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まぜけちゃ尊い☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
けちゃとうとい。以上
side.Mz
「ふんふふーん♪」
鼻歌を歌いながらココアを準備するけちゃをムスッとしながら見つめる。けちゃの指先は大空のような澄んだ青色のネイルに彩られている。俺の中の青はどうしてもメンバーのちぐさを思い出して嫉妬してしまう。
そんな俺の事などつゆ知らず、俺の恋人は目の前で上機嫌に歌いながらココアを作っている。
気になりだしたら止まらない。けちゃのネイルにモヤモヤしっぱなしだ。
「まぜち〜、ココアだよ〜!!」
「…ん」
丁度いい濃さで丁度いい温かさのココアはこの時期の冷えた身体を内側から温めてくれる。飲み慣れた優しい味に芯がほぐれていく。
「…美味い」
「えー、そう?えへへ」
目尻の下がった笑顔で嬉しそうにするけちゃが可愛すぎる。小柄な体格が原因で意図せずになる萌え袖と両肘をついた姿は誰が見ても可愛いと思うだろう。でも可愛いけちゃの指先が青く彩られているのは気に入らない。ついムスッとしてしまう。
「けちゃ。なんで俺以外の色つけるの」
「俺以外の色…って?」
「ネイル!!なんで青のネイルなの?!俺めっちゃイライラするんだけど!!」
子供みたいに駄々をこねる。でも恋人が他の男の色付けてるとか耐えられない。ガキっぽいと言われてもこれだけは絶対譲らない。
「まぜちごめんね〜。じゃあ今から紫にネイル変えちゃお!!ついでにまぜちもネイルする?」
「俺はいいって。解す時剥がれそう」
「まぜちのバカ!!変態!!」
「あ、おい!!」
変態と捨て台詞だけ吐いて部屋から出ていったけちゃ。こういうのはほっとけば戻ってくるのを知っているのは何回もこういう場面があったから。
5分もすれば沢山のネイルを持ったけちゃが帰ってきた。
「はいこれ、紫系のやつ。どれがいいか選ばせてあげる」
紫の中にも種類が沢山あるらしい。赤紫系、青紫系、ピンクに近いものもある。その中でひときわ俺が惹かれた濃い紫を手に取る。色名には”パンジー”と書かれていた。これが1番俺の色に近い気がした。
「これがいい。1番俺っぽいしけちゃにも似合いそう」
「お、まぜちにしてはいいチョイス」
「”にしては”ってなんだ”にしては”って!!」
いつの間に落としたのかなにも塗られていない爪に鼻歌を歌いながらネイルを塗るけちゃをじっと見つめる。白くて細い指先に絡みつく濃い紫にゾクッとする。なんてことない仕草なのに背徳感を覚える。いつの間にかとんでもない性癖を開いてしまったようだ。
「あとは乾かして完成〜!!意外と紫もいいかも〜!!」
「俺的には一生そのままがいいから変えないで欲しい」
「あは、ツンデレだ〜♪明日みんなで集まるから見せつけちゃおっと!!」
「え、俺もやりたい。俺もネイルしようかな」
そう呟くとけちゃはキラキラした目で部屋まで駆け抜けて行った。5分したら可愛らしいピンクのネイルを手にして戻ってきた。
「僕が塗ってあげる!!まぜち手出して!!」
「お、おう」
「えへへ〜」
あからさまに喜んだ声と表情。眉は下がりきって口角はものすごく上がっている。世界の誰もが落ちてしまう天使の笑顔。慣れた手つきで俺の爪にもピンクの色が乗る。はみ出しや塗り残しのない塗り方に慣れを感じた。
「…可愛い」
「ふふん、そうでしょ!!この色お気に入りなんだよね〜!!」
「そうじゃなくて。けちゃが1番可愛い」
「はへっ?!」
白くてふんわりした頬が真っ赤に染まる。この世の誰よりもあざとくて可愛いのに本人は否定する。世界一可愛いからいつかけちゃが誰かに誑かされて盗られないか不安になる。俺の独占欲すら彼を穢す気がして言えなかった。天使を檻に閉じ込めて飛べなくする趣味はない。
「世界一可愛いから、どこにも行かないで」
「行くわけないじゃん、まぜちが大好きなんだから」
俺の腹の中で渦巻く醜い思いを押し込めてそういえば、切なそうな顔でそう言う天使。
好き、大好き、愛してる。今までも手放さなかったし、これからも離れるつもりは無い。俺だけの可愛いけちゃ。本当は誰の目にも触れさせたくないし閉じ込めたいけどけちゃはきっとそれを望まない。俺はけちゃの意志を尊重するし守る。
「明日、ネイル変えたこと気づかれるかなぁ?」
「きっと気づくよ。俺も変えたし」
「どんな反応するかな〜!!」
「納得するんじゃない?」
このネイルは俺の独占欲。指先まで離さないという俺の意思。綺麗で穢れた独占欲の表れだ。