしさでゆっくり目を開ける。
昨日より体は少し楽だけど、頭はまだ重い。
喉のかわきはおさまっていた。
きっと――昨日の夜に水をくれた人のおかげ。
ふと顔をあげると、部屋の外から賑やかな声が近づいてきた。
蘭丸「もう起きてるかな〜?」
襖が勢いよく開く。
髪の毛を揺らして、にこっと笑う男の人が顔をのぞかせた。
蘭丸「おはよー!おちびちゃん!」
晴明は思わず布団をぎゅっと握る。
突然だったから、胸がどきんと跳ねた。
蘭丸だった。
夜の静かな道満とは正反対で、空気からして明るい。
へらっと笑うその顔が、太陽みたいに見えた。
蘭丸「うわ〜、寝癖すごっ。子どもってなんでこんな可愛い寝方すんの?」
近づいてきて、勝手に頭をよしよし撫でてくる。
晴明はびっくりして、きゅっと肩を縮めた。
晴明「……や、だ……」
小さな声で言ったつもりだったのに、蘭丸は一応止まってくれる。
蘭丸「ん? あ、ごめんごめん。怖かったかー」
そう言いながらも、声は優しくてやわらかい。
蘭丸「じゃあさ、まずご飯にしよ?お腹すいてない?」
はるあきは少し考える。
“ごはん”という言葉も、ぼんやりとしか分からない。
でも……お腹が、きゅうっと鳴った。
その音に、蘭丸はぱっと目を輝かせた。
蘭丸「ほら、やっぱりお腹空いてるじゃん! 行くぞ〜!」
布団からひょいっと抱え上げられる。
晴明「え、あ……!」
腕にしがみつくしかない。
蘭丸は軽い足取りで廊下を歩きながら、ひたすら話しかけてくる。
蘭丸「昨日すごい雨だったじゃん?あんなとこで倒れてんだもん。びっくりしたって〜」
晴明は言葉の半分くらいしか分からない。
でも、怒ってないと分かるだけで少し安心した。
台所には、道満がいた。
朝食を並べながら、ちらりとこちらを見て眉をひそめる。
道満「……朝から騒がしい。落とすなよ」
蘭丸「落とさないよ〜。あっちゃんみたいに乱暴じゃないし」
蘭丸はそう言いながら、はるあきを椅子に座らせた。
道満「……だいじょぶか?」
道満がこちらを見てぽつりとそう言った。
夜の低い声と同じで、不器用だけど心配の色が混じっている。
晴明は、小さくうなずく。
そのうなずき方がまだ弱々しいのを見て、蘭丸は自分の顎に手を当てて言った。
蘭丸「ねぇあっちゃん。やっぱ一応さ……」
道満「分かってる。ちゃんと医者のとこ連れてく」
蘭丸「分かった」
ぱんっと蘭丸が手をたたき、晴明を覗き込む。
蘭丸「じゃあご飯食べたら、優しい優しいお医者さんとこ行こ?痛いことしないからさ。ね?」
晴明は、言葉の意味をすべて理解はできない。
けれど「こわくないよ」という雰囲気だけは、ちゃんと伝わった。
不安と少しの安心がまざったまま、朝の匂いに包まれる。
晴明は言葉をあまり知らない設定です。
コメント
6件

え???かわいすぎん??晴くんかわかわやん♡道満と蘭ちゃんも優しすぎて泣く、次の話も待ってます!!


可愛いぃぃぃぃぃ!!!次回が楽しみすぎる!!!!病院ということはあの人が出てくるってことじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!??!?!!?